新任教授ご挨拶
札幌医科大学医学部脳神経外科学講座
教授 三國 信啓
平成22年12月1日に5代目教授として着任しました。
札幌医科大学脳神経外科は昭和29年に講座開設された日本で最も歴史のある教室で、脳神経外科医としてだけではなく日本の医療の中心的存在として活躍する医師を数多く輩出してきた歴史があります。臨床・研究レベルも高く、光栄であるとともに大きな社会的責任を実感しております。一臨床医として全力を尽くしてきましたが、今後はさらに大きな視野で患者さんのための医療を考える立場と理解しております。着任後は道内の関連病院を見学し院長・脳神経外科部長から看護師・リハビリ担当師・検査技師と広く現場での意見を聞かせていただきました。最も充実して働くべき若手-中堅脳外科医のモチベーションがここ数年間の若手医師不足、人事停滞のために危機的な状態となっています。若い後輩のためにも大きな視野で大計を立てる必要性を強く感じ、着々と準備・実行していきます。
脳神経外科医専門医の役割については以下のように定められています。「国民病とも言える脳卒中や頭部外傷などの救急疾患,また,脳腫瘍に加え,てんかんやパーキンソン病,三叉神経痛や顔面けいれん,小児奇形,脊髄,脊椎,末梢神経などの病気が対象です.これらの病気の予防や診断,手術的治療および非手術的治療,リハビリテーションあるいは救急医療において総合的かつ専門的知識と診療技術を持ち,これらの病気に対し適切な診断と治療を行い,必要に応じ他の専門医への転送の判断も的確に行える能力を備えた医師です。(日本脳神経外科学会)」平成23年度からは専門医資格制度がより厳格に改革され、自己啓発とともに若手脳神経外科医への初期教育そして生涯教育が必要です。幸い札幌医科大学出身者が志を持って協力すれば多くの優秀な専門医を育てることが可能であり、協力体制の構築は私の重要な役目の1つです。
私は意思・個性が宿る脳を手術するという気持ちでいつもおります。特に専門とする脳腫瘍や機能的疾患については患者さんの脳機能をよく理解しておく必要があります。本校には神経内科、神経科学、リハビリ、神経再生医学、といった講座で国内トップレベルの脳機能診断・研究を行っており、チームを組むことで最も安全で効果的な治療を提供できます。脳神経外科医専門医としての診療が十分満足に出来ることは当然の時代です。治療困難な病変に対してニューロサイエンスに基づいた研究・診療を積極的に検討する講座を目指します。
略歴
三國 信啓(みくに のぶひろ)47歳
所属札幌医科大学医学部脳神経外科学講座
学歴
- 昭和57年(1982)3月
- 灘高等学校 卒業
- 平成元年(1989)3月
- 京都大学医学部 卒業
- 平成9年(1997)3月
- 京都大学大学院 修了
職歴
- 平成元年(1989)6月
- 京都大学医学部附属病院(研修医)勤務
- 平成3年(1991)4月
- 大阪赤十字病院(医員)勤務
- 平成8年(1996)7月
- 米国Cleveland Clinic(Research Fellow)勤務
- 平成11年(1999)4月
- 彦根市民病院脳神経外科勤務
- 平成11年(1999)5月
- 京都大学医学部脳神経外科 医員
- 平成11年(1999)7月
- 京都大学医学部脳神経外科 助手
- 平成19年(2007)6月
- 京都大学医学研究科脳神経外科 准教授
- 平成20年(2008)3月
- 京都大学医学研究科脳神経外科 講師
- 平成22年(2010)12月
- 現在 札幌医科大学医学部脳神経外科学講座 教授
所属学会
日本脳神経外科学会
(生涯教育委員会委員、利益相反(COI)委員会委員、北海道支部理事)
日本脳神経外科コングレス
(教育委員会委員長、庶務会計副幹事、運営委員、プログラム企画委員)
日本脳卒中学会(評議員)
日本定位・機能神経外科学会(理事)
日本てんかん学会(評議員)・北海道地方会(運営委員)
日本てんかん外科学会(運営委員)
Neurologia medico-chirurgica審査委員
脳神経外科ジャーナル編集委員
免許・資格
日本脳神経外科学会(代議員)専門医
日本脳卒中学会 専門医
日本てんかん学会 認定医(臨床専門医)/専門医指導医