新任教授・役職者

医学部長就任にあたって

札幌医科大学 産婦人科学講座 齋藤 豪

令和3年度から三浦哲嗣先生に代わりまして医学部長を務めさせて頂くことになりました。私は札幌医大33期(昭和61年)卒業で、平成6年より産婦人科学講座の教授を務めております。

医学部長の役割の中で最も大きいのは教育と考えております。これは学部生ばかりではなく、大学院生、そして卒後教育まで含まれるものです。近年の傾向として医学部のグローバリズム化に伴い医学部教育の中でも臨床実習の重要性が高まり、現在は72週間の臨床実習をこなさなければならず、第4学年の冬休み明けから卒試まで、すべての期間が臨床実習となっております。今後は実習時間だけではなく臨床参加型実習といって実際に臨床チームの一員として診療行為の一部を担う形の実習が必須のものになります。そのためには国の医学生の医療行為の法的整備、医学部教員の意識改革はもとより附属病院の体制、さらには同窓・関連病院の理解と協力が必要になると思います。このような時代の変わり目で多くの困難が予想されますが何とか乗り越え、優れた臨床教育体制を整えたいと思います。

また、近年「学位より専門医」ということで、大学院入学者が減少傾向にあります。実際日本発の英文論文数も諸外国に比べ伸び悩んでいるという報告もあります。しかし、学位取得する過程での科学的思考や英文論文読解力の涵養、そして学位取得をきっかけにした海外留学など、学位を取得することによる医師として生きてゆくための必要な能力や深さが身につくことは間違いありません。そのようなことを学部学生には機会あるごとに話し、大学院の更なる発展と札幌医大初の研究成果がよりたくさん生まれるよう努力してまいります。

医学部を卒業するとほとんどの人は医師になるわけですが、その進路は様々で臨床医学、基礎医学、公衆衛生などがあります。しかしいずれの分野に進んでも、そしてどこに住んでいても一生涯勉強し続けなければなりません。医療は絶え間なく進歩しており医師はそれを学ぶことを怠った瞬間に取り残されてしまうからです。札幌医科大学医学部は大学在学生ばかりではなく卒業生に対しても学習のためのサポートをし続けます。令和3年には10年がかりの新キャンパスが完成し、医学部生、大学院生、卒業生が力一杯勉強する器ができました。また、良い医療を提供するためには、知識のみではなく様々な医療スタッフとチームを組み、最善の治療方針を決定してゆかなければなりません。医師はそのチームの中では常にキャプテンである事を求められます。そのためには学生時代から部活動、ボランティア活動などを通じ、判断力やコミュニケーション能力を養う努力は必要です。札幌医大は有意義な学生生活を送るためのソフト、ハードの面でのサポート体制も整備されております。あとはエネルギーにあふれた学生を迎え、札幌医科大学が新しい時代に向けて発展出来る事を確信しております。
どうぞよろしくお願いいたします。