教授挨拶   
2019年9月から始まったCOVID-19は、世界中にひろがりパンデミックを形成しました。
我が国においても緊急事態宣言が発令され、感染者数はさほどではなかったにもかかわらず、医療機関でも逼迫した状況が続きました。診療、教育、研究 の各方面において著しい障害をきたしました。
そのような状況の中、札幌医科大学呼吸器外科もその影響は甚大であり、2020年の手術数は 15パーセントも減少しました。しかし、2021年3月からわが国でもワクチン接種が始まり、再流行たる第4波が来ないことを切望しています。
呼吸器外科は、主に肺癌を扱っています。2019年の統計においても、悪性新生物の死亡数(罹患数)で男性は1(4)位、女性は大腸癌に続き2(3)位を占めています。死亡者数は78000人を数えています。疾患への対応には、予防、診断、治療、経過観察などがあり各々に多くの研究がなされています。我々の役割は、主に診断と治療のうちの外科領域ということとなりますが、研究においては領域横断的な事象に対しても行うことが可能です。
昨今、腫瘍内科的治療として分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬などの抗悪性腫瘍剤、放射線治療としてIMRT(強度変調放射線治療)やVMAT(強度変調回転放射線治療)など著しい進歩向上がありあります。一方、外科領域においては、低侵襲外科治療としてのロボット手術、単孔式胸腔鏡手術の導入、多領域治療の進歩に伴い出現して来たサルベージ手術などです。いずれも、罹患者に朗報であるばかりではなく、呼吸器外科医にとってもさらに遣り甲斐のある分野が出現して来たこととなります。
札幌医大呼吸器外科でも診療では、昨年ロボット手術の見学施設となりました。また、プロクターも2名となりました。ロボット手術手術数は150例を超え、安全に行われています。幸いにも現在のところロボット手術から開胸手術への移行例はありません。また、化学放射線療法後のサルベージ手術にも、着手しています。
研究では、臨床面では、3D-CTを利用した肺脈管解剖の解析、新たなエナジーデバイスの使用領域の拡大とその機序の解明、基礎領域ではフロンティア部門、呼吸器アレルギー内科との連携により、肺癌遺伝子分析と創薬に向けての基礎研究、3次元タイトジャンクションを介した癌化および炎症(線維化など)機序の解明など、各々有用で価値のある研究がなされてきました。現在3名の大学院生が、未知の領域に足を踏み込み、各領域の解明を目指しています。
呼吸器外科領域罹患者の方、是非とも我々に治療の手助けをさせてください。
研修医の方、そして研究者の方 我々とともに呼吸器外科領域疾患に関する未知、未熟な事象を知り、解明、解決していきましょう。

                                       2021年4月吉日                      2020年挨拶 2019年挨拶 2017年挨拶 2013年挨拶


手術経験

肺癌を筆頭に心臓血管外科手術を含め約1万例の手術に関わってきました。 

主な術者相当の手術を列記します。                  


術者+指導的助手
肺がん  
1400+1230  例
区域切除  
321+132   例
気管支形成(肺動脈形成) 
65 +5      例
縦隔腫瘍  
150+191    例
胸腔鏡(カメラ)手術 
1700+1360  例
ロボット手術  
90+74     例
Nuss手術(漏斗胸) 
30+111    例


資格
日本外科学会指導医(S007837)
日本胸部外科学会指導医(呼吸器)
呼吸器外科専門医 (2100848 呼吸器外科専門医合同委員会)

日本呼吸器外科学会指導医

日本がん治療認定医機構暫定教育医(第071368)

日本呼吸器外科学会胸腔鏡手術インストラクター

日本呼吸器外科学会ロボット支援手術プロクター

INTUTIVE社肺葉切除メンター


略歴

1985年 札幌医科大学 医学部 外科学第二講座 研究生

1990年 札幌医科大学 医学部 外科学第二講座 助手

1994年 砂川市立病院胸部外科医長

2001年 札幌医科大学 医学部 外科学第二講座 講師

2002年 カナダカルガリー大学胸部外科臨床研究員

2007年 札幌医科大学 医学部 外科学第二講座 准教授

2013年 札幌医科大学 医学部 呼吸器外科学 教授

2019年 札幌医科大学 附属病院手術部長

2020年 札幌医科大学 附属病院副院長、治験センター長

2020年 札幌医科大学 学生部長

受賞

2017年 北海道知事賞、北海道医師会賞

所属学会

日本呼吸器外科学会、理事、評議員

日本胸部外科学会、理事、評議員、北海道地方代表

日本肺癌学会、理事、評議員

日本外科学会、代議員

日本呼吸器学会、評議員

日本内視鏡外科学会

日本呼吸器内視鏡学会

日本ロボット外科学会

日本冠動脈外科学会

日本胸腔鏡手術研究会世話人

日本Nuss法およびロート胸手術手技研究会世話人

日本胸腔鏡手術研究会世話人

北海道外科関連学会(HOPES)、理事

世界肺癌学会会員(IASLC)

ヨーロッパ胸部外科学会会員(EACTS)

アメリカ胸部外科学会会員(STS)

学会委員など

日本胸部外科学会  理事、会誌編集委員会副委員長、広報委員会副委員長、GTCS(専門誌)編集者

日本呼吸器外科学会 理事、評議員資格審査委委員会委員長、専門医制度委員会委員

              選挙管理委員会委員

日本肺癌学会     ガイドライン作成小委員会副委員長(胸腺腫)