先輩からのメッセージ
野島 正寛
(東京大学医科学研究所 先端医療開発推進分野 兼TR・治験センター 准教授)
※研修医当時です |
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私は道東の北見市に生まれ、まもなく札幌市に移り大学卒業後も長らく北海道で過ごしました。平成13年に大学を卒業し、すぐに旧第一内科(当時は今井浩三先生が教授でした)に入りました。EBMの考え方が広まり始め、少しずつ医療が変わっていくのが感じられた頃です。2年目には地域の基幹病院で研修するシステムとなっていましたので、私は市立釧路総合病院を希望し、2年弱と短いながらも極めて多彩で濃密な臨床経験を積むことができました。その後大学に戻り血液チームに所属しましたが、この頃の経験は現在開発が盛んな再生医療等製品の研究に関わる上で大変役立っております。同時に、大学院において豊田実先生(前生化学教授)、鈴木拓先生(現分子生物学教授)の下、がんエピジェネティクス研究の手ほどきを受けました。こちらは現在も研究テーマの一つとして継続しております。2005年には、米国オハイオ州のクリーブランドクリニックで有名なクリーブランド市にあるCase Western Reserve大学に留学致しました。ボスは日本人の藤永考先生で、転写伸長反応というベーシックなテーマの研究に携わっておりました。仕事以外でも、アメリカ文化や本場の英話に触れることができ、外国人の友人もできるなど私生活の面でも貴重な経験となりました。
帰国後は公衆衛生学講座の助教となり、森満教授(当時)の下疫学研究に携わることとなりましたが、ここで出会った疫学・生物統計学の洗練された方法論に大変な感銘を受けました。そこで2009年には東大の公共健康医学専攻(いわゆる「公衆衛生大学院」)に入学し、講義や実習のほか、疫学・生物統計学教室(大橋靖雄教授・当時)で1年間さまざまな勉強をさせていただきました。その後は再び札幌に戻り数年を経て東京大学医科学研究所に移り、現在に至ります。近年の活動や業績はPubmedやネット上にいろいろ形跡があるかと思いますので割愛致しますが、多くの研究に参加させていただく中で自らの経験やスキルを非常に効率よく活用できていると感じております。札幌医科大学消化器内科学講座は旧第一内科の流れを汲み、保守的ではなくチャレンジ精神旺盛で、アカデミズムと実践のバランスが非常に良いところが素晴らしい点だと思います。北海道、日本、そして世界の医学・医療の発展のため力を合わせ頑張りましょう!