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消化器腫瘍を対象とした遺伝子診断法とヒト型抗体による分子標的治療の開発 |
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講 座 |
内科学第一講座
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研究者 |
篠村恭久(教授)、佐々木茂(講師)、山本博幸(講師) |
第一内科では、患者さん中心の実践的研究を推進して遺伝子診断、分子標的療法やオーダーメイド医療の開発につながる臨床に還元できる価値ある成果を目指して精力的に研究を行っております。ジェネティック異常やエピジェネティック異常を網羅的に解析し、遺伝子情報に基づく消化器腫瘍の発生・進展の分子機構の解明およびその診断・治療への応用研究を展開しております。また、アポトーシスを誘導する抗erbB-2抗体CH401の樹立に成功し、分子標的癌免疫治療としての抗体医療への応用を展望したヒト型抗癌抗体の作製を産学官連携のもと、行っております。 |
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心筋障害を抑制する細胞情報伝達系の解析とその臨床応用 |
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講 座 |
内科学第二講座 |
研究者 |
三浦哲嗣、三木隆幸、矢野俊之、島本和明 |
現在、循環器疾患による死亡の最も重要な原因は虚血性心疾患と心不全である。これらに対する新たな治療法の開発を目指して、心筋細胞における障害性ならびに保護的に作動する細胞シグナル伝達系の解析、心筋保護シグナルを修飾する病態の解析、心不全における微小循環障害・虚血の解析を進めている。これまでにGq/i蛋白連関受容体ならびエリスロポエチン受容体の活性化によって虚血耐性が成立する分子機序、心筋梗塞後の心不全により心筋保護シグナルが障害される機序を明らかにした。 |
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インスリン抵抗性と動脈硬化性疾患 |
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講 座 |
内科学第二講座 |
研究者 |
浦 信行、東浦勝浩、宮崎義則、吉田英昭、島本和明 |
今まで偶然の合併と考えられていた高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満などの生活習慣病は、最近になりその病因に共通の背景因子としてインスリン抵抗性が存在することが明らかになってきた。そこでインスリン抵抗性がどのようにこれらの生活習慣病に関わっているのか、ひいてはインスリン抵抗性と動脈硬化性疾患の発症の関連についての基礎的、臨床的研究を行っている。
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心臓超音波および心臓核医学検査による左室・左房心筋イメージング |
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講 座 |
内科学第二講座 |
研究者 |
湯田聡、橋本暁佳、土橋和文、島本和明 |
心筋性状の超音波診断に用いられる組織ドプラ法を応用により、心臓自体の動きや周辺組織の影響を排除し、2箇所の心筋領域の速度の差を距離で補正するstrain rate imaging法(SR)が開発され、局所心機能の評価に用いられるようになった。心房機能に対する応用は、国内では我々が最初に試みた手法であり、多くの業績をあげている。 I-123-metaiodobenzylguanidine (MIBG) imagingは心臓交感神経活性を視覚化・定量化することが可能である。我々は、心不全の病態解明、治療効果予測、予後評価における有用性を検討している。 |
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ANGIOTENSIN II 受容体拮抗薬による肺線維化抑制効果と肺線維症治療薬の検討 |
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講 座 |
内科学第三講座 |
研究者 |
高橋弘毅(教授)、白鳥正則(講師)、大塚満雄(助手) |
肺線維症は現在有効な治療法が無い難治性肺疾患であり、早期の治療薬の開発が望まれている。我々は、ANGIOTENSIN
II受容体拮抗薬(ARB)が肺線維化抑制作用があることを動物モデルで明らかにした。今後、ARBは肺線維症の治療薬となりうる可能性があり、更なる研究を進めている。現在、ARBだけでなく、より有効な新規治療薬の開発に向けて、教室全体で積極的に取り組んでいる。 |
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肝星細胞のコラーゲン特異的分子シャペロンHSP47を標的とする |
siRNAを用いた新しい肝線維化抑制療法 |
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講 座 |
内科学第四講座 |
研究者 |
教授 加藤淳二 |
インターフェロン等によるHCV駆除が困難であり且つ炎症が持続するC型慢性肝炎症例に対しては、肝線維化の進行や肝細胞癌の発生を抑制することが重要である。我々は肝細胞内に蓄積した鉄がC型慢性肝炎の炎症増悪因子であり、また過剰鉄により産生が促進されるラジカルが変異原性塩基を形成することに着目し、瀉血および鉄制限食事療法による除鉄を長期間にわたり継続することで、血清ALT値の低下、肝線維化の改善および変異源性塩基の減少、肝癌発生の抑制が認められることを明らかにした。 |
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結腸癌周囲間質組織におけるVEGF165bの発現と予後との関連についての検討 |
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講 座 |
外科学第一講座 |
研究者 |
田山誠(大学院生)、古畑智久(准教授)、 稲福慶子(大学院生)、沖田憲司(助教)、平田公一(教授) |
血管新生因子であるVEGFは大腸癌の予後不良因子ですが、癌の組織を詳細に観察すると、癌細胞だけではなく周囲の間質もVEGF
を発現していることがあります。私たちの研究では、間質でVEGFを発現している症例は予後が良好でした。その理由を検討すると、癌細胞では血管新生を促進するVEGF165を発現していましたが、間質では血管新生を抑制するVEGF165bも発現していることが分かりました。この間質におけるVEGF165bの発現は新たな予後因子となる可能性があり、今後の治療に寄与するものと思われます。 |
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超音波メスによる内胸動脈剥離法の開発と臨床応用 |
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講 座 |
外科学第
二講座 |
研究者 |
胸部心臓血管外科教授樋上哲哉 |
近年、冠動脈バイパス術は従来から行われている人工心肺を使用し、心臓の拍動を一時的に停止した状態で行われる手術法以外に、人工心肺を使用せず心臓が拍動した状態で手術を行う心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB:
off pump coronary artery
bypass)がより低侵襲で術後の回復が良好な手術方法として認知されている(図1)。樋上は世界で初めて超音波メスによる内胸動脈剥離法を開発し(図2)、これにより全て動脈グラフトによる冠動脈バイパス術が容易となり、99%以上の救命率と長期グラフト開存率(図3、図4)を保っている。また5年以内の狭心症再発率は3%以下で極めて良好な成績を維持できている。また特殊な超音波装置を用い、心筋内に深く埋没した冠動脈に対しても、安全にOPCABを行っている。 |
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胸部下行および胸腹部大動脈瘤に対する術中選択的肋間動脈灌流法 |
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講 座 |
外科学第
二講座 |
研究者 |
講師 川原田 修義 |
近年、大動脈瘤外科治療全体の成績向上が得られているが、胸腹部大動脈瘤の外科治療は手術侵襲も大きく、その成績は決して良好とは言えない。特に、脊髄障害(対麻痺)の問題は重要である。ステントグラフト治療では脊髄障害の頻度が少ないと言われているが、open
surgeryとの決定的な違いは大動脈遮断による虚血が生じないことである。そのためopen
surgeryにおいて術中の前脊髄動脈がcollapseしないよう前脊髄動脈への血流を一定量維持することを目的に術中選択的肋間動脈灌流を新しく開発したカテーテルを用いて施行している。 |
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Off-pump
coronary artery bypass grafting(OPCAB)施行後のサルポグレラートの血栓予防効果に関する検討 |
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講 座 |
外科学第
二講座 |
研究者 |
講師 中村 雅則 |
冠動脈バイパス術においては、人工心肺を用いないOPCABが一般的になり、術中脳梗塞の発生頻度は低下した。しかし、人工心肺を使用しないこと、へパリンの量が減ったことを背景に、手術ストレスによる術後の血液凝固亢進に起因する脳梗塞が顕在化してきた。血小板活性化は凝固亢進の前段階と考えられ、抗血小板薬は凝固予防に働くことが推察されるが、OPCAB後の凝固線溶系に対して抗血小板薬が影響を与えることを明らかにした報告はない。サルポグレラートは血小板の活性化に伴って放出されるセロトニンの受容体を拮抗することにより、血小板の活性化および血管収縮を抑制する抗血小板薬であり、OPCAB後の過凝固を抑制するか凝固線溶系に対する影響をワルファリンカリウムと比較検討する。 |
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胸腔鏡下手術における新しい主肺動脈遮断法の開発 |
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講 座 |
外科学第
二講座 |
研究者 |
准教授 渡辺 敦 |
胸腔鏡下による肺血管処理を必要とした手術が一般的となる一方で、その肺動脈損傷による術中リスクと危険性は開胸手術と比較し増大している。開胸手術と異なり胸腔鏡下での肺動脈遮断手技の困難さと、その際の術野のworking
spaceの少なさは術者の大きな負担となっている。我々は、この問題点を減少すべく新しい主肺動脈遮断法を開発し、安全かつ正確に胸腔鏡下手術を遂行可能にしている。方法は、肺動脈遮断に遮断鉗子やターニケットを使用せず、1号絹糸を2本使用し肺動脈の遮断と解除を限られたworking
spaceで施行可能なものとした(図1)。その遮断方法により40mmの切開からでも肺動脈中枢、末梢の遮断、開放が安全に施行可能で、胸腔鏡下手術の適応を広げることに寄与している(図2)。本法をさらに、簡便化するため、accsess
diviceを開発予定である。 |
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超音波メスによる内胸動脈剥離法の開発と臨床応用 |
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講 座 |
胸部心臓血管外科 |
研究者 |
教授 樋上哲哉 |
近年、冠動脈バイパス術は従来から行われている人工心肺を使用し、心臓の拍動を一時的に停止した状態で行われる手術法以外に、人工心肺を使用せず心臓が拍動した状態で手術を行う心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB: off pump coronary artery bypass)がより低侵襲で術後の回復が良好な手術方法として認知されている(図1)。樋上は世界で初めて超音波メスによる内胸動脈剥離法を開発し(図2)、これにより全て動脈グラフトによる冠動脈バイパス術が容易となり、99%以上の救命率と長期グラフト開存率(図3、図4)を保っている。また5年以内の狭心症再発率は3%以下で極めて良好な成績を維持できている。また特殊な超音波装置を用い、心筋内に深く埋没した冠動脈に対しても、安全にOPCABを行っている。 |
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テトラネクチンの骨折治療への臨床応用 |
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講 座 |
整形外科 |
研究者 |
射場浩介 |
整形外科領域において骨形成能を促進することは、骨折をはじめ 種々の疾患治療において重要である。これまでの基礎的研究で細胞外基質蛋白の1つであり、ヒト血清中にも存在するテトラネクチンが骨形成過程において強く発現し何らかの重要な役割をもつことがわかってきた。 現在、骨折を中心とした外傷、骨疾患への臨床応用について研究をおこなっている。 |
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難治性慢性疼痛に対する有効な治療法の開発 |
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講 座 |
整形外科学講座 |
研究者 |
教授 山下敏彦 |
講 座 |
リハビリテーション部 |
研究者 |
助手 村上孝徳 |
慢性的な痛みに悩む患者は多い。なかでも神経因性疼痛に対する有効な薬物はまだないのが現状である。また、慢性疼痛症例には心理的・環境的要因が関与することがあり、病態を更に複雑にしている。われわれは、8年前より全国でもユニークな慢性疼痛外来を開設し、難治性疼痛症例を対象とし、種々の薬剤の経口投与、クモ膜下腔投与など新しい薬物療法の試みを行っている。また、複数の診療科やコメディカルと連携した集学的診療体制を構築している。 |
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腰部神経根障害による慢性疼痛に対する治療戦略
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講 座 |
整形外科学講座 |
研究者 |
竹林庸雄、山下敏彦 |
内容の要約(200字程度):腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアにおける神経根性疼痛は頻度の高い愁訴の一つである。発症要因として神経根への機械的、化学的因子などがその原因とされているが、その疼痛メカニズムは十分に解明されていない。現在、神経根性疼痛モデルラットを作成し、疼痛伝達に関与する知覚神経、後根神経節細胞(DRG neuron)、脊髄における興奮性変化を、行動学、神経生理学、免疫組織学手法を用いた包括的研究を行っている。
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本人由来の骨髄幹細胞を用いた再生技術による脳梗塞治療の実用化研究 |
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講 座 |
脳神経外科学講座 |
研究者 |
教授 宝金清博 |
我々は、ヒト骨髄細胞群の中から幹細胞を同定し、この幹細胞が、脳梗塞において脳神経再生に極めて有効であることを報告している。この細胞は、脳に直接投与する必要はなく、静脈投与することによって、脳の患部に到達させることができ、従来困難であった脳神経の再生が可能となった。現在、脳梗塞を対象とする臨床研究で安全性および治療効果の評価を行っている。 |
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Bystander effect for Cancer Therapy |
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講 座 |
産婦人科学講座 |
研究者 |
鈴木 孝浩、森下美幸、田中綾一、斎藤豪 |
癌浸潤転移機構は細胞接着の異常や間質組織の破壊などの多種にわたる。子宮内膜癌におけるギャップ結合を介した遺伝子治療の可能性について検討した。子宮内膜癌細胞株にHSV-tk遺伝子を導入し、Ganciclovirを添加したところ、細胞増殖抑制効果が認められ、HSV-tk遺伝子(+)細胞と(-)細胞を混合培養した場合、発現していない細胞にも細胞死が認められ、細胞間コミュニケーションがバイスタンダー効果をもたらすことが明らかとなった。 |
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ヒトパルボウイルスB19感染による多彩な病態とゲノム変異との関連性 |
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講 座 |
小児科学講座 |
研究者 |
堤裕幸(教授)、要藤裕孝(講師) |
ヒトパルボウイルスB19は伝染性紅斑の原因として知られているが、それ以外にも関連する病態は非常に多彩である。当小児科においても保存血清よりB19
DNAの後方視的スクリーニングを行い、B19感染に様々な病態が伴うことを報告してきた。通常は一過性に終わるB19感染が再活性化を呈する症例も見いだされた。多彩な病態とB19ゲノムの塩基配列変異に関連性がないかを検討し、その変異がmRNA転写調節に何らかの影響を与えていないかを現在まで研究している。 |
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レーザースペックル画像化法(LSFG)における眼血流解析 |
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講 座 |
眼科学講座 |
研究者 |
教授 大黒 浩 |
網膜硝子体手術後の症状改善に眼血流改善が考えられているものの、眼組織血流動態をリアルタイムで解析する方法が今まで存在しなかった。LSFGは非侵襲的にダイナミックに組織血流を測定する方法であり、網膜硝子体疾患における眼血流解析に応用し、病態改善と眼血流の関与を検討・解析している。 |
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シラカバ花粉症と口腔アレルギー症候群の発症機序 |
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講 座 |
耳鼻咽喉科学講座 |
研究者 |
白崎英明、氷見徹夫 |
北海道や北欧ではシラカバが花粉症の主な抗原であるが、このシラカバ花粉症では高率にOral allergy
syndrome
(OAS)を合併する事が知られている。食物抗原としてはリンゴが最も多く、シラカバ花粉の主要抗原と食物の共通抗原性が確認されている。一般的な食物アレルギーは主に腸管粘膜において起こる即時型、遅発型、遅延型アレルギーであるが、OASは口腔粘膜を主体とする即時型アレルギー反応である。OASの発症機序に対する研究を行った。 |
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アレルギー性鼻炎における鼻粘膜上皮バリアと抗原認識・提示機構の解明 |
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講 座 |
耳鼻咽喉科学講座 |
研究者 |
郷充,高野賢一,亀倉隆太,氷見徹夫 |
鼻咽喉腔は,外来病原体に対する生体防御の最前線に位置し,自然免疫,獲得免疫において重要な役割を担っている.我々は,ヒト鼻粘膜や扁桃,アデノイド(咽頭扁桃)上皮細胞を用いて,様々な面から上皮のバリア機能およびその鍵となるタイト結合の発現調節機構を研究している.特にアレルギー性鼻炎においては,上皮最表層でのタイト結合蛋白の発現のみならず,抗原提示細胞であるCD11c陽性樹状細胞にもタイト結合蛋白の発現をみとめ,上皮バリアを壊さずに突起を伸ばし抗原を取り込む機構が存在することを示した.現在,初代培養鼻粘膜細胞および継代培養可能なhTERT導入培養鼻粘膜細胞を用い,TGFβやTSLPなどのサイトカインに対するタイト結合発現調節機構研究も行なっている. |
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がん疼痛の機序解明と新たな治療法開発に関する研究 |
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講 座 |
麻酔学講座 |
研究者 |
川股知之,新山幸俊,山本 純,古瀬晋吾,並木昭義 |
疼痛治療に難渋する骨がん疼痛の機序と新たな治療法を開発するためにマウス骨がん疼痛モデルを用いたin vivo研究および培養細胞を用いたin vitro 研究を行っている.その結果,末梢神経レベルでの多刺激痛み受容体TRPV1の発現増加と機能亢進が骨がん疼痛形成機序の1つであること,TRPV1が疼痛治療のターゲットとなる知見を得ている.今後,さらに新たな骨がん疼痛責任分子および機序に基づいた疼痛抑制分子を明らかにし治療抵抗性のがん疼痛の新たな治療法を提示することを研究課題としている.連絡先:川股知之(kawamata@sapmed.ac.jp) |
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前立腺肥大症と下部尿路症状の自然史の解明 |
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講 座 |
泌尿器科学講座 |
研究者 |
舛森 直哉、福多 史昌、塚本 泰司 |
札幌医科大学泌尿器科学教室では、高齢男子における下部尿路症状および前立腺肥大症の罹患率を算出する目的で1992年から1993年にかけて北海道島牧村において40-79才の全男性住民を対象にcross sectional community-based studyを行っている。本検討により得られた結果は、国際比較に足る本邦における唯一のデータとして数多くの論文に引用されている。 |
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抗アポトーシス分子の機能解析と癌診断・創薬への応用 |
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講 座 |
臨床検査医学講座 |
研究者 |
辻 直樹、渡辺 直樹 |
抗アポトーシス分子Survivinは各種癌細胞で高発現する。また、放射線や抗癌剤誘導アポトーシスを阻害するのみならず、Fasligandやテロメラーゼ逆転写酵素の発現を増強し、癌細胞の免疫回避や不死化にも重要な役割を果たしている。癌患者の血清中には抗Survivin抗体が認められ、癌診断への応用が可能である。また、癌細胞のSurvivin発現を抑制するとアポトーシスが誘導されるため、Survivinを標的とした創薬も期待できる。 |
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サバイビン遺伝子産物由来ペプチドによる口腔癌に対するペプチドワクチン療法の開発 |
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講 座 |
口腔外科学講座 |
研究者 |
教授 平塚 博義 |
私たちの体の免疫系は体内で発生する癌細胞を監視、排除する能力を持っています。この能力を高める方法に癌ワクチンがあります。癌で高頻度に発現するサバイビン遺伝子産物から日本人に最も多いHLA-A24に提示されうる抗原ペプチドを合成し、口腔癌患者にペプチドワクチンとして投与したところ、腫瘍マーカーが低下し、腫瘍性病変が縮小しました。現在インターフェロンαとアジュバンドを併用しさらに効果的な口腔癌ペプチドワクチン療法を開発中です。 |
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骨髄間葉系幹細胞を用いた軟骨組織新生と臨床実用化研究 |
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講 座 |
形成外科学講座 |
研究者 |
松本佳隆、四ツ柳高敏、江副京理、斉藤有 |
自家軟骨移植は形成外科分野において標準的な術式であるが身体の犠牲を伴うため、その根本的解決方法として組織工学は最も期待される手段である。軟骨新生を目的とした組織工学の手法は種々行われてきたが未だ実用化へ向けて様々な問題点がある。我々は軟骨再生の手段として新たに自家骨髄間葉系幹細胞を用いた軟骨組織の新生と臨床実用化へ向けての研究を行っている。 |
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ヒストン脱アセチル化酵素SIRT1の神経疾患における関与の研究 |
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講 座 |
神経内科学講座 |
研究者 |
久原 真、林 貴士、下濱 俊 |
薬理学堀尾嘉幸教授と連携して新しいヒストン脱アセチル化酵素SIRT1の機能を検討して
いる。成体マウスを用いた研究では神経幹細胞を含む未分化神経系細胞に発現が多くこれらの分化・増
殖に関与していることを示す結果を得ている。さらにニューロンやオリゴデンドロサイトなどに対して細胞
死刺激やストレス刺激に対する生存維持に寄与している可能性があり、アルツハイマー病や脊髄小脳性
疾患、多発性硬化症などの脱髄疾患における分子メカニズムを明らかにすると共にこれら難病の新たな
治療戦略として本分子の制御が有用であるかを課題として研究している。 |
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多系統萎縮症の睡眠時声帯開大障害に対する非侵襲的陽圧人工呼吸療法の効果
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講 座 |
札幌医科大学神経内科 |
研究者 |
野中道夫,久原 真,今井富裕,下濱 俊 |
多系統萎縮症(MSA)は,種々のタイプの睡眠呼吸障害が合併する.そのなかでも特に,睡眠時に特徴的な吸気性喘鳴を呈し,酸素飽和度の低下が著しい症例では,睡眠の質の低下により日中の傾眠などの問題が生ずるばかりではなく,突然死の危険が高いとされている.我々は,MSAの呼吸障害の治療,突然死の予防に対する非侵襲的陽圧人工呼吸療法(NPPV)の有用性を明らかにするともに,声帯開大障害のメカニズムを検討している.
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筋萎縮性側索硬化症における呼吸機能障害の発症様式の検討と 非侵襲的人工呼吸療法早期導入の効果 |
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講 座 |
札幌医科大学神経内科 |
研究者 |
野中道夫,山内理香,今井富裕,下濱俊 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)において,呼吸不全は生命予後を左右する重要な症状である.進行する呼吸筋筋力低下と球麻痺の存在により,最終的には,気管切開による人工呼吸が延命に必要となるが,近年,非侵襲的人工呼吸療法(NIV)を適切に行えば,QOLの維持,予後改善に有効である事が示されている.しかし,その導入に関しては,未だ確立した明確な基準があるとは言えない.特に,ALSでは呼吸機能障害の発症・進展様式が様々であるため,NIVの導入時期を明確に予測できない我々は,ALSの呼吸機能障害の発症・進展様式を解析し,新たに指標になり得るものがないか検討している.
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重症筋無力症における咬筋疲労に関する電気生理学的研究 |
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講 座 |
札幌医科大学神経内科 |
研究者 |
津田笑子、保月隆良、今井富裕、下濱 俊 |
重症筋無力症(以下、MG)における咬筋の易疲労性の神経生理学的機序として、1)神経筋接合部の伝達効率の低下と2)興奮収縮連関の障害が明らかにしてきた。現在、直接的に咬合力を測定する方法を導入し、さらに他施設と共同で、抗MuSK抗体、抗体Ryanodine抗体などの測定を行っている。咬合力の低下と1)2)の異常との関連および自己抗体の関与を明らかにすることによって、咬筋疲労を呈するMGの病態解明を試みている。 |
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より個別的な薬物治療を目指して |
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講 座 |
医療薬学 |
研究者 |
教授 宮本 篤 |
患者さんに最高のpharmaceutical care を提供し、患者さんのQOLを向上させることを目標 として、薬物が投与された時どのような体内動態(吸収・分布・代謝・排泄)を示し、薬効(薬理作用)や副作用がどのように発現するかなどの従来からの医療薬学領域の基礎研究はもちろん、より良い薬物治療の提供を目指した臨床研究や次世代薬物療法の柱としてのオーダーメイド医療に重要な基礎および臨床研究を展開しています。 |
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二色分離プローブを用いたFISH解析による骨軟部肉腫の病理診断への応用 |
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講 座 |
病理診断学 |
研究者 |
長谷川匡(教授)、三橋智子(准教授) |
診断と治療に難渋することの多い骨軟部肉腫の中には染色体相互転座を中心とする特徴的な染色体異常と、それらに由来する融合遺伝子(キメラ遺伝子)と称される遺伝子異常を伴う腫瘍が存在することが知られている。私たちはこれらの骨軟部肉腫に特異的な融合遺伝子異常を検出することで確定診断を下すことが可能となる二色分離DNAプローブを研究開発している。これらのプローブを用いてホルマリン固定・パラフィン包埋の通常の病理組織標本でFISH解析を行い、日常病理診断への応用を図っている。 |
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蘇生後脳症に対する脳低温療法の試み |
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講 座 |
札幌医科大学高度救命救急センター |
研究者 |
森 和久、浅井康文、他 |
院外心肺停止症例に対する救命士を中心としたプレホスピタルケアおよび院内搬入後の心肺蘇生法の進歩により自己心拍再開を得ることが多くなって来ている。しかし、一定の脳虚血時間は回避不能であり蘇生後脳症の低減が救命センターでの最大の問題となっている。教室では1990年代早期より蘇生後脳症に対する脳低温療法を導入し、臨床および動物実験により本治療法の有効性を報告して来た。 |
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心肺脳蘇生法におけるExtracorporeal cardiopulmonary resuscitation (ECPR)
の有用性 |
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講 座 |
救急・集中治療医学講座 |
研究者 |
奈良理、長谷守、浅井康文、他 |
院外心肺停止症例に対する心肺脳蘇生法としてECPRの臨床的有用性に関して、高いエビデンスレベルの報告は少ないが、近年本邦からの報告が国際的に注目されている。当教室は本邦におけるECPRの草分けであり、1998年から基礎的及び臨床的研究を開始し、200例を超える臨床経験を有している。更に最近では病院前救護に始まる救命の連鎖にECPR、心疾患に対するカテーテルインターベンション、蘇生後の脳低温療法を積極的に導入し、包括的救命医療の構築を目指し、良好な治療成績を得ている。 |
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寄付講座 緩和医療学 |
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講 座 |
寄附講座 緩和医療 |
研究者 |
教授(兼任)並木昭義、講師川股知之、助教奥田博之、助教長谷川有子、助教岩本喜久子 |
緩和医療の現場では治療やケアをエビデンスに基づいた科学的な学問、すなわち緩和医療学として捉えて実施しなければ医療レベルの向上、進展が望めない。緩和医療学に基づいた普及と進展を図るには、緩和医療にかかわる医療者の知識と技術の取得、そして医療系学生への教育、さらには一般市民への教育や啓発活動・地域社会、医療との連携というさまざまな体制の確立が重要である。以上の方針と内容の達成を目指し、活動する。 |
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骨髄幹細胞を用いた神経疾患の治療技術の開発 |
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講 座 |
神経再生医学講座 |
研究者 |
特任教授 本望 修 |
骨髄細胞群の中から神経再生治療に有用な幹細胞を同定し、この幹細胞が、脳梗塞を含む種々の難知性神経疾患において極めて有効であることを報告してきた。この幹細胞は、脳に直接投与する必要はなく、静脈投与することによって、脳の患部に到達させることができるため、患者の負担が少ない。既に脳梗塞を対象とする臨床研究で安全性および治療効果の評価を行っているが、今後は適応疾患の拡大を目指す。
骨髄幹細胞を用いた神経疾患の治療技術の開発 (神経再生医学講座特任教授本望修) |
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