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當瀬細胞生理学講座教授の新コラム「真健康論」第29回

當瀬細胞生理学講座教授の毎日新聞連載コラム「真健康論」第29回 冷房の利かせ過ぎ、注意(7月30日毎日新聞掲載)

當瀬細胞生理学講座教授

   當瀬細胞生理学講座教授

真健康論:第29回 冷房の利かせ過ぎ、注意=當瀬規嗣

 暑い日が続き、熱中症も増えてきています。くれぐれもご注意ください。さらに、暑い日が続くと、次第に体力が奪われて、いわゆる夏バテになってしまいます。夏バテは、暑い盛りに出るものですが、意外と涼しくなった秋口にそれまでの疲れがどっと出てくることもあります。

 夏バテとは、暑さによって体力が奪われ疲労して、全身倦怠(けんたい)感を覚えるようになった状態です。夏バテを引き起こす原因としては、栄養不足、水分不足、自律神経の変調の三つがあげられます。

 暑さが続くと、どうしても食欲は落ち、暑さをしのぐために冷たい食べ物や飲み物を口にすることが多くなります。しかし、あまり冷たいものばかり口にすると、とりわけ胃の温度が下がってしまい、それにより胃液の分泌が低下し、胃の運動も鈍くなります。このことは、さらに食欲を落とすことになるので、ますます栄養不足になります。暑さで汗をかくので、体は基本的に水分不足です。脱水の症状が出ていなくても、軽い脱水状態では体はやはり不調になり、体のだるさを感じるようになります。

   そして夏バテの最大の原因は自律神経の失調であると言われています。自律神経とは血管系や内臓、汗腺などの働きを調節する神経のことで、自分で意識して動かすのではなく、神経が自ら動いているように見えるので“自律”と呼ばれます。自律神経は夏の間、酷使されます。なぜなら自律神経は、体温調節のために皮膚の血管を開け閉めし、汗腺を刺激して発汗を起こしたりするからです。

 炎天下では、汗をかき、皮膚の血管が拡張して体の熱を放出するように働きます。そのあと冷房の利いた部屋に入ると、今度は体から熱が失われすぎないように、皮膚の血管が収縮します。これが繰り返されるので、結果的に自律神経が酷使され、ついには変調を来します。自律神経の変調は、冷えやのぼせなどを引き起こし、消化管の変調も起こって食欲不振、下痢、便秘などの症状が出ます。つまり、夏バテの最大の原因は冷房と言えるかもしれません。

 もちろん、熱中症の危険があるので、適度な冷房は必要ですが、冷房にあたり過ぎると、逆に体は不調になるのです。冷房を利き過ぎにすることがありますが、室内の温度には十分注意してください。
 (とうせ・のりつぐ=札幌医科大教授)=次回は8月20日掲載

  • 経営企画課広報
  • 発行日:2012年07月30日