手術支援ロボットの最新機種 「da Vinci(ダヴィンチ)SP(単孔式)サージカルシステム」による 大腸がんに対する日本第1例目の手術および世界初の術式を実施

~消化器外科領域の手術に新たな手術支援ロボットを導入しました~

<概 要>
 札幌医科大学附属病院では2022年11月から保険適用となった米国インテュイティブサージカル社の最新手術支援ロボット「da Vinci(ダヴィンチ)SP (Single Port=単孔式)サージカルシステム」を導入し、大腸がん手術への日本で第1例目となる手術を2023年4月に、また同月結腸と直腸の多発がん症例に対する世界初の術式を実施し、いずれも安全に終了しました。
 手術を担当した消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座 竹政 伊知朗教授は、2009年に日本で初めて大腸がんに対する単孔式手術を成功させこれまで500例以上施行しています。単孔式手術はお臍2.5cmの傷で全ての操作を完了する術式で整容性と低侵襲性に極めて優れています。今回「消化器外科領域に、さらに精緻で自由度の高いロボット単孔式手術が可能となりました。国内の患者さんに安全かつ傷の小さい優しい手術が提供できるようになります」と述べました。
 札幌医科大学消化器・総合、乳腺・内分泌外科では、これからも患者さんの体へのさらなる負担軽減や整容性の向上のため、ロボット支援手術を積極的に施行します。

<手術支援ロボットda Vinci(ダヴィンチ)SPサージカルシステムとは?> 
 da Vinciシステムは、手術機器を動かすロボット本体、術者がロボットを操作するためのコンソールと呼ばれるシステム、術野を映像化するビデオシステムから構成されています。da Vinciシステムを用いた手術では、ロボット本体が手術台に乗っている患者さんにドッキングします。執刀医はコンソールに座り遠隔操作でロボットを動かし、手術を進めます。
 札幌医科大学附属病院には2台のda Vinci Xiシステムや、国産の手術支援ロボットであるヒノトリを導入していますが、これらはマルチポートシステムと呼ばれ、複数の手術創が必要でした。今回導入されたda Vinci SPシステムはシングルポートシステムで、1本のカニューラと呼ばれる筒からカメラと3本の鉗子などの機器を体腔内に挿入して手術を行うことができます。最小で1つの切開創で手術を行うことも可能となり、創部の痛みなど患者さんの負担を軽減することが期待されます。
 
ダヴィンチSP
図:da Vinciサージカルシステムのロボット本体(左)とカメラや鉗子(右)
ダヴィンチSP手術のようす
手術の様子
ダヴィンチSP手術のようす
執刀する消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座 竹政 伊知朗教授
<~ロボット手術の利点とは?~>
 da Vinciシステムを用いた手術では、最先端のビデオ技術により、手術野を高解像度な3D(三次元)画像かつ拡大した視野でとらえることができ、手振れ防止機能の付いた鉗子操作により、精細な手術操作が可能となっており、見る、切る、縫う(再建する)という点において、従来の手術よりも高い精度の手術が実現可能となっています。

<~対象となる疾患は?~>
 消化器・総合、乳腺・内分泌外科で行っているロボット支援手術は下記の術式です。
 ・ 腹腔鏡下直腸切除・切断術
 ・ 腹腔鏡下胃切除術
 ・ 腹腔鏡下噴門側胃切除術
 ・ 腹腔鏡下胃全摘術
 ・ 腹腔鏡下膵体尾部腫瘍切除術
 ・ 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍手術
 ・ 腹腔鏡下肝切除術

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  • 札幌医科大学医学部 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座