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ホーム > Research  > 金関貴幸[がん抗原の網羅的探索]

Research

講師

金関 貴幸 M.D. Ph.D.

(かなせき たかゆき)

学歴

1997年 札幌医科大学医学部卒業
2002年 札幌医科大学医学部大学院修了

海外・国内留学

2002-2009年 カリフォルニア州立大学バークレー校免疫学部門 (Nilabh Shastri研究室)

学会

日本癌学会(評議員)
日本免疫学会(評議員)
日本病理学会(評議員 / 病理専門医)
日本がん免疫学会(評議員)
日本臨床ストレス応答学会(評議員)

金関貴幸

免疫ペプチドミクスによるT細胞がん免疫応答メカニズム解明と医療応用

ZoompMHC

がん治療の選択肢として免疫チェックポイント阻害剤が定着しつつあります。免疫チェックポイント阻害剤は、がんに反応するT細胞を活性化する治療法です。T細胞は、HLA上に提示されたがん抗原を目印に、がん細胞と正常細胞を識別します。しかしこの識別メカニズムには謎がまだ多く残されています。私たちの研究グループは、免疫ペプチドミクスと呼ばれる新しいオミクス解析技術を駆使し、T細胞標的抗原の正体と反応性T細胞の特徴や変化を1細胞レベルで解析しています。がんに対する新しい免疫医療の創生を目指しています。

 

細胞表面のHLA分子には細胞内分解されたペプチド断片が結合し、10^4-10^5個ものペプチド-HLA複合体(peptide-HLA complex, pHLA)が常に提示されています(免疫ペプチドーム)。T細胞は、標的細胞の膨大な免疫ペプチドームをスキャンし、自身のT細胞レセプターが認識するpHLAを探します。pHLAはT細胞と標的をつなぐ重要な「カギ」の役目を担っています。このpHLAに含まれるペプチドの配列を、ゲノミクスとプロテオミクスを組み合わせて網羅的に解読する新しい手法が登場しました。このオミクス解析は、免疫ペプチドミクスと呼ばれ、とくにがん研究領域で浸透しつつあります。免疫ペプチドミクスは強力な研究手法であり、T細胞免疫研究にブレイクスルーをもたらす可能性があります。私たちの研究チームはこの技術を世界に先駆けて確立しました。これまでに、lncRNAなど本来非コード領域である遺伝子からも翻訳が生じ、がん抗原ペプチドが生まれることを発見しました(Kikuchi Y 2021 Cancer Immunol Res)。さらに固形がん組織からHLAクラスIIネオ抗原を検出し、シングルセル解析(scRNA-seqとscTCR-seq)を通して、ネオ抗原反応性に細胞傷害性を示す新しいCD4+T細胞サブセットを発見しました(Fusagawa M 2025 Cancer Immunol Res)。周知のように、体細胞変異に由来するネオ抗原は魅力的ながん抗原のひとつです。いま世界中でネオ抗原を標的としたがんワクチンの臨床試験が行われています。ただし、ネオ抗原配列は個人毎に全く異なりますので、完全な個別化医療となります。私たちは免疫ペプチドミクスを応用した独自のネオ抗原検出法を開発しました(Tokita S 2024 Science Advances)。この方法を用いると、個人毎に最適化されたネオ抗原を効率的に特定できるようになります。現在、この技術を活かした個別化がんワクチンの開発をすすめています。技術イノベーションによる疾患病態の理解と医療応用を目指して研究に取り組んでいます。

主な論文

競争的資金

賞与

北海道科学技術奨励賞(2018)
日本病理学会学術研究賞(2018)

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