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分子・器官制御医学専攻:感染・免疫制御医学領域

感染防御・制御学

スタッフ 教授 藤 井 暢 弘  助教授 磯 貝   浩
           講師 横 沢 紀 子

戦いは今!病原体に挑む君を待つ
  今日、抗菌剤の登場によって感染症は克服されたように考えられるが、新しいウイルスなどの病原体の出現や、すでに封じ込めが成功したと推定されていた病原体による環境の再汚染や感染者の増加が報告されつつある。しかもこれらの病原体の多くは薬剤耐性菌であることが多い。臓器移植に伴う病原体の感染経路の拡大などを含め、今後我々が感染症対策、研究として挑まなければならない領域は限りなく重要である。


研究テーマ
1 病原微生物(細菌・ウイルス)が産出する病原因子の解明       4 細胞分化とサイトカインシステム
2 ウイルス持続感染とインターフェロン・サイトカイン情報伝達系     5 難治性疾患と内在性ウイルス
3 プリオン遺伝子プロモータの機能解析                    6 細菌の分子疫学・薬剤耐性


研究内容の具体例
1 病原微生物が産出する病原因子の解明
(1)  LPSの情報伝達機構と病原性
(2)  ヘリコバクター・ピロリ菌の付着遺伝子、増殖因子様遺伝子の同定、LPSの機能解明。
(3)  ベーチェット病患者によって認識されるレンサ球菌(サンギウス菌)抗原遺伝子の同定と抗原蛋白の免疫学的機能の解明。
(4)  腸管出血性大腸菌の産出するベロ毒素のアポトーシス誘導機構の解明、HUS発症機構の解明。
2 ウイルス持続感染とインターフェロン・サイトカイン情報伝達系
   ウイルス持続感染によるIFN・サイトカイン情報伝達系の変動及び病原性との関連性の解明。
3 プリオン遺伝子プロモータ、エンハンサーの機能解明
   プリオンmRNAの検索によって、プリオンmRNAの発現にはある程度の個人差のあることが判明した。
 したがって、プリオン遺伝子の発現に関わるプロモータやエンハンサーにも多様性が存在するか、プロモータに作用する因子(サイトカインなど)の違いに由来するのか解明する。


大学院での研究生活について
  大学院では自らが研究生活のスケジュールを作成し、自ら積極的に実験に取り組まなければなりません。他の教官や院生が教えてくれるのを待っていては何もできません。受身的な姿勢では良い結果をなかなか得られないことを知っておく必要があります。
  また、対象となる微生物、細胞は「生き物」であることを十分に理解すること。


大学院修了後の進路
  大学院修了後の進路は様々であるが、留学を希望する者に対しては留学先を紹介している。




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分子・器官制御医学専攻:感染・免疫制御医学領域

侵 襲 制 御 医 学

スタッフ 教授 並 木 昭 義  助教授 表   圭 一  渡 辺 広 昭
     講師 金 谷 憲 明

研究を通して真の臨床医の養成
  臨床医には基礎研究を行うことが必要です。研究テーマは、本人が興味のある臨床に密着したものを選択します。研究は本人で実験計画を立て、準備し実験を行う。現象をよく捉えて、データをまとめる過程で研究の方向性や意義を見出す。内容は論文にして発表する。この過程をしっかり体験することが、臨床医として実力を高めるうえで大切です。当講座では、研究を通して信頼される臨床医を養成しております。


研究テーマ
1 麻酔機序            2 麻酔薬の薬理学           3 呼吸病態生理と呼吸管理学
4 循環生理と心・血管作動  5 生体機能制御と集中治療医学  6 蘇生学  7 疼痛学


研究内容の具体例
 疼痛機序の研究
(1)  炎症モデルを用いて脊髄における興奮性アミノ酸など、疼痛伝達物質をマイクロダイアリーシスを用いて測定している。
 また、一酸化窒素の代謝物やプロスタグラキシンE2の測定を行い、脊髄レベルにおける疼痛伝達及び鎮痛機序について研究を行っている。
(2)  慢性疼痛モデルを用いて、坐骨神経結紮側と非結紮側の脊髄後角細胞の細胞内カルシウムの動態の研究、また、後根神経節を培養してノルアドレフリンやGABAの関わりを研究している。
 筋肉収縮機構の研究
(1)  血管平滑筋
 摘出血管を用いて、各種麻酔薬や血管作動薬の血管収縮機構への作用と、その機序について研究している。
(2)  気管平滑筋
 パッチクランプ法を用いて、気管平滑筋のカルシウムチャネルに及ぼす各種麻酔薬の影響について研究している。
(3)  骨格筋
 喉頭筋の種類、部位における麻酔薬、筋弛緩薬の収縮機構に及ぼす影響について研究している。
 臓器不全の研究
 腹膜炎モデルを作製して、消化管粘膜機能障害及び横隔膜機能障害における熱ショック蛋白質とその保護作用について研究している。
 心機能の研究
 ランゲンドルフ法を用いて摘出心における麻酔薬、麻薬の抑制作用について心筋内カルシウムの動態との関係から研究している。


大学院での研究生活について
  臨床に携わりながら研究生活を送ります。研究は週2〜3回、朝から終日実験を行う。データ整理は、実験日以外の臨床の仕事が終わった時間帯で行う。研究に関する相談や指導には、各専門分野をもつ者が当たります。研究の進行状況は週1回教授に報告する。生活費はたとえ結婚していても保証しております。


大学院修了後の進路
  大学院修了後の進路は様々であるが、研究の成果、経験を臨床の現場で活かせる仕事に携わる。留学を希望する者に対しては留学先を紹介している。




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分子・器官制御医学専攻:感染・免疫制御医学領域

分 子 免 疫 学

スタッフ 講師 高 橋 裕 樹

疾病の機序を最先端の方法論で
  私達の研究室は、分子免疫学及び分子病理学を専門とし、加えて剖検、生検組織診断により臨床医学に貢献することはもとより分子細胞生物学、遺伝子工学など現代医学の推進に必要な殆どの方法論を駆使して、疾患を総合的に解析している。特に免疫学的な癌拒絶の分子機序解明、診断、治療への研究を行っている。また、自己免疫病、移植免疫、感染免疫の分子機構についても研究を進めている。一つの研究室がこのように多くの研究手段を持ち、若い研究者諸君の将来の発展に有力な武器を与えることができるのは、全国でも少ないと考えている。


研究テーマ
1 リンパ球抗原、機能と分子免疫学、特にリンパ球の腫瘍化の分子機構
2 免疫遺伝学、遺伝子診断
3 リンパ球シグナル伝達機構とアポトーシス
4 分子シャペロンの機能と免疫応答
5 熱ショック蛋白質と免疫活性化の機構


研究内容の具体例
 リンパ球抗原解析は、ヒトリンパ球に対するモノクローナル抗体(mAb)の開発から出発した。目的は、癌の免疫の解析に用いることだったが、現在ではCD抗原系として、広く細胞機能の解析に用いる。私達が作成したL26は世界中で使われている。抗原提示分子として注目されるCDI分子についても先端的研究が行われている。
 免疫遺伝学、リンパ球シグナル伝達機構、アポトーシスの分子機序など生物学、免疫学、病理学に深く関わる視野の広い基礎的研究も盛んに行われている。
 熱ショック蛋白質(HSP)をはじめとする分子シャペロンは、最近医学への様々な応用が考えられている。
 HSPは、細胞がストレスにあう際に産出される。私達は、HSPが細胞の分子レベルの防御システムに種々の重要な役割を果たすことを証明した。
 HSPは、自己免疫、移植免疫の様々な機序に関与するらしいことが判明してきている。これには、我々の研究室の研究成果が大きく貢献している。HSPと免疫反応の分子機構の詳細を明らかにすることによる疾病の制御をめざす。


大学院での研究生活について
  研究テーマに特別の拘束はなく、研究時間も自由だが、その結果は教室研修会、論文にすぐ現れるので、かえって厳しい。我々は、病理学を専門とする。したがって、研究ばかりでなく病理解剖、病理組織診断を通した疾病の解析も行う。大部屋は、人口過密で夜型人間が多く、若い活気に満ちている。


大学院修了後の進路
  大学院修了後の進路は様々であるが、留学を希望する者に対しては留学先を紹介している。特に我々の研究室と共同研究を行っている世界の最先端を行く施設での海外留学を推奨している。