来たれ大学院へ

大学院生活と進学へのススメ

札幌医科大学 消化器内科学講座   飯田 智哉

 この度は札幌医科大学消化器内科学講座のホームページをご覧下さいまして、誠にありがとうございます。医師7年目、大学院生2年目の飯田智哉と申します。若い人にとっては、大学院生活ってどうなんだろう? と考える人も少なくないと思います。そこで、今回私の大学院生生活と、どうして大学院進学を選んだのか? についてお話ししたいと思います。

 当講座においては、大学院に入学後1年間は地方中核関連病院で臨床業務を行いながらE-learningなどを利用して知識の習得を行い、2年目に大学病院で臨床業務を行いながら基礎研究を学び、3年目・4年目では大学近郊の市中病院で午前中に臨床業務、午後から研究を行うという形をとるのが一般的です。このように、臨床から離れることなく研究の時間が確保されており、充実した大学院生活を送ることが出来ると言えます! 詳細については当科のキャリアプランが記載された別ページで紹介されていますので、そちらをご覧下さい。

 私はこれまで、札幌医科大学旧第一内科、市立室蘭総合病院、小樽市立病院で消化器内科医として広く消化器内科学を学ばせていただきました。医学が進歩し、各種疾患における病態の解明、新規治療法の開発が進む現状においても、日常臨床で直面する困難は尽きず、様々なclinical questionが生じます。私はこれまで、経験した一例一例を大切にし、検討・考察を行って、症例報告をしてきました。しかしながら、その中で生じた疑問点に関して、特に基礎的な分野における理解が浅いことを常々痛感しておりました。そこで私は、臨床に基づいた基礎医学を学ぶため、昨年度より札幌医科大学大学院医学研究科に入学致しました。

 現在、私は2月に京都大学より赴任された仲瀬教授の下、炎症性腸疾患、特に炎症性大腸発癌の機序についての基礎研究を行っております。仲瀬教授は炎症性腸疾患の分野において、臨床・基礎の両方面で世界をleadし、これまで数多くの大学院生を指導してこられました。若手教育にも非常に力を入れていて、我々大学院生に対しても熱心な指導を行ってくれています。私はまだ研究生活が浅く、わからないことばかりではありますが、教授をはじめ、同じく炎症性腸疾患の基礎研究を行っている大学院生4年目の川上先生、実験助手さんなど多くの方に助けていただきながら、世界に先駆けた報告が多数出来るよう着実に実験を進めています。本年度は札幌医科大学大学院生の中で10人が採択されるResearch Assitantにも選考していただき、身の引き締まる思いであり、益々臨床・研究に精進していくつもりです。

大学院生活と進学へのススメ
大学院生活と進学へのススメ

 医師生活およそ40年の中で、4年間の基礎研究がその後の臨床に及ぼす影響は非常に大きなものであると、私は感じています。我々は、一緒に研究を行ってくれる大学院生を常に募集しています! 大学院進学に興味のある方は是非ご連絡下さい。お待ちしています。

大学院生活と進学へのススメ

札幌医科大学 消化器内科学講座  小野寺 馨
(2016年 札幌医科大学大学院医学研究科 修了)

 このページを見ている若手ドクターのあなた,「大学院」にどのようなイメージをもっていますか?「何やら基礎研究をして,医学博士を取るところ?」「そもそも研究ってする必要あるの?」「医学博士って将来何かの役に立つの?」などなど,その程度のものではないでしょうか?まさに私がその通りでした.

 ではまず,大学院とはどのような仕組みになっているかを簡単にみてみましょう.医学部以外の場合には2年間の「修士課程」を経て4年間の「博士課程」への進学となりますが,医学部の場合は最初から「博士課程」への進学となります.つぎに,博士課程とはどのようなものかみてみると,「専攻分野について,研究者として自立して研究活動を行うこと.又,その他の高度に専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を養うこと」と定義されています (文部科学省大学院設置基準).つまり,「自ら研究を計画・実行し,結果を解釈・評価し,さらに計画を改善し研究を深めていく」という能力を身につけることが大学院の目的であり,医学博士とはそのような能力を身につけた人に与えられる証,ということではないかと私は考えています.私は2005年に札幌医科大学医学部を卒業,消化器内科医として道内外の施設で臨床医として勤務したのち,2012年 (卒後8年目) で大学院に進学しました.医学部卒業当時は大学院進学を全く考えていませんでしたし,大学院に進学したのも自ら研究したいテーマがあったわけではなく,先輩のすすめで何となく,という理由が主でした.私の研究テーマは「日本人炎症性腸疾患患者における遺伝子変異の探索」であり,もちろん研究を通じて炎症性腸疾患や遺伝子変異解析について学ぶことができました.しかしそれ以上に,たくさん失敗や試行錯誤をする中で,いろいろな角度から物事を考える力を身につけることができたことが,大学院生活の最大の収穫・魅力でした.

 若手ドクターの中には「研究には興味がない」「研究する時間があるならを臨床の現場でもっと経験を積みたい」と考える人もいると思います.確かに大学院生は研究業務が主ですから,臨床業務からはある程度離れなくてはなりません.しかし,「計画・実行・評価・改善」というプロセスは,個々の症例に対して治療計画をたて,治療を行い,その結果を評価し,問題点があれば治療計画を改善する,という臨床の現場においても必要不可欠なものです.一時的に臨床の現場から遠ざかることとなっても,基礎研究を経験することは臨床医としても必ずレベルアップにつながります.

 若手ドクターの皆さんはまずは目の前の患者さん一人ひとりを丁寧に,一生懸命診療してください.それは何よりも大切なことです.そうして何年間か診療していくうちに,きっと自分なりの臨床的疑問点がでてくると思います.その疑問を解決するために研究を行うことができれば大変素晴らしいことですし,たとえ指導教官から与えられたテーマであっても,研究に携わった経験はその後の医師人生を非常に豊かにしてくれるものに違いありません.私たち消化器内科学講座では,炎症性腸疾患や消化器腫瘍を中心に研究を行っており,熱意あふれる指導教官が皆様をお待ちしています.もうすでに研究に興味がある人も,いまはまだ研究に興味がない人も,ぜひ大学院進学を将来の選択肢のひとつに加えてみてください.若者よ!きたれ大学院に!!

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