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平成30年度 新人看護職員対象 研修報告
「文献検索」「社会人基礎力」「フィジカルアセスメントⅡ」
11月22日(木)・27日(火)に「文献検索」「社会人基礎力」「フィジカルアセスメントⅡ」の研修を行いました。
「文献検索」では、講義で文献検索の意義、文献の種類、文献の読み方と文献情報の資料化、文献整理の仕方について学びました。その後、実際にコンピュータを使用し、全員で検索を演習し、最後に、事前に考えてきた調べたいこと知りたいことについて個々で文献検索を行いました。
▲コンピュータ実習室で行いました | ▲看護学科 首藤講師の指導を受けながら検索中です |
「社会人基礎力」では、7月と同様に、事前に自己評価してきた11月までの行動目標をグループで振り返り、次に3月までの行動目標を考えました。他者との振り返りは社会人基礎力の向上につながるため、研修後には、さらに実地指導者と振り返り、3月までの個人目標が決まります。
「フィジカルアセスメントⅡ」では、「フィジカルアセスメントⅠ」で学んだ知識・技術と臨床経験を活用し、2つの事例の症状アセスメントに取り組みました。
「予測される状態」「事前情報の整理と追加で必要な情報(問診・観察)」「現状のアセスメント」「今後の予測や看護ケア」についてグループで検討し、受講者全体で発表し共有しました。そして講師の解説を受けることで、患者に起こり得る状態を常に予測すること、意図的な情報収集、的確なアセスメントが最善の看護ケアにつながることを学びました。
なお今回は、事例に即した模擬的な看護場面を設定し、複数のグループの代表者が皆の前で問診・観察を実演しました。またグループの検討内容はすべてホワイトボードに記載し、検討内容を比較・共有できる状況としました。これにより、ほどよい緊張感や現実感をもって研修に取り組むとともに、ホワイトボードを活用した検討内容の発表や振り返りにより、他者からの新たな視点を得て、学びを深めることができていました。
今回をもちまして、平成30年度の新人看護職員研修のプログラムがすべて終了しました。新人看護職員の皆さんには今後の自己研鑽の積み重ねによる更なる成長・活躍とともに、数か月後には一番身近な先輩看護師として、後輩を支えてくれることを期待します。
「看護診断基礎」「看取りのケア」
10月24日(水)・29(月)に「看護診断基礎」「看取りのケア」の研修を行いました。
「看護診断基礎」では、看護診断の意義・構成要素、ゴードンの機能的健康パターンのアセスメントの視点、看護診断のプロセスを講義で学びました。その後、事例を用いた演習では、アセスメントから診断仮説をあげ、診断仮説を検証し看護診断確定までの一連のプロセスについて、『NANDA-I看護診断』で診断の内容を確認しながら学びました。アセスメントの重要性を再確認し、看護診断の難しさも感じつつ必要性を理解した様子が窺えました。
「看取りのケア」では、看取りの時期における看護の役割やエンゼルケアの基礎知識を学びました。また、看取りの時期にある患者とその家族の映像を視聴し、患者や家族の気持ちをイメージすることができた様子がみられました。さらに、死に向かう患者の事例を用いたグループディスカッションでは、患者や家族の立場になり、具体的な看護援助を考えました。
研修を通して、患者に寄り添いそばにいること、患者や家族の意向を尊重したケアや安心感・信頼感につながるケアを日常から行うことが大切であると学びました。
▲模索しながら看護診断を考えています | ▲患者の意思や意向を尊重するケアとは何か、 患者の立場になって話し合っています |
「他部門研修」
9月20日(木)、9月21日(金)、10月4日(木)、10月17日(水)の4日間に分かれて「他部門研修」を行いました。
6部門(薬剤部、リハビリテーション部、中央滅菌・検査部、放射線部、院内SPDセンター、検査部)のうち2部門の同行研修を行い、その後報告会を行いました。報告会では、研修した部門の体験を互いに共有することで、行かなかった部門についても理解し、他職種スタッフとのコミュニケーションの必要性、他部門との連携によって安全かつ迅速なケアにつながることを学びました。
「褥瘡予防」「社会人基礎力」「多重課題」
「褥瘡予防」では、以下の講義・演習を行いました。
- 褥瘡と医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)の予防とケアについての講義
- 静脈血栓塞栓症(DVT)予防についての講義、弾性ストッキング装着演習
- 事例を用いたDESIDN-Rを含む褥瘡リスクアセスメント
受講者は、これまで観察してきたことやポジショニングの方法など、自己の実践を振り返るとともに、褥瘡および医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)の予防的ケアを具体的に学びました。
「社会人基礎力」では、7月までの行動目標を振り返り、次に11月までの行動目標を考えました。
「多重課題」では、入院患者4名の重なる看護ケアについて優先順位を考えて調整したり、割り込みの看護ケアが発生した場面への対応について机上でトレーニングしました。グループディスカッションと発表を繰り返して異なる意見や理由を共有し、重なる看護ケアを調整するための視点をみんなで導き出しました。同様に、適切な報告・相談をするための視点も整理し、SBARを参考にして報告のシミュレーションを行いました。
多重課題に直面したときの感情を振り返る時間も設け、「フリーズする」「慌てる」「混乱する」など自らの傾向に気づき、今後の課題を見出した受講者もいました。
臨床現場でも、今回学んだ重なる看護ケアを調整するための視点、適切な報告・相談する視点や方法を思い出し、落ち着いて対応してほしいと思います。
「フォローアップ研修」
7月10日(火)・11日(水)に「フォローアップ研修」を行いました。
交流会①では、グループで、就職してから仕事と私生活で「嬉しかったこと」「リフレッシュ方法」などを模造紙に記載し、発表しました。仕事に関しては「できることが増えてきた」「先輩に褒められて嬉しかった」などが記載され、私生活に関しては「飲みに行く」「旅行に行った」などが記載されていました。
交流会②では、グループで、「これから自分がどうなりたいか」などを伝え合い、一人ずつ画用紙に「私にもなれる○○看護師」を記載し、発表しました。「先輩のように患者・家族に優しい看護師になりたい」など、ロールモデルになっている先輩に近づきたいと思っている新人が多くいました。
運動・ゲームも行い、紅白に分かれ作戦会議をしながら競い合いました。
研修全体を通して、メンバー同士で話し合いながら作業をしたりすることで社会人基礎力を多く発揮できており、また同期と交流することでリフレッシュしている様子が窺えました。
「糖尿病の薬物療法と看護」「院内BLS・AED」
6月27日28日に「糖尿病の薬物療法と看護」「院内BLS・AED」の研修を行いました。
「糖尿病の薬物療法と看護」では、以下の事例ごとにグループディスカッションと発表を行い、その後、講師から基礎知識や留意点を含めた事例の解説を受けました。
- インスリン注射と経口血糖降下薬を使用している周手術期の患者の対応とその根拠
- 造影CTを撮影することになったビグアナイド系糖尿病薬内服中の患者の対応とその根拠
- 体調不良時の対応と糖尿病薬の管理に関する患者への退院指導とその根拠
さらに、「当院の糖尿病薬に関するインシデントの傾向と対策」について説明を受けました。研修を通して、糖尿病薬の特徴と手術・検査・体調などによる血糖の変動を理解し、根拠を持った観察や対処を行うことや、インシデント予防の重要性を学ぶことができました。
▲グループディスカッションのあと、発表する様子です | ▲講師の解説を聴き、医療安全対策マニュアルで 当院のSSAを確認中です |
「院内BLS・AED」では、一次救命処置から二次救命処置までの流れについて、講義と演習を交互に行いながら学習しました。指導者から説明を受けて演習を重ねる中で、救命処置の技術やチームワークが向上していきました。
いつどこで救命処置が必要になっても自分の役割を見つけて力を発揮できるように、部署での研修会や院内外の研修会などへ参加して、技術の維持・向上が図られることを期待します。
「導尿」「膀胱留置カテーテルの挿入と管理」
6月6日(水)・7日(木)に「導尿」「膀胱留置カテーテルの挿入と管理」の研修を行いました。
講義で、解剖・生理、導尿と膀胱留置カテーテル挿入の目的・適応、リスクおよび注意事項を学びました。次に、モデル人形で演習を行いました。尿器や処置キットの位置などの物品配置や無菌操作の手順に苦慮しながら行っている様子が見られました。
「膀胱留置カテーテルの挿入」では、標準予防策もすべて実施しました。手指消毒や使い捨て手袋着脱のタイミングを手順通り記憶するのではなく、なぜそのタイミングで行う必要性があるのかを考えながら演習を行いました。また、「患者の苦痛や羞恥心・不安にどのように配慮するか」という振り返りも行い、患者への声かけや苦痛・不安への配慮の必要性を再確認することができました。
今回の研修で技術研修は終了です。講義・演習で学んだことや振り返りから見えた今後の課題などを、臨床の場で活かしてくれることを期待しています!
「フィジカルアセスメントⅠ」
5月16日(水)・17日(木)に「フィジカルアセスメントⅠ」の研修を行いました。
講義では、循環器系・呼吸器系・消化器系・神経系のアセスメントに関する基礎的な知識とフィジカルアセスメントの方法(問診・視診・聴診・触診・打診)について学びました。循環器系では動脈の触知や心電図波形の判断、呼吸器系や消化器系では音源を用いた異常音の聴取・判断、神経系では模擬患者映像の視聴後のGCS判定などの演習も行いました。
演習Aでは正しい技術を習得するため、モデル人形の使用や受講者同士の体験で呼吸器系、消化器系、神経系のフィジカルイグザミネーションを実施しました。
演習Bでは「ベッドサイドで転倒し臀部を打撲した患者に遭遇した看護師が、患者の身体状態を判断しながら対応する」という看護場面を視聴する演習を行いました。映像を視聴することで看護師の行動を追体験し、グループ検討・講師の解説により緊急性や重症度の判断やアセスメントの視点、必要な看護ケアについて学びました。この演習を通し、多くの受講者が観察の視点や患者の状態判断における思考過程、意図的な情報収集の必要性を学んだと述べていました。
11月には「フィジカルアセスメントⅡ」の研修があります。今回の学びを活かして取り組めるような研修を企画しますのでお楽しみに!
「吸引(口腔内・鼻腔内)」「ME機器の取扱いと看護」
4月25日(水)・26日(木)に「吸引(口腔内・鼻腔内)」「ME機器の取扱いと看護」の研修を行いました。
「吸引」の講義では、吸引による合併症、観察・アセスメントの重要性、苦痛・不安への配慮などを学びました。演習ではモデル人形に吸引を行いましたが、手技に一生懸命になってしまい、患者の状態の観察や不安を軽減するための声かけを忘れてしまうことがあり、多くの受講者が今後の課題としていました。
「ME機器の取扱いと看護」の講義では、輸液ポンプ・シリンジポンプの仕組み、使用方法、アラーム対応などを学び、「輸液ポンプを初めて使用する患者」に対して、患者の認知・ADLの状況をどのようにアセスメントし、環境調整や説明が必要なのかグループディスカッションを行いました。演習では、輸液ポンプ、シリンジポンプの手順に従った基本操作とアラーム対応を行いました。手順を一つ一つ確認していても、クレンメの閉め忘れ・開け忘れなどがあり、確認を確実に行うことの必要性を実感しました。
新規採用時研修
平成30年4月2日、札幌医科大学附属病院は新規採用看護職員69名を迎えました!
4月2日(月)~5日(木)、4月10日(火)の計5日間、新規採用時研修を行いました。辞令交付式に始まり、病院や看護部の理念や安全管理についての他、電子カルテや接遇、採血の演習など、当院の看護職員として必要なオリエンテーションや研修を行いました。
~新人バッジについて~
新人看護職員は1年間「新人バッジ」を装着します。
これは、新人看護職員が初心者としての自覚を持ち看護に取り組むため、また患者さん・ご家族・他職種へ新人であることを提示するためのものです。
看護職員の名札にこのバッジを見かけた際には、あたたかくご指導いただければと思います。
就職前看護技術研修
平成30年3月27日に、就職前看護技術研修を行いました。
この研修は、平成30年度の新規採用看護職員を対象に、就職前に基本的な看護技術を復習し、また同期の仲間づくりのきっかけにつなげる目的で、例年この時期に開催しています。今年度は「バイタルサインズの測定」「おむつ交換」「陰部ケア」の研修を行いました。
「バイタルサインズの測定」では、受講者が互いに体温、脈拍、呼吸、血圧を測定し合いながら手順を復習しました。
「おむつ交換」「陰部ケア」では、排泄ケアが有する特徴やアセスメントのポイント、おむつ使用時の基礎知識、陰部洗浄・おむつ交換の目的・方法について学び、看護技術の根拠や留意点を考えるグループディスカッションも行いました。演習では、モデル人形に対し2種類のおむつを使用して、製品による当て方の違いを確認しながら陰部洗浄とおむつ交換を実施しました。実施と振り返りを繰り返す中で、講義で得た知識と技術がつながっていった様子でした。「理由や根拠を考えながら実施できた」「実際に体験したり、振り返ることで理解を深めることができた」などの声があり、基本的な看護技術の復習やスキルアップにつながったようです。
今回の研修では、各看護大学で実習インストラクターとして活躍する先生に援助者をお願いしました。はじめは緊張した面持ちだった受講者も、先生の支援もあって活発なグループディスカッションや効果的な演習を行うことができました。受講者からは「同期と交流の場が持てて良かった」「就職前に知識、技術を確認でき、不安が軽減した」などという声が多数あり、有意義な研修であったと実感しました。
平成30年度の新人看護職員研修の幕開けとなった一日でした。