X線(レントゲン)写真はいわゆる影絵と考えていいでしょう。X線が体を透過すると体の組織(骨、空気、軟組織)に合わせX線が吸収されます。したがって、透過後のX線の強さはその吸収に応じて強弱が生まれます。この強弱の度合いをフィルムに映し出しているのがX線写真です。当院では2002年12月より大部分の単純X線写真をデジタル画像として認識表示するシステム「CRシステム」が稼働しました。
胸 部
胸部単純写真には、肺や心臓など胸部に関する数多くの情報が集約されており、胸部疾患に関する最も手軽な検査といえます。入院患者さんは足を運ぶ機会が数多くあると思います。撮影体位は正面、側面、斜位と目的に合わせて撮影されます。心臓や呼吸の動きが最も影響する部位なので息止めはしっかり行って下さい。
腹 部
お腹の写真は寝た状態(臥位)と立った状態(立位)の写真を、目的に合わせ撮影します。立位でとる場合はお腹の中に遊離している(腸管に穴が空いて遊離しているガスや腸閉塞での腸管内ガスの状態等・・・)ガスの状態をみるときに撮影されます。立位では重力によってお腹の臓器が下に沈んでいるため臓器と臓器が重なり合ってしまいます。そこでおなかの臓器を全体的に広く観察したい場合は臥位で撮影します。
椎 体
ここでは皆さんの体を支えている脊椎の写真を撮影します。椎体は3つの領域(頚椎、胸椎、腰椎)に分かれていて変位や骨折等をみるために撮影されます。椎体検査では部位と目的に応じた体位で撮影しますので、撮影技師の指示にご協力ください。特に頚椎や腰椎の機能撮影ではどのくらい前や後ろに曲げられるかを写真にしますので、限界まで曲げていただくことになります。
頭 部
頭部から顔面領域までを撮影します。頭部正側(この写真は頭蓋が一番広く見える角度で撮影しています)、ウォーター撮影(主に耳鼻科領域で撮影されるものです)、シュラー撮影(内耳道の状態や人工内耳の位置確認にも用いられます)など、目的に応じて様々な方向から撮影します。しかし当院の頭部用撮影装置は自由自在に回転し、あらゆる角度から撮影できるので、患者さんは仰向けに寝ているだけで検査できます。
四 肢
ここでは、手、肩、膝、足部など四肢を撮影します。骨の骨折や関節の状態を簡単に見ることができます。ですが、関節を見るためにはその関節の角度にあわせて写真を撮る必要があります。そのため、何回か体位を変換するので撮影技師の指示にご協力ください。