基礎知識
耳介の名称
小耳症の一般事項
5000〜6000人に一人の出生と考えられます(正確な統計が取れないため、一般的に想定されている比率です)
男性>女性、右>左、片側:両側=10:1 の傾向が見られます。
男性>女性、右>左、片側:両側=10:1 の傾向が見られます。
遺伝性
基本的にはありません。ただし、1〜2%の方では、兄弟や親子での発症があることから、ごく一部の方では関与している可能性があります。
原因
サリドマイド、葉酸拮抗剤(抗がん剤の一種)、レチノイン酸誘導体(美容製品の一種)などの一部の薬剤の関与が示唆されていますが、その他では特定の薬剤や疾患の関与は知られていません。高齢出産や喫煙等の影響も認められず、原因の特定ができないものが圧倒的です。
小耳症における他の合併症
小耳症は単独で生じるというよりも、第一第二鰓弓(さいきゅう)症候群の一症状として生じることが多い疾患です。各個人によって症状の種類や程度が異なり、症状は出生時からあるものであり、出生時になかった症状が後日出てくるようなものではありません。
第一第二鰓弓症候群の主な症状
下顎骨の低形成(咬合異常)
治療法としては骨延長法、骨切り術などがあります。軽度の変形であれば下顎骨の一部の切除や骨移植などによりバランスを取ることができる場合もあります。
頬部軟部組織の低形成(顔貌の左右差がみられます)
脂肪移植を行うなどの手術法があります。
顔面神経麻痺(眉毛が上がらない、まぶたが閉じにくい、泣いた時に口が歪む、など)
側頭筋移行術などの手術法があります。
巨口症(口角が外に裂けたような形態です)
生後1歳前後で口角形成により筋肉と形態の修正を行います。
頚椎等の変形(頻度は少ないのですが、程度が強い方では頚椎の低形成等の合併を生じることがあります)
整形外科的に経過を観察していきます。積極的に治療を行うことは稀です。
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頬部軟部組織の低形成
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巨口症
身体他部位の合併症
多くはありませんが、一部の方では心疾患、または口唇裂、口蓋裂などを伴う方がいます。