小菅 信哉 さん(実習年度:平成28年)
医療に貢献しているという感覚を体験
小菅 信哉 さん(王子総合病院 外科・呼吸器外科)
地域包括型診療参加臨床実習を選択した理由は?
理由はいくつかあり、まず、初期研修で希望している病院だということです。私が将来の志望科として一般外科を考えているのも理由のひとつです。大学の実習では見られないような症例を学生のうちに経験しておきたいと思いました。また、大学の実習ではどうしても学生の人数が多く、先生に付きっきりで指導をしていただくことは難しくなりますが、市中病院での実習だと基本的に学生は自分一人だけなので、たくさんの役割を与えていただけると思いました。
実習先での1日のスケジュール
朝7:50から入院患者のカンファレンスを行い、8時過ぎから病棟回診、8:30から午前の手術患者が入室し、手術に入ります。午後も手術で、夕方は曜日によって異なり、呼吸器内科との合同カンファレンスや、術後病理結果の検討会、翌週に手術を行う患者の術前カンファレンス、乳がん検診患者のマンモ読影会、薬の説明会などがあり、一日が終わります。手術日は月・火・木・金曜日ですが、水曜日にも入ることがしばしばあります。先生一人ひとりが30人近くいる患者全員のことを把握されており(消化器外科だけでなく呼吸器や乳腺の患者も)、驚かされました。ですが、私も4週目には新規入院患者以外のことは大体把握できるようになっていました。回診では指導医の監督のもと術後のドレーン抜去や抜鈎をさせていただきました。手術の時には第2助手か第3助手で入らせていただきましたが、その症例は本当に様々でした。腹腔鏡での手術も開腹での手術もありましたが、とにかく早くてついていくのがやっとでした(PDが2時間で終わるとは…)。術後には家族へのICに同席し、病理検体の作成を手伝わせていただきました。術前カンファレンスでは何人か患者さんを当てられ、プレゼンテーションをさせていただく機会も数回ありました。癌の進行期分類や、画像の読影で気をつけて見るべき点など、プレゼンをすることで自分に不足している知識が浮き彫りになってきました。担当した患者さんは4週間を通して3名で、毎日のSOAPカルテに記入しました。抄読会でも一度発表をさせていただきました。PHSを病院から与えられたので臨時手術が入ったときは呼んでいただきました。他にも、救急外来見学、サテライト実習(救急車同乗や訪問看護)などがあり、4週間を通してとても充実していました。
実習を通して得たもの、学んだことについて
学生なのでできることはどうしても限られてしまいますが、先生方からは研修医と同じように扱っていただきました。自分が医療に貢献しているという感覚を体験できたこと、そして早く自分も担当患者を与えられるようになりたいと思えたことがこの実習を選択して得られた一番大きなものだと思います。症例検討会で発表した症例は、若年で大腸癌と診断された方だったのですが、やはり手術前にはかなり不安が強いようでした。無事に手術が終わった後も、病理結果のICを行うまではすごく不安そうな様子でした。自分には何ができるというわけではないのですが、忙しい先生方や看護師さんの代わりに話を聞くだけでも、きっと患者さんの為になると信じて実践しました。もちろん、患者さんに感謝されることが目標ではないのですが、少なからず仕事のやりがいにつながることだと思いました。外科というと手術のイメージが強かったのですが、周術期の疼痛管理や合併症対策も重要だということを学びました。
後輩へのメッセージ
来年度以降に地域包括実習を受ける方へ伝えたいことは、やりたいことを明確にして積極的に自分の希望を伝えていって欲しいということです。このことは地域包括実習に限ったことではありませんが、市中病院での実習は大学での実習とは異なり自由性が強いので、ちょっと言いにくいようなことでも提案してみると意外と通ったりします。私は初日に若手の先生にお願いして、臨時手術に呼んでもらうようにしました。また、上の先生に聞きにくい質問は、研修医の先生に聞いてみるのがお勧めです。分からないことでも、一緒に調べてくれたりします。
最終更新日:2015年10月04日