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2019年度 新人看護職員対象 研修報告
「文献検索」「社会人基礎力」「フィジカルアセスメントⅡ」
11月12日(火)・13日(水)に「文献検索」「社会人基礎力」「フィジカルアセスメントⅡ」の研修を行いました。
「文献検索」では、講義で文献検索の意義、文献の種類、文献の読み方と文献情報の資料化、文献整理の仕方について学びました。その後、実際にコンピュータを使用し、全員で検索を演習し、最後に、事前に考えてきた調べたいこと知りたいことについて個々で文献検索を行いました。
▲コンピュータ実習室で行いました | ▲看護学科 首藤講師の指導を受けながら検索中です |
「社会人基礎力」では、7~11月の行動目標の自己評価と実地指導者からの他者評価を元に、評価が低かった能力要素についてディスカッションし、3月までの行動目標を考えました。
「フィジカルアセスメントⅡ」では、5月に実施した「フィジカルアセスメントⅠ」で学んだ知識・技術とこれまでの臨床経験を活用して2つの事例のアセスメントに取り組む中で、臨床の看護職が日々の実践の中で行っているフィジカルアセスメントの思考過程を学びました。
提示された情報から、確定には至らなくても状況がどうであり今後どうなっていくのか予測し、臨床像を全体的に把握することを契機として、追加して収集する情報やアセスメント・看護ケアをグループで検討しました。グループ検討と全体発表、講師の解説を通して、患者さんに起こり得る状態を常に予測した上での意図的な情報収集、的確なアセスメントが適切な看護ケアにつながることを学びました。また、事例の患者さんを観察するために必要なフィジカルイグザミネーションについても復習しました。
今回をもちまして、2019年度の新人看護職員研修のプログラムがすべて終了しました。
新人看護職員の皆さんには今後の自己研鑽による成長と活躍とともに、数か月後には一番身近な先輩看護師として、後輩を支えてくれることを期待しています。
「看護診断基礎」「看取りのケア」
10月29日(火)・30(水)に「看護診断基礎」「看取りのケア」の研修を行いました。
「看護診断基礎」では、看護診断の意義・構成要素、ゴードンの機能的健康パターンのアセスメントの視点、看護診断のプロセスを講義で学びました。その後、事例を用いてゴードンの機能的健康パターンの各アセスメントから診断仮説を考え、『NANDA-I看護診断』の本を実際に開きながら診断仮説が妥当かどうか検証し、確定診断に至るまでのプロセスを演習で学びました。
自部署では、患者の入院から退院までを担当看護師として中心になって看ていく時期です。患者を統合的に捉え看護診断を行い、自ら必要な看護ケアを考えられるようになることを期待しています。
「看取りのケア」では、看取りの時期における看護師の役割やエンゼルケアの基礎知識を学びました。自分の死を想像しいろいろなことを喪失していく患者の気持ちを考えたり、看取りの時期にある患者とその家族の映像を視聴し、家族の悲嘆をイメージしました。さらに、事例に基づき、死に向かう患者の看護や家族への対応について考え、講師の解説を受けました。
研修を通して、患者に寄り添いそばにいること、患者や家族の意向を尊重したケアや安心感・信頼感につながるケアを日常から行うことが大切であると学びました。
▲看護介入により解決可能な看護診断はどれかな? | ▲ご家族への配慮や声かけについて発表しています |
「他部門研修」
9月13日(金)、10月2日(水)、10月10日(木)の3日間に分かれて、「他部門研修」を行いました。
6部門(薬剤部、リハビリテーション部、中央滅菌・検査部、放射線部、院内SPDセンター、検査部)のうち2部門の同行研修を行い、その後報告会を行いました。報告会では、研修した部門の報告と看護師としての役割を互いに共有しました。行かなかった部門についても理解し、患者の一番近くにいる看護師の責務や他職種スタッフと情報共有し連携・協働することが患者の安全に繋がることを学びました。
▲薬剤部では抗がん剤のミキシングの様子を見学しました | ▲リハビリテーション部では立位保持装置を体験しました |
▲中央滅菌・検査部では滅菌バックのシーリングを体験ました | ▲放射線部ではMRIの磁力を体験しました 鉗子が引かれる! |
▲院内SPDセンターでは物品の補充を体験しました | ▲検査部では心電図などの説明を受けました |
「導尿」「膀胱留置カテーテルの挿入と管理」「感染予防技術」
8月30日・9月2日に「導尿」「膀胱留置カテーテルの挿入と管理」「感染予防技術」の研修を行いました。
講義では、導尿・膀胱留置カテーテルの目的・適応や留意点、膀胱留置カテーテル留置中・抜去時の観察項目・患者への説明などを学びました。
導尿の演習では、無菌操作を行うために、物品配置や利き手のみで消毒やカテーテル操作を行うことに苦戦している様子がみられました。
膀胱留置カテーテルの演習では、尿道損傷や膀胱頸部の圧迫壊死などを起こさないよう留意しました。また標準予防策もすべて行い、なぜそのタイミングで標準予防策を行うのかも考え実施しました。
全体を通して、4月の吸引の研修で課題として挙がっていた、患者への声かけや説明、苦痛や羞恥心などに配慮することができており、新人の成長を感じました。
「褥瘡予防」「社会人基礎力」「多重課題」
「褥瘡予防」では、褥瘡と医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)の予防とケア、スキンーテアについての講義を受け、最後に模擬事例でDESIDN-Rを含む褥瘡リスクアセスメントを行いました。また、MDRPUの原因になりうる弾性ストッキングの装着演習も行いました。
▲最初がきつくて大変! 講師の指導を受けています | ▲シワが寄っていないかチェック! |
「社会人基礎力」では、4~7月の行動目標の自己評価と実地指導者からの他者評価を元に、評価が低かった能力要素についてディスカッションし、11月までの行動目標を考えました。現状を理解し、次に何ができたら良いか意見交換ができました。
「多重課題」では、受け持ち患者の重なる看護ケアについて優先順位を考えて調整したり、割り込みの看護ケアが発生した場面の対応について、机上シミュレーションによるトレーニングをしました。グループディスカッションと発表を繰り返して異なる意見や理由を共有し、重なる看護ケアを調整するための視点を皆で導き出しました。同様に、適切な報告・相談をするための視点も整理し、SBARを参考にして報告のシミュレーションを行いました。
多重課題に直面したときの感情を振り返る時間も設け、「何から行えば良いかわからなくなる」「目の前のことしか考えられなくなる」など自らの傾向に気づき、今後の課題を見出した受講者もいました。臨床現場でも、今回学んだ重なる看護ケアを調整するための視点、適切な報告・相談をする視点や方法を思い出し、多重課題の場面や報告が必要な場面に活用してほしいと思います。
「フォローアップ研修」
7月9日10日に「フォローアップ研修」を行いました。
この研修の目標は、同期と情報を交換する中で思いを表出し今後の仕事への意欲につなげること、同期と交流しリフレッシュすることです。
今年度は、同期との交流や情報交換の場として交流会を行い、リフレッシュのための運動として紅白に分かれ玉入れ、運命リレー、ミニバレーで対戦しました。
交流会では、就職してから公私ともに「嬉しかったこと」「印象に残っていること」「自慢できること」等をグループごとに模造紙に記載し、全体発表しました。また、目標にしたい先輩看護師やこれから自分はどうなりたいかについて話し合い、「私にもなれる○○看護師」を一人ずつ画用紙に記載し発表しました。交流会を通して、同期と情報を交換しながら思いを共有し、これから仕事を続けていく上での前向きな気持ちが表明されました。
リフレッシュのための運動では、それぞれの競技でチームワークを発揮しながら楽しく体を動かしました。途中、作戦会議や練習を行う中で、自分の意見をわかりやすく伝える発信力や相手の意見を丁寧に聴く傾聴力、物事に進んで取り組む主体性や他人に働きかけ巻き込む働きかけ力など、様々な社会人基礎力が発揮されていました。
普段はなかなか会うことの少ない他病棟の同期との交流や運動を通して、心も体もリフレッシュでき、今後の意欲につながる研修でした。
「糖尿病の薬物療法と看護」「院内BLS・AED」
6月24日25日に「糖尿病の薬物療法と看護」「院内BLS・AED」の研修を行いました。
「糖尿病の薬物療法と看護」では、以下の事例ごとにグループディスカッションと発表を行い、その後、講師から基礎知識や留意点を含めた事例の解説を受けました。
- インスリン注射と経口血糖降下薬を使用している周手術期の患者の対応とその根拠
- 造影CTを撮影することになったビグアナイド系糖尿病薬内服中の患者の対応とその根拠
- 体調不良時の対応と糖尿病薬の管理に関する患者への退院指導とその根拠
さらに、当院の糖尿病薬に関するインシデントの傾向と対策について説明を受けました。
研修を通して、糖尿病薬の種類による作用機序の違いや周手術期の血糖コントロールの重要性、身近に起こりうるインシデントの予防策等、基礎的な内容に加えて臨床で必要な知識を学びました。
▲事例についてディスカッションしています | ▲講師の詳しい解説で新たに知ることもありました |
「院内BLS・AED」では、講義と演習を交互に行いながらBLSの技術やALSまでの一連の流れを体験し学びました。さらに、緊急時に自分にできる役割は何かを考え、声をかけ合い、チームで協力しながら行動する大切さも学ぶことができました。今後は、研修で学んだ技術や知識を維持・向上させるためBLSに関する研修会等には積極的に参加し、救命処置が必要な場面で力を発揮できることを期待します。
「フィジカルアセスメントⅠ」
5月16日(木)・17日(金)に「フィジカルアセスメントⅠ」の研修を行いました。
講義では、循環器系・呼吸器系・消化器系・神経系のアセスメントに関する基礎的な知識とフィジカルアセスメントの方法として問診とフィジカルイグザミネーション(視診・聴診・触診・打診)について学びました。循環器系では動脈の触知や心電図波形の判断、呼吸器系や消化器系では音源を用いた異常音の聴取、神経系では映像視聴によるGCS判定などの演習も行いました。
講義の後は、正しいフィジカルイグザミネーションの技術を習得するため、演習を行いました。
受講者同士で呼吸音の聴診をしたり、モデル人形で瞳孔の観察をするなど、呼吸器系、消化器系、神経系のフィジカルイグザミネーションを実施しました。
最後に「ベッドサイドで転倒し臀部を打撲した患者に遭遇した看護師が、患者の身体状態を判断しながら対応する」という看護場面を視聴する演習も行いました。映像を視聴することで看護師の行動を追体験し、グループ検討・講師の解説により観察の視点や患者の状態判断における思考過程、必要な看護ケアについて学んでいました。
「吸引(口腔内・鼻腔内)」「ME機器の取扱いと看護」
4月24日(水)・25日(木)に「吸引(口腔内・鼻腔内)」「ME機器の取扱いと看護」の研修を行いました。
「吸引」の講義では、吸引による合併症、観察・アセスメントの重要性、苦痛・不安への配慮などを学びました。演習ではモデル人形に吸引を行いましたが、手技に一生懸命になってしまい、吸引中の患者の観察や不安を軽減するための声かけを忘れてしまうことがあり、複数の受講者が今後の課題として挙げていました。
「ME機器の取扱いと看護」の講義では、輸液ポンプ・シリンジポンプの仕組み、始業時点検、使用方法、アラーム対応などを学び、グループで「輸液ポンプを初めて使用する患者」に対して、患者の認知・ADLの状況をアセスメントし、どのようにケアを行うか話し合いました。演習では、輸液ポンプ、シリンジポンプの手順に従った基本操作とアラーム対応を行いました。クレンメの閉め忘れや開け忘れなど失敗から学んだことも多く、手順を一つ一つ確実に行うことの必要性を実感しました。
新規採用時研修
2019年4月1日(月)、札幌医科大学附属病院は新規採用看護職員53名を迎えました!
4月1日(月)~4日(木)、9日(火)の計5日間、当院看護職員として必要なオリエンテーションや研修を行いました。
~新人バッジについて~
新人看護職員は1年間「新人バッジ」を装着します。
これは、新人看護職員が初心者としての自覚を持ち看護に取り組むため、また患者さん・ご家族・他職種へ新人であることを提示するためのものです。
看護職員の名札にこのバッジを見かけた際には、あたたかくご指導いただければと思います。