定位放射線治療


 放射線治療機器の進歩によりX線を非同一平面の様々な方向から正確に腫瘍に集中させて照射することで、ピンポイントでの放射線治療が可能となってきました。これを定位放射線治療(SRT : Stereotactic Radiotherapy)といいます。

当院では199X年より肺癌に対する定位放射線治療を開始しております。悪性腫瘍に対するSRTは現在転移性脳腫瘍を中心とした頭頸部腫瘍と肺腫瘍(肺癌、転移性肺腫瘍)、肝腫瘍(肝癌、転移性肝腫瘍)が保険適応となっています。当院では主に原発性肺癌、転移性肺腫瘍、転移性脳腫瘍に対してSRTを行っています。

 SRTは通常照射と比べ1回の照射線量を大きくし、短期間で治療を終えることが可能となります。腫瘍に対しては通常分割照射(2 Gy/回)に換算して、90-100 Gy以上の抗腫瘍効果を得ることが可能で、これにより高い局所制御率が得られています。

 シェルによる非浸襲的な固定具を用いて毎回の照射時に画像誘導を行い高精度の治療を行っています。体幹部の治療の際には呼吸同期も併用し、腫瘍の呼吸性移動の影響を極力軽減させています。

 また保険適応以外の腎細胞癌に対しても臨床試験としてSRTを応用しています。また単発性転移腫瘍(oligometastasis)などSRTが適当と思われる疾患には積極的な応用を検討しているところです。