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- 言語訓練等(口蓋裂)
口蓋裂の患者様については、術後も筋肉がかならずしも十分機能しない場合や瘻孔形成がある場合、鼻咽腔閉鎖機能不全や、構音障害を生じる可能性があります。これらの可能性がある場合には、3〜4歳時に、言語評価を行い、必要であれば、言語訓練を行います。それで効果が認められない場合、以下に挙げるような手術を行う場合があります。また、追加手術や成長に伴う変化によって言語に影響が生じた場合は、就学後も引き続き言語訓練を行い、成長が止まる時期まで経過を観察します。
- 口蓋裂に対する追加手術
A.鼻咽腔閉鎖機能不全に対する口蓋二次修正術主に以下の2つの方法、またはそれらを同時に行うなどの治療法があります。
@再口蓋後方移動(re-push-back):口蓋の粘膜をもう一度咽頭側に移動する方法
A咽頭弁形成術:咽頭粘膜の一部と口蓋垂(のどちんこ)を引き寄せて縫合する方法
B.口蓋瘻孔に対する瘻孔閉鎖手術
口蓋裂術後の口蓋瘻孔の発生頻度は、10〜20%といわれています。瘻孔ができても、徐々に小さくなり、自然に閉鎖することもあります。瘻孔閉鎖手術後の瘻孔再発率は、20〜30%と比較的高率とされていることもあり、瘻孔がどの程度、構語や食事に影響しているか、慎重に充分検討したうえで、手術適応を決定します。手術には以下の方法があります。
@局所粘膜弁:周囲粘膜を引き寄せて瘻孔を閉鎖する方法
A耳介軟骨移植:耳介の軟骨の一部で瘻孔を閉鎖する方法
B舌弁:舌の一部を移植する方法(瘻孔が大きな場合)
- 口唇の修正手術(口唇裂)
成長に伴い、顔つきや傷の状態は大きく変化してきます。それにより、バランスが悪くなったりした場合には、修正手術を計画します。これに関しては、個々の状態により手術の方法が異なり、また手術時期にも決まったものはなく、外来で相談の上、必要があれば計画するものです。
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顎裂に対して
初めは歯科矯正により咬合の改善を図りますが、骨の欠損が広く、または綺麗な歯並びや咬合が得られない場合には、手術を行います。時期としては永久歯の生え替わりの状況を見ながら決めるため、個人差がありますが、小学生(7〜10歳)以降で行うことが多いものです。札幌医大には歯科口腔外科に専門の矯正歯科医がいますので、歯科口腔外科でこの手術を行うことになります。方法としては、腰の骨(腸骨)の中にある柔らかな骨(海綿骨)を取り出し、歯槽の裂隙部に移植するものです。これにより、歯列矯正が容易になり、また人工歯根を植えたり、自分の歯を移植したりすることが可能となります。また、顎裂のため変形していた鼻の形態も改善します。
(治療例) |
術前(顎裂により生じた歯並びの不整) |
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骨移植・矯正後 |
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- 骨切り術等
口蓋裂を有した患者様の場合、上顎骨の発育が遅れがちで、反対咬合が生じやすくなります。歯科での矯正によっても、歯並びや上下のあごのバランスがとれない場合には、骨切り術をおこなうことがあります。上あご、下あごの骨を切ってずらして良いかみ合わせを獲得します。手術時期は成長が止まる18歳前後でおこないます。骨切り術の他に、最近では、上あごに特殊な装置を装着して、ゆっくりと上あごを引っ張り、延長していく、骨延長術も開発されています。
- 最終的修正術(全般)
これら一連の治療で、なおかつ気になる点、修正を希望したい点などあれば、最終的な治療として、各個人に合わせて修正術を行います。
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