退任挨拶
前会長 矢花 剛(15期)
会員各位におかれましては、道内はもとより、全国各地と世界の医療の「現場」と「先端」で、お元気でご活躍ことと、心からお慶び申し上げます。
さて、このたび、去る7月14日開催されました平成24年度幹事会・総会で、1期2年間務めました会長職を辞し、全会一致で選任されました新会長 田中繁道先生(20期)に、今後の同窓会運営・活動を託すことになりました。
会長の拝命を受け、この2年間の在任中、2度にわたる会則の変更、常任幹事会における委員会制度の導入、現同窓会の最優先事項であり事業計画でもある会誌AMICUSの電子化など、同窓会が抱える諸問題解決への道筋とその活性化に向けて、副会長はじめ常任幹事の諸先生の全面的な協力を得ながら、その任に当って参りました。その職責を十分に果たせたか否か、頻りに自問自答を繰り返えす反省の日々ですが、今後の同窓会の運営・活動の方向性だけは、微力ながら、ある程度見えるかたちで、田中新会長と次期執行部の常任幹事会に引き継ぐことができたと確信しています。
昨年は、余りにも悲惨な爪痕を残した東日本大震災、大量の放射性物質を放出して、世界を震撼させた福島原発事故など、不幸なことの連続でした。個人的なことで誠に恐縮ですが、私自身にとっても昨年は試練の1年でした。昨年4月、偶然発見された左腎細胞癌の内視鏡的部分切除術を母校札幌医大泌尿器科(執刀医:舛森直也准教授、35期)で、その半年後の10月に、左前腕腫瘍の再発で左腕完全喪失を意味する左肩関節離断術を、「平静の心」(William Osller博士, 1889)と「鈍感力」(渡辺淳一博士著、2007;札医大卒5期・整形外科、第63回直木賞受賞)で、同じく母校の整形外科(執刀医:相馬有助教、46期)で受けました。今年3月挙行された、平成23年度札幌医科大学卒業式並びに大学院修了式の卒業証書・学位授与式で、医学部同窓会を代表して述べた祝辞の中で、医師・研究者の第一歩を踏み出す卒業生と大学院修了者にとっても意味あるに違いない、この二つの言葉を贈りましたが、これが会長としての名誉ある最後の仕事になりました。
この度の会長退任にあたって、同窓会役員はじめ多くの会員各位から、身に余る言葉とお叱りが多く寄せられましたが、こうした個人的な健康上の問題の行く末と、これからの同窓会の運営・活動を、新旧の交代を含め、次世代へスムーズに継承するための絶好の機会でも有ると考え、年甲斐もなくわがままを通させて頂きました。
最後に、「進取の精神と自由闊達な気風」、「医学・医療の攻究と地域医療への貢献」という、二つの建学の精神を掲げ、しかもその理念に、「最高レベルの医科大学」を目指し前進し続け、今年創基67周年・開学62周年を迎えた、私どもの母校札幌医科大学の発展と、今や会員数5,000名を超える当同窓会のさらなる飛躍・飛翔を願って、会長退任の挨拶とさせていただきます。
(平成24年8月吉日)