丸山 創 さん(実習年度:平成28年)
“お客様”から脱却、チームの一員として参加できました
丸山 創 さん(帯広厚生病院 循環器内科)
地域包括型診療参加臨床実習を選択した理由は?
理由の一つは初期臨床研修病院の候補として帯広厚生病院を考えていたためです。短期間ではたまたま経験できないことも出てくると思いますが、長くいればそれだけその病院の本質的な部分に触れられると思いました。加えて、診療参加型実習ということで、大学病院から離れ、より実地に踏み込んだ実習ができるという前評判を聞いていたことも理由としてあげられます。国家試験の勉強も大切ですが、1年後には研修医として働く自分が現時点で何をできて、何をやるべきか考える機会を得られるのではないかと考え、この実習を選択しました。
実習先での1日のスケジュール
帯広厚生病院の第2内科(循環器)は循環器と腎臓を主に診ている科です。心臓のカテーテル検査・治療や透析を行っています。私は指導医、初期研修医とともに3人でチームを組み、朝回診とその後の簡単な報告・ディスカッションを行います。それが終わると、毎朝9時から血管造影室で行われる心臓カテーテル検査に参加します。この心臓カテーテル検査が実習の中で大きな比重を占めています。指導医の監督のもと、冠動脈の狭窄の評価をする冠動脈造影検査にガウンを着て参加させてもらうことが可能です。検査器具の準備や検査中の介助の手順を勉強すると検査自体の理解が進み、虚血性心疾患をはじめとする循環器疾患の病態理解が飛躍的に高まります。循環器疾患は急性心筋梗塞のように緊急対応が必要な疾患があるため、検査の途中で救急外来に循環器コールが来ます。その場合は救急外来へ行き、初期対応から検査までの一連の流れを見ることができます。検査が落ち着くとまた病棟で指導医についてICに同席させてもらうなど、実際の業務を幅広く見ることができます。
実習を通して得たもの、学んだことについて
研修医の先生から将来のキャリアプランや様々なアドバイスをもらったり、新患問診という初期研修医1年目の仕事を手伝わせていただいたりする中で、研修医の仕事というものの実際がとてもよく見えました。また、1ヶ月間実習をしていると、何人かの患者さんについて入院から退院までを見ることができ、そういった患者さんと話をする中で、家庭環境や患者さんの背景にあるものまで知ることができるため、患者さんとの関わり方を考える良い機会になりました。入院中毎日回診をする中で浮かび上がってくるプロブレムを把握していくと、その患者さんが退院した後の自宅での生活で起きうる問題まで考えるという経験ができました。サテライト実習では、療養型病院に実習へ行かせてもらいました。急性期病院から転院した患者さんがどのような生活を送っているのかを目の当たりにし、慢性期の病院の様子や考え方を知ることができます。医療というものは急性期、慢性期、在宅医療など多岐にわたり、それぞれがシームレスに連携することで質を担保できるということを感じました。
後輩へのメッセージ
この実習は選択した病院と診療科によってできることが異なりますが、どこを選択しても言えることは、大学病院を出て1か月同じところで実習できるのはこの地域包括型診療参加臨床実習だけだということです。各科の関連病院での実習では滞在期間が短いため、いわゆる“お客様”から脱却できないと思います。1ヵ月という長い期間実習することで、受け入れていただく診療科の先生方と少し踏み込んで関わっていけると思いますし、その結果、学生がチームの一員として参加できるのだと思います。そして、研修医を疑似体験できるという点でも、お勧めです。初期研修医は1か月ないし2か月でローテートすることが多いと思いますが、初期研修医の姿を間近で見ながら自分も1か月同じ病棟にいることは、1年後自分に求められることは何かということを非常に明確にしてくれます。
この実習を選択するかどうかの動機は、どんなものでもいいと思います。それぞれのニーズに合った病院があると思いますので、説明を聞いてみて、興味を持ったのなら、是非選択してみてください。良い経験が得られると思います。
最終更新日:2015年10月04日