2013年 年頭あいさつ

島本理事長・学長による新年の年頭あいさつが行われました

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島本和明理事長による年頭あいさつ
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島本和明理事長による年頭あいさつ
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島本和明理事長による年頭あいさつ

仕事始めを迎えた平成25年1月4日、臨床医学研究棟講堂において、島本和明理事長・学長より、附属病院職員、大学教職員を前に新年の年頭あいさつを行いました。
挨拶では、第2期中期計画の最重要課題となる新キャンパス構想や、がんワクチン・再生医療等の研究推進、最先端医療の提供に向けた手術室への最先端機器の導入、質の高い学生の確保に向けた取り組み・学生教育等について新年の抱負を述べました。
平成25年の理事長・学長年頭あいさつについては下記をご覧ください。

━平成25年 理事長・学長年頭あいさつ━

皆さん、新年明けましておめでとうございます。

例年にない大雪で、寒い年末年始でしたが、皆様もゆっくりと落ち着いたお正月を迎えられたものと存じます。教職員の皆様、学生諸君、同窓生の皆様にとりまして、本年が実り多き年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。新年を迎えるにあたりまして、今年、そして今後の札幌医科大学の運営の抱負を述べさせていただきます。

今年平成25年は、本学におきましても大きな変革の年になります。まず、この3月で北海道公立大学法人になって6年間の中期計画の最終年度を迎えることになります。お陰様で、大学の運営は昨年までの過去5年間、北海道の評価委員会による評価でA評価以上が91%を超え、合格圏で来ることができました。特に昨年度は、A評価以上が100%で、中期6年計画の最終年度を有終の美をもって終了できると思っています。
今年4月、平成25年度からは次の6年間の第2期中期計画が開始します。昨年12月に第2期中期目標が道から本学に示されました。この後は、本学が策定する中期計画を2月に道へ申請し、決定される事になります。15項目にわたる数値目標を入れるよう要望されていますが、成すべき事、出来る事をしっかり書き込み、実践していけるものにしたいと思っています。

さて、新中期計画の中で最も重要で、期待と注目を集めるのが新キャンパス構想です。平成24年3月に道が策定した「札幌医科大学施設整備構想」として、具体的な機能や整備内容について決定されています。本学の要望案どおり、25年度に軽グランドに体育館・リハビリ実習施設と保育所の工事に入り、26年度には保育所、体育館が移動、その場所にフロンティア医学研究所を含めた教育研究棟施設Ⅰ期工事、助産学専攻科を含めた保健医療学部増築棟、そして30年度には残りのⅡ期工事と管理棟の工事に入ります。27年度には病院増築棟の工事に入る事ができます。スクラップ&ビルドで少し時間はかかりますが、ようやく具体的な新キャンパス構想が実現することになりました。西17丁目市道については、札幌市と認定解除に向けた協議を行っており、取得することによって、緑と駐車場が多くなり、学内で足りなかった研究、臨床スペースを確保できるものと期待しています。

また、病院におきましては、多くの方々の協力により、25年度基本設計、26年度実施設計、27年度に工事が開始できることになりました。  
念願の個室の増加や6人部屋の4人部屋化を図るとともに、外来化学療法室や治験センター、リハビリテーション部門等の拡充について、現在道と実現に向けた協議を行っており、附属病院も大きく変わるものと思っています。

さて、病院増築棟の新築にあわせて現在の南・北病棟と中央棟の整備も重要となります。24年度の病院の黒字は全て病院に還元し、病院への投資を行っております。手術室改修、ハイブリット手術室、ロボット手術のためのダ・ヴィンチの導入、地下の医材SPD用スペース工事、臨床第2講義室の研修医ルームへの改築など全てが3月迄に完了します。3年間で約25億円を投入して大きく診療環境、就労環境を改善して参りました。
現在も病床利用率が90%近い値を出していただいておりますが、本年度の順調な運営から、来年度は看護師、臨床工学技師、理学療法士などの定数を増やすことができます。病院の稼働に応じて定数を増加する方針で参りたいと思います。現在の皆様の頑張りが確実に病院を良くしていることは疑いの余地もありません。病院長をはじめ、病院現場で大変大きな努力をされている全ての医療職員、事務職員の皆様に感謝申し上げます。

さて、新キャンパスを含む新中期計画への準備段階として平成25年度までの間に、先端医学研究の橋渡し研究による応用を実践する場として、黒木医学部長のリードのもと、昨年度4月から医学部附属フロンティア医学研究所の運営がスタートしました。これまでの3部門を7部門に増し、現在の5部門の教授に加えて医生物学部門教授も間もなく選考が終了します。本学の研究部門の象徴として、今後の益々の発展を期待しています。加えて医学部では、遺伝医学の教授選考が終わり、病院の方でも、病院経営・管理部も新設され、呼吸器外科学の教授選考も進んでいます。今後、必要に応じて更に新しい教室を増やして参りたいと思っております。

保健医療学部では、乾学部長、大日向副学部長の御尽力で助産学専攻科も開設され、新1年生を迎えて順調に始動しています。附属病院との協力で、看護、理学療法、作業療法の3学科で1日学生体験も実施し大好評でした。リハビリテーション部での理学療法士、作業療法士の研修制度も、全国に先駆けて来年度からの開始の準備が進んでいます。今年は、保健医療学部開設20周年、衛生短期大学開設30周年を迎え、本年6月21日に記念行事を開催する予定です。
さらに日本を代表する保健医療学部として発展するものと期待しています。

医学部、保健医療学部、医療人育成センターの研究に対しましては、23年度、24年度に渡って11億円の目的積立金を取り崩して、研究用備品の整備にあてました。更に有効に研究整備等に使っていきたいと思っています。残りの目的積立金は、特に新キャンパスの完成時等、必要に応じて使っていきたいと思っています。
このように、医学部、保健医療学部共に新キャンパスに備えて、大きく変貌しようとしているところです。

外部資金の確保が重要である事もいうまでもありません。科研費が厳しい状況になってきましたが、本学におきましては、奨学寄附金や一般寄付金は大幅に増加していますし、国の地域医療再生計画からこれまでの3つの特設講座への援助に加えて、23年度からは病院整備にも援助を行っていただいています。24年度からは整形外科分野での寄附講座が新たに増えました。
また、北洋銀行様の支援で一昨年の10月から昨年の3月まで、FM北海道でのラジオ番組「医の力~札幌医科大学最前線~」が全26回の内容で放送され、その後1年延長され、今年3月末までの予定で現在も放送されています。また、新和グループ様による車いすのご寄附や、札幌交響楽団メンバーによる附属病院のロビーコンサート、北海道新聞社様との連携協定事業「健やか北海道プロジェクト」による公開講座、株式会社ハーバー研究所様による患者さんへのメイクアップサービス、株式会社ホリ・北菓楼様からのご寄附など、かなりの支援を北海道ゆかりの企業からいただきつつ、大学、病院の整備と広報活動を行っており、今後も続けて参りたいと思います。 

文部科学省の医学教育改革事業で本学の法医学講座松本教授、内科学第三講座髙橋教授を中心とした2つのプログラムが採択されました。この事業で2つのプログラムの採択は全国でも本学1校のみで、学生教育、専門家教育に大きな一歩を進めてくれるものと期待しています。

昨年12月には嬉しいニュースもありました。医学部6年生の堀佑輔君が学生支援機構の研究部門で、薬理学講座堀尾教授のもとでの研究で大賞を受けて表彰されました。私も表彰式に出席しましたが、大賞は13名、うち学術分野は4名の中の1名という大変栄誉ある受賞でした。ちなみにスポーツ部門の大賞は、全員、ロンドンオリンピックの参加選手やメダリストなどでした。このような名誉ある賞をいただいたことは、医学部のM.D.,Ph.D.コースが順調に進んでいる証でもあると思いますし、研究を充実させる手段として更に力を入れて参りたいと思います。

さて、研究面では本学の脳梗塞の再生医療や、癌ワクチンの研究が全国的にも大きく注目され、オーソドックスなテーマを正攻法でやっていく本学の研究が高く評価されています。病理学第一講座佐藤教授、鳥越准教授の癌ワクチンは、昨年8月から医師主導型治験に入っていますし、神経再生医療学部門本望教授の脳梗塞神経再生医療も今年2月には医師主導型治験が開始される予定です。
更に、整形外科学講座の脊椎損傷や解剖学第二講座の糖尿病合併症での再生医療も含めて、神経再生医療学部門と臨床各科との共同研究が進んでいます。再生医療以外でも、多くの教室で、極めて優れた基礎研究・臨床研究が行われています。研究面でも今年は飛躍の年になるよう充分な支援をして参りたいと存じます。


最後に、本学の抱える大きな課題の一つに、少子化時代にあたり両学部共に優秀な質の高い学生をいかに確保していくかという課題があります。医学部は黒木医学部長のリードのもと、道内で従事する医師を養成するための「北海道医療枠」が今年新たにスタートします。その動向には全国的に注目が集まっており、大いに期待するところです。
もちろん、入学後の教育も重要です。両学部合同のチーム医療実習の意義・大切さにつきましては、髙橋北海道知事をはじめ、北海道あるいは全国から注目されているところです。
さらに学生の国際交流については、すでに交流協定を結んでいる中国医科大学、カナダアルバータ大学に加え、韓国カトリック大学も加わり充実してきました。また、台北医科大学、ウラジオストク国立医科大学からも本学との交流の申込みがあり、学生教育の国際化、グローバリゼーションという流れの中で、積極的に進めて参りたいと思っています。
また学生に魅力的なカリキュラムを作り、実践する事も重要と考えています。特に教養教育については、両学部の新しいカリキュラムと連携し、学生にとって魅力的な教養教育が実現できるよう、教養教育改革を開始したいと思います。幸い、医療人育成センター・傳野センター長や教養部門の諸先生との話し合いがスムーズに進んでおり、改革実現に向けて努力して参ります。
教育面では、学生のサポートシステムが大きく改善され、学生証のICカード化もスタートします。ソフト、ハード両面から教育の改善を推進します。 


本学も開設63年と既に還暦を終え、前期高齢といわれる年に入ろうとしています。本学の更なる飛躍のため、教職員、病院職員の皆様の御理解、御支援、御協力を心からお願い致しまして、新年の御挨拶とさせていただきます。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。


平成25年1月4日
北海道公立大学法人札幌医科大学 理事長・学長 島本和明
 

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情報発信元
  • 経営企画課企画広報係