退任教授・役職者

退任のご挨拶

腫瘍内科学講座
名誉教授
加藤 淳二

この度、2023年3月末日をもちまして札幌医科大学医学部腫瘍内科学講座を定年退職いたします。1982年に本学を卒業して附属病院に勤めてから四十年余り、教授職を拝命して十四年余り、医師人生の大半を本学で過ごしてまいりました。まずは長きにわたり、内外の多くの皆様の温かいご支援とご厚情に支えられて、大過なく勤めを全うさせていただきましたことに深く感謝申し上げる次第でございます。

大学卒業後医師になった1980年代から、急速に患者数が増加傾向にあった難病「がん」の診療にとても興味があり、本学「癌研究所内科学部門」から昭和55年に新しく改組された教室「内科学第四講座(第四内科)」に入局しました。第四内科病棟では、約半数が消化器系のがん、約4割が造血器腫瘍、残りが肉腫など数多くの悪性腫瘍患者さんが入院しておりましたが、当時は完治させうるような治療法はほとんど無く毎週約5%の方が亡くなっていくという悲惨な状況でした。第四内科では手術不能の進行癌患者さんが多く、日常診療のみでは限界を感じていたことから、何とか早期発見できる検査方法の開発や、薬物治療によって完治させうる方法の開発研究にも携わっていきたいという考えも湧き起こり、日常診療に加えて研究活動をする機会もいただきました。その過程でいくつかの有望な可能性がある薬物療法を立案・開発できましたが、未だ臨床応用にまでは至っておりません。今後われわれの研究成果が、不治の病と言われた癌治療の柱の一つとして、日常臨床に導入され、まだ見ぬ多数の患者の命を救うことを願い、研究の更なる進展を次世代に託したいと考えております。

札幌医科大学が今後益々発展していくことを祈念して、退職のご挨拶とさせていただきます。