教授就任挨拶
札幌医科大学医学部呼吸器外科学講座
教授 渡辺 敦
2013年6月1日に新設された学科目 呼吸器外科学教授に着任し、道内初の独立した呼吸器外科教室を主宰することとなりました。
私は、1985年本学を卒業後(32期)旧第二外科へ入局し、一貫して胸部外科医として診療、研究、教育に携わって参りました。1999年からは、呼吸器外科を専門として現在に至っております。
呼吸器外科は、肺腫瘍を主な対象疾患としておりますが、肺疾患、縦隔疾患、胸壁疾患に対する外科治療を行う分野です。私は、これらの疾患に対して、低侵襲で質の高い手術を施行すべく研鑽してまいりました。原発性肺癌に対する切除術は、その90%を胸腔鏡下に施行可能となっております。
研究に関しましては、臨床分野では肺癌と間質性肺炎合併例の外科手術成績、肺癌に対する胸腔鏡手術の成績・手技の工夫・リンパ節廓清の精度、早期肺癌に対する区域切除の成績、ロート胸に対するNuss手術の成績などを研究してきました。今後、先端工学系研究者との連携による鏡視下区域切除に関する手技、デバイスの研究、ロボット手術の研究を行う予定です。また、基礎分野では、肺移植に関する虚血・再灌流傷害の原因、抑制法の研究、急性期拒絶反応の抑制法の研究をしてきました。また、呼吸器・アレルギ-内科(旧第3内科)と共同で肺癌とBiomarker(N-glycolyated gangliosidesなど)の研究を行ってきました。今後、肺再生機構の解析と応用、肺悪性腫瘍の分子生物学的解析と治療標的の探索などに関しても範囲を広げて行う予定です
北海道には、これまで独立した呼吸器外科教室は存在しませんでした。今回、呼吸器外科教室を主宰させて頂くこととなりましたが、大学の使命たる教育、診療、研究のバランスを保ちつつ専門医育成に心力を注ぐ所存です。御支援、御鞭撻頂ければ深甚です。
略歴
渡辺 敦(ワタナベ アツシ) 54歳
所属札幌医科大学医学部 呼吸器外科学
学歴
- 昭和53年(1978)3月
- 札幌開成高等学校 卒業
- 昭和60年(1985)3月
- 札幌医科大学卒
職歴
- 昭和60年(1985)6月
- 札幌医科大学医学部第2外科(研修医)勤務
- 昭和61年(1986)4月
- 道立北見病院胸部外科(医員)勤務
- 昭和63年(1988)4月
- 札幌医科大学医学部第2外科(研修医)
- 平成1年(1989)4月
- 札幌市立病院救急医療部
- 平成2年(1990)8月
- 札幌医科大学医学部第2外科
- 平成4年(1992)5月
- 道立苫小牧病院呼吸器外科(兼任助手)
- 平成6年(1994)6月
- 砂川市立病院胸部外科
- 平成11年(1999)4月
- 札幌医科大学医学部外科学第2講座(助手)
- 平成12年(2000)5月
- 札幌医科大学医学部外科学第2講座講師
- 平成14年(2002)2月
- カナダカルガリ大学医学部胸部外科 訪問臨床研究員
- 平成19年(2007)4月
- 札幌医科大学医学部外科学第2講座准教授
- 平成25年(2013)6月
- 札幌医科大学医学部呼吸器外科学教授
所属学会
日本胸部外科学会(評議員)、日本外科学会、日本呼吸器外科学会(評議員、診療報酬委員会委員)、日本臨床外科学会(評議員)、日本内視鏡外科学会(評議員)、日本肺癌学会(評議員)、日本Nuss手術研究会(世話人)、世界肺癌学会、ヨーロッパ胸部外科学会
免許・資格
日本胸部外科学会認定医・指導医、介護専門員、日本胸部外科学会指導医、呼吸器外科専門医・日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本外科学会指導医、日本呼吸器外科学会胸腔鏡手術インストラクター