新任教授挨拶
病理学第二講座 小山内 誠
平成31年(2019年)3月1日付けで,澤田典均教授(現名誉教授)の後任として,札幌医科大学医学部病理学第二講座の教授を拝命いたしました小山内誠と申します.実績と伝統のある病理学教室の一員として,本講座を主催していくことは身に余る光栄であり,同時に,その重積に身の引きしまる思いでおります.今後は,病理学という立場で,札幌医科大学のますますの発展のため,また,病理診断という観点で,本学の建学の精神である地域医療を守るため,職務に励む所存でございますのでよろしくお願い申し上げます.
私は,旭川医科大学を卒業後,同大第二外科(水戸廸郞教授)に入局しました.その後,同大第一病理(小川勝洋教授・札幌医大第二病理出身)で学位を取得し,外科臨床の現場に戻りましたが,病理研究の楽しさが忘れられず,再び病理の門をたたくことを決意しました.幸いにも,森道夫教授の退職1年前に,当時の澤田典均助教授のご高配で,晴れて入局のお許しを得ることができました.
入局後は,教室のテーマであるタイト結合研究に集中し,なかでもタイト結合分子の機能解明を中心に研究に取り組んでまいりました.また,私の研究テーマであるレチノイン酸や星細胞という切り口から,さまざまな生命現象の解明を目指してきました.ビタミンAの生理活性体であるレチノイン酸は,核内受容体のリガンドで,形態形成・細胞増殖・分化・細胞死などの基本的生命現象を特異的に制御するシグナル物質として知られています.レチノイン酸は,全身の諸臓器に存在する星細胞から生成されること,多彩な病気の発生と進行に星細胞が関与することから,星細胞の機能解明が必須と認識しております.したがいまして,全身の星細胞,すなわち,スターアライアンスの全貌を俯瞰し,スターアライアンスメンバーである星細胞の機能異常を理解したうえで,新しい治療戦略と予防法を探索したいと考えております.
これまでの多彩な施設での経験を活かし,研究の面白さや厳しさを実感できるような環境作りに努め,次世代を担う病理医と研究者の育成に注力したいと考えております.今後,札幌医科大学の教員として,地道な基礎研究を通じて,病理学教育の一翼を担う所存です.また,本学の建学の精神のもと,本学のさらなる発展に少しでも貢献できるよう,教室員とともに,教育・研究・病理診断に取り組み,大学全体の発展に微力ながら尽力する所存です.今後とも同窓会の諸先生には,なお一層のご指導とご鞭撻を賜りますよう,よろしくお願い申し上げます.
略歴
小山内 誠(オサナイ マコト)1967年(昭和42年)生まれ
所属札幌医科大学医学部病理学第二講座
学歴
- 昭和61年(1986)3月
- 立正学園旭川実業高等学校 卒業
- 平成5年(1993)3月
- 旭川医科大学医学部 卒業
- 平成9年(1997)3月
- 旭川医科大学大学院医学研究科 修了(医学博士)
職歴
- 平成9年(1997)4月
- 北楡会札幌北楡病院外科 常勤医師
- 平成11年(1999)4月
- 札幌医科大学医学部病理学第二講座 研究生
- 平成13年(2001)1月
- クイーンズ大学癌研究所(カナダ)生化学・病理学分野 ポスドク研究員
- 平成15年(2003)10月
- 札幌医科大学医学部 病理学第二講座 助手
- 平成17年(2005)4月
- 札幌医科大学医学部 病理学第二講座 講師
- 平成19年(2007)7月
- 高知大学医学部病理学講座 准教授
- 平成27年(2015)4月
- 札幌医科大学医学部 病理学第二講座 准教授
- 平成31年(2019)3月
- 札幌医科大学医学部 病理学第二講座 教授