退任のご挨拶
病理診断学
教授 長谷川 匡
大学附属病院中央部門の病理部長だけでなく、病理診断学の初代教授として赴任して以来、19年経ちました。大学卒業後2年間は、当時主催しておられた石井清一教授の整形外科学講座に研究生として在籍しておりましたので、計21年間、札幌医科大学でお世話になったことになります。
整形外科から骨・軟部腫瘍の研究のために派遣された徳島大学病理学第一講座の檜澤一夫教授の元で学位を取得し、1年間の米国留学後に、新たに病理学者・病理医としてのスタートを切りました。1997年に中央病院臨床検査部の下田忠和先生から声をかけていただいて国立がんセンター研究所病理部へ異動しました。そこでは、多くの症例を経験して病理医としての腕を磨くことができただけでなく、経験豊富な臨床医とのやりとりを通して、病理診断にとって何が重要なのかを学ぶことができました。
その後も骨・軟部腫瘍の病理診断や研究で繋がりがあった整形外科の山下敏彦教授と石井名誉教授のお力添えもあり、2005年にこちらに赴任することができました。教室の立ち上げを始め、病理診断レベルの向上と学生教育の充実など、前半は大変でしたが、徐々に軌道に乗り始め、後半は国立がんセンターで同様の経験を積んだ病理医をスタッフとして迎えることができて、教育、診療、研究の成果を充分に上げることができたと思っております。漫画「フラジャイル」やテレビドラマでのこともあってか、病理医の認識も高まり、病理専門医を志す学生・研修医が増えてきたと実感しています。
今までを振り返ると、私の場合は「結晶性知能」が活かせる病理診断ですが、人との縁や繋がりを大事にして自分の好きな仕事を続けていくことが大事ではないかと思います。さらに、在職中にワンダーフォーゲル部・山岳部の顧問を通して同窓会の先生方とお知り合いになることができました。コロナ禍で活動が制限された時期もありましたが、これからも安全・活発な活動を期待しておりますので、引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。顧問だけでなく、今も夫婦で学生時代から続けてきた道内の山登りをしています。仕事以外にもう一つ好きなことを続けていくのも大事ではないかと思います。
札幌医科大学の益々のご発展をお祈りして、退任のご挨拶とさせていただきます。