インターベンショナルラジオロジー
IVR (Interventional Radiology)インターベンショナルラジオロジーとは;
“画像診断装置を用いた侵襲性の低い治療”のことです。
「侵襲性が低い」とは患者様に“やさしい治療”を意味します。IVRは目の代わりに画像診断装置を使用し,手の代わりの治療器具としてカテーテルや針など細い道具を使用します。このため患者様の傷口が数ミリから1㎝程度での治療が可能です。このように,患者様への負担が低減され,多くの場合は治療期間が短くなります。
IVRによるさまざまな治療は、手術と同等の効果を示す場合も多く、手術への不安が大きい患者様に対しても、合併症を少なく安全に効果を示す可能性があります。また、がん治療においては、手術や全身的な抗がん剤点滴投与では体力的に不可能である場合に、IVRが考慮されることがあります。
❏ いろいろな病気に対するIVR
IVR × がん治療;
肝臓のがんに対して動脈のカテーテルから腫瘍に対して“つめもの”を注入する塞栓術(動脈塞栓術)や、抗がん剤を注入する動注化学療法が行われます。また、針を刺して腫瘍を焼灼する治療(経皮的ラジオ波凝固療法)もあります。焼灼療法は手術に匹敵する治療として行われます。頭頚部や骨盤内の腫瘍に対して、他の治療法がない場合に抗癌剤の動注化学療法を放射線治療との併用で行われています。その他の腫瘍に対しても、手術前に腫瘍縮小、出血防止の目的で補助療法として行われます。また,他のがん治療法では体力的に続かない場合、侵襲性が高く行えない場合に,患者様に提案させていただくことがあります。
IVR × 救急救命治療;
交通事故、高所転落など様々な要因による外傷性の出血,動脈瘤破裂による出血,その他多くの要因による出血に対して、救命センターや外科からの依頼で,緊急に血管塞栓術として対応します。交通外傷などで動脈性の出血がある場合には、手術よりもまずIVR医によるカテーテルによる動脈塞栓術が選択されます。また、産科で異常分娩が疑われる場合、帝王切開での大量出血が疑われる場合には,産科とのコラボレーションで手術の補助としての一時的な動脈塞栓術を行なっています。
IVR × 血管内治療;
前述のように,出血に対しての緊急動脈塞栓術があります(IVR × 救急救命治療参照)。動脈狭窄・閉塞の場合には、狭くなった動脈を医療用の風船や金属の拡張器具で広げてする治療もあります(経皮的血管拡張術)。動脈瘤は破裂すると生命を脅かすため、破裂前にコイルでつめます(コイル塞栓術)。大動脈に大きな動脈瘤がある場合には、以前は手術が行われていましたがIVR手技によるステントグラフト内挿術が施行されるようになってきました。
IVR × 血管外治療;
体の中に膿ができているときには、そこにチューブを留置して排膿します(経皮的ドレナージ術)。腫瘍がある場合には針をさして熱により焼灼療法をします(経皮的ラジオは凝固療法)。
IVR × 子宮筋腫治療;保険診療適応になりました!!
いままでは保険がきかず,全額自費で負担しなければなりませんでしたが,新しい塞栓物質の出現により保険診療が可能となりました.子宮筋腫が原因の過多月経による貧血,腹部圧迫症状,頻尿などにお困りの患者様の治療として,子宮動脈を小さな球状の物質で詰めて兵糧攻めにします.2泊から3泊の入院で済む低侵襲な治療で,子宮の温存が可能であり,患者満足度が高いため,さらなる発展が見込まれています.まずは当科外来に受診いただきお話をさせて下さい。当科での症例経験から詳しくお話させていただきます。
IVR × 圧迫骨折治療;
近年では、痛みの取れない脊椎圧迫骨折に対して、経皮的椎体形成術というセメントを注入する治療もおこなわれています。圧迫骨折の遷延する痛みはありませんか?骨折した脊椎骨にセメントを注入して痛みを取ります。保険適応がありませんので、まずは当科外来に受診下さい。