医学部長就任にあたって
札幌医科大学 医学部長 齋藤 豪
令和3年度から1年間、三浦哲嗣先生の任期を引き継ぐ形で医学部長に就任し、本年度から2期(1.5期?)目を務めさせて頂くことになりました。私は札幌医大33期(昭和61年)卒業で、平成6年より産婦人科学講座の教授を務めております。
この1年間、医学部長の任期を務めてきた中で、最も力を注いだのが医学教育分野別評価に向けた札幌医科大学医学部自己点検評価報告書の完成でありました。この自己点検は日本版の評価基準に基づき、三浦前医学部長時代から準備が進められてきたものですが、評価基準に照らし合わせた本学の医学教育再点検で、多くの課題が見えてまいりました。今はまだ、各種委員会の委員長と委員会にかかわる一部教員での対応に追われているところが大きく、大学全体で新しい認識を醸成していかなければならないと考えています。FDの講演等で私たちが変わっていくべき方向性を知る機会はあり、その認識に至っている教員も多くなっていることと思いますが、総力を挙げて取り組んでいかなければなりません。これまであまり経験してこなかったPDCAサイクルで医学教育を改善していくためには、IR活動強化、医学教育のモニタリングなど、新しく結成された組織の役割も重要です。札幌医科大学医学部のミッションである北海道ならびに北海道民への貢献のために、質の高い教育と研究をもって、達成することが不可欠です。一方、新型コロナウィルス感染症流行に対する講義や学生への対応、次のカリキュラム改訂への準備など、次から次へと課題が舞い込む1年間でもありましたが、自分個人にとって非常に多くの学びや経験を得ることが出来た貴重な1年間でありました。
今後の課題としては、令和5年度からのCBT/OSCEの公的化により、医学部学生の診療行為が法的に認められると同時に、大学側も診療参加型臨床実習のさらなる実践および責任が求められるようになります。臨床教育の一層の充実が必要であると同時に、魅力的な教育プログラムを推進することにより、初期臨床研修医や修練医を本学に定着させる絶好の機会と考えております。さらにそれは、臨床教室に人的余裕を作ることになり、基礎講座との共同研究機会の増加、あるいは基礎研究への志向性向上に寄与するものと考えております。
研究力の強化も重要な課題です。今後3年以内に多くの基礎系講座の教授が交代します。このことは大学の転換点になると捉えております。現在アクティブに動いているがん研究、再生医療などに加え、今後も成長が見込まれる分野に次なる研究の柱を建て、そこを核として臨床講座がコラボレーションしながら大きな渦を作る必要があると考えております。次の世代のために今から動かなければならないと思います。
山下新学長のもとで、札幌医大の発展のため研究・教育・臨床の改革に邁進して参ります。どうぞよろしくお願いいたします。