新任教授・役職者

新任教授ご挨拶

札幌医科大学医学部医科知的財産管理学 教授 石埜 正穂

 札幌医科大学医学部に学科目として新設された医科知的財産管理学の教授を2011年10月1日付けで拝命しました。

 研究生活をスタートさせて以来、直近の衛生学講座在籍中も含め、基礎医学分野における研究活動をつづけて参りましたが、2003年より弁理士資格の取得を機に札幌医大の知的財産管理を任され、それを契機として医学分野における知的財産や産学連携に関して山積する問題に直面することになりました。医療における新技術の開発は莫大な投資に支えられており、知的財産権による資金回収の担保なしに医療の発展は考えられません。ところが大学などの医学研究機関で生まれる先端技術の知的財産保護については、医薬用途、手術・治療方法、再生医療材料、研究創作物など、それぞれの切り口において重い問題が立ちはだかり、医療技術の開発に難題を投げかけています。これらの課題に対峙し、先端医療技術の実用化に適した環境醸成に向けた戦略策定・インフラ構築・政策提言等を行うためには、その基礎となる研究が必須ですが、これを専門的に行う機関は日本にはほとんど存在しませんでした。私はこれまで、上記課題を何とか改善すべく、地味に研究活動を続けてきましたが、新教室の発足を機会に、この分野を主導できる研究やネットワーク活動を一層展開していきたいと考えております。

 知的財産支援を通じた学内の研究支援体制の充実も重要な使命です。論文向けの研究と知財化・産業化に必要な研究はその求められるポイントも内容も異なりますので、基礎研究を重視する大学においては、研究者をフォローしながら、より安定で効果的な特許権を獲得したり企業との連携を図るための支援システムが必要です。札幌医大はこういった支援活動の場として附属産学・地域連携センターを有し、全国の医系大学の中でも最も恵まれた研究支援環境が実現しているところです。しかし世の中は常に進歩し続けており、支援システムもそれに合わせた進化を必要とします。今後もノウハウの蓄積や体制のさらなる改革をすすめながら、支援環境の一層の改善と充実を図りたいと考えております。特に、実用化が望まれるシーズについては、最適な知的財産取得や開発ロードマップが描けるよう、学内の核研究者の研究の理想的な展開に合わせたきめ細かい助言が基本と考えており、そのような機能の充実を目指す所存です。

 以上に述べてきましたように、実務の充実と実務に根差した研究の展開を図り、先端医療実現に向けた学内外の環境醸成に貢献していきたいと考えております。

略歴

石埜 正穂(いしの まさほ)51歳

所属札幌医科大学医学部医科知的財産管理学

学歴
昭和53年(1978)3月
長野県立諏訪清陵高等学校 卒業
昭和57年(1982)3月
北海道大学農学部 卒業
昭和59年(1984)3月
北海道大学大学院環境科学研究科(修士課程)修了
昭和63年(1988)3月
札幌医科大学大学院医学研究科(博士課程)修了
職歴
昭和63年(1988)4月
セントルイス大学分子ウイルス学研究所(ポストドクトラル・フェロー)
平成3年(1991)4月
札幌医科大学医学部附属がん研究所 生化学部門 助手
平成10年(1998)2月
札幌医科大学医学部附属がん研究所 生化学部門 講師
平成14年(2002)5月
札幌医科大学医学部衛生学講座 講師
平成17年(2005)8月
札幌医科大学医学部衛生学講座 助教授
平成19年(2007)4月
札幌医科大学医学部衛生学講座 准教授
平成23年(2011)10月
現在 札幌医科大学医学部医科知的財産管理学 教授(産学連携実務関係)
平成14年(2002)12月
(兼)札幌医科大学知的財産管理部門 準備室 室長
平成16年(2004)4月
(兼)札幌医科大学知的財産管理室 室長
平成17年(2005)4月
(兼)札幌医科大学附属産学地域連携センター 副所長
平成18年(2006)4月
(兼)北海道臨床開発機構TR推進部 臨床開発企画・管理担当
所属学会

日本ウイルス学会
日本衛生学会
日本知財学会

社会活動

JICA短期派遣専門家(インド国立コレラ腸管感染症研究所)(2005年)
日本弁理士会バイオ・ライフサイエンス委員長(2009年~2010年)
平成22年医学系大学産学連携ネットワーク協議会運営委員長(2010年~)

学術関連受賞

秋山記念生命化学振興財団研究助成(1996年)
黒住医学研究振興財団研究助成(1997年)

免許・資格

弁理士