新任教授挨拶
眼科学講座 横田 陽匡
2026(令和8)年7月1日付で、札幌医科大学医学部眼科学教室の教授を拝命いたしました横田陽匡と申します。私は1999(平成11)年に旭川医科大学を卒業し、同大学眼科学教室に入局しました。学生時代は野球部に所属しており、心臓血管外科の伊庭教授ともよく対戦していました。正確な戦績はさておき、私が責任学年だった頃は、札幌医大の勝ち星がやや先行していたかもしれません。
眼科医としてのキャリアをスタートして以来、主に網膜硝子体疾患の診療と、糖尿病網膜症に対する新規治療の開発に取り組んできました。大学院では網膜血管新生の発生機構について研究し、2009年から2年間、米国ジョージア医科大学血管生物学センターに留学しました。カルドウェル教授のもとで研究に没頭した経験と、そこで得た人脈は、現在に至るまで私のかけがえのない財産となっています。この経験を活かし、当教室においても若い医師の海外留学を積極的に支援していきたいと考えています。現在は、網膜疾患に対するペプチドワクチン技術の応用を研究テーマの一つとしています。抗体医薬は網膜疾患の治療を大きく進歩させましたが、高額な治療費や繰り返しの治療による患者・社会双方への負担も課題となっています。その代替あるいは補助的治療となり得る新たな選択肢として、非感染性疾患に対するワクチン治療の研究を進めています。
2018年からは日本大学医学部附属板橋病院で臨床・研究に従事し、特に裂孔原性網膜剥離の診療と臨床研究に取り組みました。この間、道内外の多くの網膜硝子体術者とのネットワークを築き、新規治療の開発だけでなく、若い術者への教育について議論し、発信する機会にも恵まれました。最近、私が特に力を入れているのが、基本的な診療技術の教育です。画像診断技術が目覚ましく進歩する一方で、基本的な診察や診断、そこから治療計画を組み立てるプロセスが、ともすれば軽視されがちになっていることを危惧しています。最新の技術を取り入れながらも、診療の基本を大切にすること、そして日々の臨床を客観的に振り返ることが重要だと考えています。「数字は嘘をつかない」ことを医局員にも実感してもらい、日常診療から生まれた疑問を臨床研究へと発展させる文化を教室に根付かせたいと思っています。
札幌医科大学眼科学教室の長い歴史と伝統を大切にしながら、教室員一人ひとりが臨床、研究、教育のそれぞれの場で成長し、挑戦できる教室をつくることが私の目標です。そして、地域の先生方とともに北海道の眼科医療を支え、その発展に貢献していきたいと考えています。学生時代には野球で競い合った札幌医大に、四半世紀余りを経て教授として迎えていただくことになったのも、不思議なご縁を感じます。今度は勝ち負けではなく、札幌医大の一員として力を尽くして参ります。同窓の諸先生方におかれましては、今後とも温かいご支援、ご指導を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
略歴
横田 陽匡(よこた はるまさ)1973年(昭和48年)4月21日生まれ
所属札幌医科大学医学部 眼科学講座
学歴
- 1992年3月
- 北海道旭川東高等学校 卒業
- 1999年3月
- 旭川医科大学医学部医学科 卒業
- 2005年3月
- 旭川医科大学大学院医学研究科 修了、博士(医学)取得
職歴
- 1999年4月
- 旭川医科大学眼科学講座 医員
- 2000年4月
- 釧路労災病院 眼科
- 2001年1月
- 名寄市立総合病院 眼科
- 2001年4月
- 旭川医科大学大学院医学研究科
- 2005年4月
- 日鋼記念病院 眼科
- 2006年4月
- 旭川医科大学眼科学講座 医員
- 2008年4月
- 旭川医科大学眼科学講座 助教
- 2009年9月
- ジョージア医科大学 血管生物学センター 上級研究員(~2011年8月)
- 2017年4月
- 日鋼記念病院 眼科
- 2018年4月
- 日本大学医学部視覚科学系眼科学分野 助教
- 2019年4月
- 日本大学医学部視覚科学系眼科学分野 准教授
- 2024年4月
- 旭川医科大学眼科学講座 准教授
- 2026年7月
- 札幌医科大学医学部 眼科学教室 教授