マイクロセレクトロンHDR
子宮頸癌に対する子宮腔内照射
子宮頸癌に対する放射線治療として、外照射と腔内照射を組み合わせる事は、根治的治療のために必須であり、標準的治療とされています。
当院では子宮頸癌に対する子宮腔内照射にマイクロセレクトロンHDRシステムを2010年より導入しました。
この装置はオランダNucletron社の密封小線源イリジウム-192を使用した高線量率のリモートアフターローディングシステム(RALS)で、術者(=放射線治療医)の被曝はありません。
はじめに術者がアプリケーターと呼ばれる器具を挿入します。タンデムとオボイドと呼ばれる器具を組み合わせて使用します。 その状態で正・側面のX線写真を撮像します。これを治療計画装置に転送し、コンピューターでアプリケーター中のどの位置で、どの程度の時間イリジウム線源を停留させるかを設定します。線量分布図を作成しA点への処方線量を決定します。
その後に遠隔操作でマイクロセレクトロン内に格納されている密封小線源イリジウム-192が器具の中に入り、設定した場所に動き、設定した時間停留する事で子宮腔内照射は行われます。
《治療の流れ》
1.治療前日
治療の準備として、前日に子宮の入口をひろげるためのラミナリア挿入という処置を行います。これは産婦人科の先生に依頼して行います。
2.治療当日
婦人科診察の体位になっていただき、子宮腔内照射用の器具を挿入します。
器具を挿入する時に違和感や痛みがあるため、治療1時間前に痛み止めの内服または注射をします。挿入後は一般的に強い痛みはありません。
器具内を通して子宮内に一時的に放射性物質(イリジウム‐192)をいれて治療を行います。
実際に放射線が照射されている時間は5-15分間です。
治療後にCT画像を撮影して、器具を外します。
準備から始めて治療が終了するまでには1時間半~2時間程度かかります。
3.治療後の生活は
子宮腔内照射の治療が終わった後は、念のため1泊入院するか、自宅に帰って安静にしてもらいます。翌日以降は生活に特別な制限は必要ありません。
これを週1回、合計で2-4回行います。回数は患者様の病期や状態によって変わります。
また、体内に放射性物質が入るのは治療中だけなので、周囲の人への放射線の影響はありません。