超高齢化社会に求められる循環器内科医とは?
カテーテル治療を中心とした循環器急性期治療が着実に進歩する一方で、急速な高齢化に伴い、あらゆる心疾患の終末像である心不全患者は増加の一途をたどり「心不全パンデミック」の時代が到来しています。多くの心疾患の原因は、肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常、動脈硬化です。高齢者はこれらのリスク因子に加え、慢性腎臓病などの併存疾患も多く、治療を困難なものにしています。
このような背景から、カテーテル手技のみならず、リスク因子の適切な管理による予防から終末像である心不全の治療まで、トータルに患者さんを診ることのできる「general cardiologist」の存在が今後ますます求められており、私たちの目指すところです。
ますます高まる腎臓専門医の需要と期待
当講座では、腎機能障害や血圧・電解質異常など、日常診療で遭遇する病態を適切にコントロールできる医師を育てることはもちろんのこと、積極的に腎生検を行い、希少疾患を含む様々な糸球体・尿細管疾患を豊富に経験することができます。また、腎不全の診療では、腎移植・血液透析・腹膜透析の3種の腎代替療法を使いこなすことができる専門性の高い腎臓専門医を育成します。
これからの糖尿病専門医に求められるものとは?
心・腎・血管合併症についても、同じ講座内の専門チームとともに最先端の診療に直接携わることでより深く理解できる点は、当講座で研修する大きなメリットの一つです。
希少疾患を扱う内分泌代謝科専門医を目指して
幅広い視点で、複合的な要因の絡み合った複雑な患者さんに正確な診断を行い、正しい治療につなげていく、専門性の高い内分泌代謝科専門医の育成を目指します。
当講座の研修プログラムの特徴
心・腎・代謝疾患のリスク因子である「生活習慣病」および心・腎連関を代表とする「臓器連関」を理解することは病態把握に極めて重要であり、これらに関する深く幅広い知識と診療経験を養うために多彩な疾患群について体系的に研修します。
一方、関連病院では急性期疾患から慢性期疾患までcommon diseaseを中心に経験しますが、当講座の関連病院はすべて各地域の基幹病院であるため、豊富な指導医のもとでカテーテル治療などの手技も含めて十分な経験を積むことができます。
また、当講座は国立循環器病研究センターをはじめとする国内屈指の専門施設との連携も強く、これらの施設に国内留学して研修することでさらなる研鑽を積むことも可能です。
Physician-Scientistを目指して国内・海外留学へ
若い医師には、臨床・基礎を問わず、一定期間でも研究に携わることをお勧めしています。疑問からスタートし、今わかっている事と今わかっていない事を整理し、仮説をたて、データを集めて考察する「scientist」としてのプロセスを学ぶ事は、「physician」としての能力も確実に養ってくれます。また最近は、基礎研究で得られた知見を臨床応用につなげていくtranslational researchがますます盛んになっています。
当講座では、常時数名が国内・海外留学で最新の基礎研究や臨床研究に従事しています。留学終了後はその経験を生かして若手医師とともに研究活動を続け、毎年多くの論文を発表しています。研究が面白いと感じたら、ぜひ国内・海外留学も考えてみてください。