平成25年度札幌医科大学医学部卒業式並びに大学院修了式
卒業証書・学位記授与式 祝辞
平成25年度札幌医科大学医学部卒業式ならびに大学院修了式にあたり、同窓会を代表してお祝いを申し上げます。
札幌医科大学医学部61期の卒業生の皆さんと、大学院医学研究科修士・博士課程を修了された先生がた、並びにこの日を待ち望まれておられたご父兄の皆様と関係各位に、心よりお慶びを申し上げます。
私どもの母校札幌医科大学は、「進取の精神と自由闊達な気風」、「医学・医療の攻究と地域医療への貢献」を建学の精神とし、「最高レベルの医科大学を目指す」ことを理念に掲げ、創基以来65年を越える歴史を有し、前身の道立女子医学専門学校卒業生を加えますと、優に5,000名を超える同窓生が道内はもとより、国内外において、医療・保健・福祉の分野で活躍しています。
さて、日本は今、世界でも例を見ない速度で少子高齢時代に突入しようとしています。昨年、「社会保障制度改革国民会議」が報告書を発表しました。
報告書では高度経済成長期に確立した「1970年代モデル」の社会保障から、超高齢・少子化の進行、雇用形態の変化などに対応した全世代型の「21世紀(2025年)日本モデル」への変革を説いています。また、「医療・介護分野」においても、「Cure」から生活の質を重視した「Care」への転換を例に上げ、「病院完結型」医療から「地域完結型」医療への移行を推進し、医療・介護・福祉をも広く包括した「地域包括ケアシステム」の確立を提唱しています。それが今年から本格的に具体化されることが明らかになり、社会保障制度改革が大きなうねりとなっている感があります。
諸君はこの激動の中で医師として、研究者として羽ばたいていくわけですが、何も臆することはありません。先に述べたように、諸先輩が営々と築いてきた歴史と実績のある札幌医科大学という学び舎で培った知識、技量を、自信をもって存分に発揮して活躍してください。そして、多くの人々から信頼される医師・研究者に成長し、医学・医療の発展に寄与されると同時に、広域医療圏を抱える北海道の医療のために貢献していただきたいというのが、私一人のみならず道民すべての願いであると思います。大いに期待しております。
昨年、私は卒業式の祝辞の中でEBM(Evidence-based Medicine 根拠に基づいた医療)とNBM(Narrative-based medicine 物語に基づいた医療)の融合の重要性についてお話しをしました。今年も同じ言葉を皆様に贈りたいと思います。これは国民のニーズであり、時代の趨勢です。EBMという視点からのみ患者さんに接するのではなく、あくまでもヒトを診るという全人的対応を忘れることがないよう、老婆心ながら、先輩として要望する次第です。
ご挨拶を〆るにあたり、医学部同窓会が札幌医科大学のさらなる発展を支えていける組織たり得るためにも、61期の卒業生の皆様全員が同窓会に入会してくださることをお願い申し上げて、簡単粗辞でありますがお祝いの言葉とさせていただきます。
本日は誠におめでとうございました。
平成26年3月20日
札幌医科大学医学部同窓会
会長 田中 繁道