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地域医療人間総合医学専攻:発生・分化機能制御医学領域

消化器機能制御医学

スタッフ 教授 今 井 浩 三  助教授 遠 藤 高 夫

最新遺伝子情報に基づく新世紀医療の構築を!共に!
  ヒトゲノムプロジェクトの成果が明らかになってきた。本領域では、最新の遺伝子情報を生かし、消化器疾患や免疫病の21世紀型新医療の構築を行うための医学研究を推進する。遺伝子医学を基礎としたevidence-based medicine を共に構築しよう。


研究テーマ
1 最新遺伝子情報による消化器疾患の新しい診断・治療    5 自己免疫疾患の成因解明
2 消化器癌における21世紀の遺伝子診断・治療         6 自己免疫疾患の新しい治療法の開発
3 癌の新しい標的免疫治療の開発                  7 アレルギー疾患の新しい治療法の開発治療
4 癌の細胞内情報伝達系とアポトーシス               8 後天性免疫不全と症候群の遺伝子治療免疫治療
                                        9 心療内科学と免疫・内分泌・神経アキシス


研究内容の具体例
 最新遺伝子情報による消化器疾患の新しい診断・治療
(1) ゲノム解析による消化器癌の解析
(2) DNAアレイ技術・SNPを応用する炎症性脹疾患、バレット食道の遺伝子解析
(3) 胆肝膵疾患における系統的、網羅的遺伝子分析とエヴイデンスの構築
 消化器癌における21世紀の遺伝子診断・治療
(1) 転移関連遺伝子を用いた遺伝子診断と分子標的治療
(2) 癌細胞におけるDNAメチル化の解析と診断、治療への応用
(3) ミスマッチ修復遺伝子変異の診断応用
(4) DNAチップ技術を用いた抗癌剤・放射線感受性の新しい解析
 癌の新しい標的免疫治療の開発
(1) p53、アポトーシス関連遺伝子を標的とした免疫遺伝子治療法の開発
(2) 抗MUC1 cytotoxic T細胞の臨床治療応用
(3) 糖転移酵素を標的とした免疫遺伝子療法の開発
 自己免疫疾患の成因解明
(1) LTR env px transgenic rat における炎症局所浸潤リンパ球の
   解析
(2) Representational difference analysis 法、
   DNAアレイを用いたウイルス遺伝子の検索


大学院での研究生活について
  内科学第一講座は、臨床面では消化器疾患、自己免疫疾患、血液疾患及び内分泌・代謝疾患を専門としており、充分に検討されたプログラムが用意されているが、研究面においては、疾患の先端的診断並びに革新的治療を目指している。自ら見だした一流の最新成果が患者さんに還元されるよう、大学院生は個々の希望に応じて臨床に携わりながら臨床医としての視野も広めつつ、楽しい研究生活を送っている。


大学院修了後の進路
  大学院修了後の進路は基本的には本人の希望であるが、海外の最も信頼のおける留学先(ハーバード大、ケンブリッジ大、ジョンスホプキンス大など)へ留学する、本学のスタッフとして指導的立場で活躍する、臨床医学と対峙した後に留学する、などが主たる進路である。




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地域医療人間総合医学専攻:発生・分化機能制御医学領域

呼吸機能制御医学

スタッフ 教授 阿 部 庄 作  助教授 高 橋 弘 毅
           講師 四十坊 典 晴  田 中 裕 士

来たれ俊英! 21世紀 LUNG SCIENCE の最先端を
  疾病は、内的遺伝子因子と外的環境因子の複合によって発症・進行する。21世紀、ヒトは高齢化し、かつ、環境汚染の中にいる。肺・気道粘膜は、生体防御機構に不可欠な生体膜であるが、加齢に伴い、形態的、機能的、免疫学的に不利な状態へと内的に変化する。さらに、環境汚染物質を常日頃から吸入しているがために、この生体膜の内的変化は複雑な修飾を受けることとなる。肺・気道には、生理生化学、免疫アレルギー学、感染症学に未解決の問題が数多い。
また、医学は勿論のこと、社会的な要求度が高い分野でもある。この現実を直視し、問題の解明に向け情熱を注がんとする若き学究の徒が集まることを切望している。


研究テーマ
1 呼吸器疾患の画像解析                6 炎症性メディエーターと気管支喘息の病態
2 微小肺癌の診断、治療に関する研究        7 環境因子と肺疾患(特に酸性霧、過敏性肺炎の発
3 肺癌の増殖、浸潤、転移に関する分子生物学    症機構)
4 自然免疫に関わる蛋白分子の研究         8 呼吸器感染症(特に市中肺炎)の診断と病態解析
5 特発性間質性肺炎、肺気腫の診断、病態解析


研究内容の具体例
 呼吸器疾患の画像診断
 肺癌、間質性肺疾患、閉塞性肺疾患に関して、CT診断を中心にX線病理学的解析、画像の定量化、画像と呼吸機能との相関関係、自動診断システムの開発など画像機器能力の目覚ましい進歩に呼応した幅広い研究を行っている。
 肺癌の悪性度、浸潤転移
 肺癌は癌死の中で最も多い。その悪性度及び浸潤転移能を規定する因子を解明することは臨床的にも意義深い。
 癌遺伝子と癌抑制遺伝子産物、接着分子、蛋白分解酵素、血管新生に関する研究を中心に進めている。
 肺局所防御機構に関わる肺生理物質の基礎的研究と臨床応用
 肺局所では、自然免疫による防御機構が極めて重要である。肺胞上皮細胞が産生する生理物質、サーファクタント蛋白質が自然免疫に果たす役割について研究を進めている。呼吸器感染症や急性肺傷害が「病気」と認識される前に初期消火的作用を発揮する生理物質の研究は、予防医学にもつながる未来に開かれた研究テーマである。
 環境因子と呼吸器疾患
 地球規模の問題となっている酸性雨、酸性霧、自動車の排気ガスなどの酸性エロゾルの慢性吸入が、気管支喘息などの呼吸器疾患に及ぼす影響及び職業性抗原暴露による過敏性肺炎の発症機構について、人体への影響調査のためのフィールドワーク、動物実験、細胞から遺伝子レベルまでの vitro 研究等、精力的に研究を行っている。


大学院での研究生活について
  大学院に入学後、短期間臨床研修を行った後医局に戻る。自分の好きな分野を選択し、その研究グループに所属する。通常は約2年半の実験研究の後、論文を投稿する。大学院生活は実験研究が中心で、必要であれば基礎医学講座での指導も受けられる。生活面では、アルバイト収入が保証されており、臨床と接点を持ちながら仕事ができる。


大学院修了後の進路
  大学院修了後の進路は様々であるが、留学を希望する者に対しては留学先を紹介している。内科医として本学医学部附属病院第3内科での臨床研修が待っている。同時に、世界の最先端を行く施設での海外留学を推奨している。




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地域医療人間総合医学専攻:発生・分化機能制御医学領域

感覚機能制御医学

スタッフ 教授 大 塚 賢 二  講師 田 川   博  大 庭 正 裕

視覚機能の総合的理解を目指して
 ヒトの視覚は、角膜、水晶体等の光学系、網膜、視神経、視索、外側膝状体、一次視覚野及び高次視覚野等の感覚系、さらに視覚情報に基づいて制御される眼球運動、調節、瞳孔運動等の運動系から成り立っている。これら三つのシステムの構造と機能を理解することにより、初めて視覚を総合的に理解することが可能となる。我々は、視覚機能を総合的に理解することを最終目的として、眼光学系、感覚系並びに運動系の基礎、臨床的研究を進めている。


研究テーマ
1 衝動性眼球運動、輻湊及び調節の中枢神経機構
2 高次視覚野、特に motion perception の神経生理
3 甲状腺眼症の臨床免疫学
4 眼窩部腫瘍のMRスペクトロスコピ
5 レーザースペックル血流画像化装置による網脈絡膜微小循環解析
6 斜視の臨床病態生理
7 緑内障における眼循環異常の解析


研究内容の具体例
 これまで調節及び輻湊の中枢神経機構は全く不明であったが、我々の研究により頭頂葉−上丘吻側領域が調節及び輻湊両方を制御し、かつ、両者の機能的統合に関与する可能性を示した。現在、上丘吻側領域からの投射経路を調べると同時に、上丘内での調節と輻湊の機能統合に関する研究を行っている。
 高次視覚野、特に motion perception は、重要な視覚機能でもあるにもかかわらず、これを評価する眼科臨床検査法は存在しなかった。我々は、motion perception を自覚的及び他覚的に評価する検査法を開発し、種々の疾患において臨床応用を研究中である。
 レーザースペックル血流画像化装置を開発し、網膜疾患及び正常眼圧緑内障における網脈絡膜微小循環の解析を行っている。
 眼窩部のプロトンMRスペクトロスコピーを撮影することに世界で初めて成功した。現在、甲状腺眼症や眼窩部腫瘍の診断にプロトンMRスペクトロスコピー法を応用する研究を進めている。


大学院での研究生活について
  各研究グループに所属し、指導教官との討論を通じて研究テーマを決定する。研究が主体の生活であるが、月に数回程度、関連病院における臨床訓練を受ける。


大学院修了後の進路
  通常の臨床プログラムに復帰し、眼科専門医を目指す。または、海外留学し、研究を継続する。




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地域医療人間総合医学専攻:発生・分化機能制御医学領域

臓器発生・再生医学

スタッフ 教授 望 月 洋 一  助教授 三 高 俊 広 講師 小 島 隆

肝臓を作ろう
  劇症肝炎や肝硬変、肝臓癌などの重篤な肝疾患で亡くなる人は多い。そのような疾患を持った患者でも正常な肝細胞を移植したり、一時的に肝機能を補助する装置を用いることにより救命できる場合が多い。当研究室は、まだ実用化されていない人工肝臓を作ったり、また、培養した細胞を使って肝組織を体外で作り上げようという夢に取り組んでいる。


研究テーマ
1 肝細胞の増殖・成熟化のメカニズムを探る
2 幹細胞を使って in vitro で肝臓を作る
3 細胞を移植して体内に第二肝臓を作る
4 人工肝臓を作る
5 肝臓・胆道の発生と成長のメカニズムを探る


研究内容の具体例
現在、大学院生を中心に研究を進めているテーマ。他大学との共同研究も含む。
 肝幹細胞と肝非実質細胞などを共培養して肝組織を作るメカニズムを解析し、システム化する。
 肝組織を実際にラットやマウスに移植し、肝臓形成と疾患モデルラットの治療を行う。
 毛細胆管の収縮に関与するサイトカインと胆汁うっ滞のメカニズム。
 培養肝細胞の成熟化に関与する転写因子や細胞接着装置の研究。
 ヒト正常肝細胞を培養し、増殖させる方法の確立。
 肝組織化に関与する細胞外基質とその分解酵素の役割。


大学院での研究生活について
  各人が自分の研究テーマを持って研究するが、教室全体で行っている研究もある。そのため教室員総出で実験することもあり、それは優先でする事になる。協力すると共著者として論文に載ることになるので副論文を増やすためにもそれは大事なことである。大学院生は様々な実験手技を身につける必要があり、自分のテーマとは違っても積極的に、好奇心旺盛に、様々なことにチャレンジしてほしいと考えている。最終的には一つの論文を書くことが目的であるが、大学院時代は、実験し、失敗し、試行錯誤するというプロセスを経験することが最も大切なことである。良い論文が書けたらそれはそれですばらしいことではあるが、今ひとつの論文であっても「自分は精一杯やった」という充実感とPh.D.を取ってから何をするかということの方がもっと大切なことと考えているので、この間は全力で打ち込んでほしい。博士号だけ取れればそれでよいと考えているヒトは歓迎しない。そのため、できるだけ月曜日から金曜日の昼間は研究に専念することを期待している。夜、週末はアルバイトにいくも良し、デートの時間に充てるも良し、基本的には自由であるが、自分の細胞は自己管理が原則であるから培地交換などがあると休日でも短時間研究室に来る人が多い。
  学位論文は海外の英文雑誌に投稿することを基本とし、日本語で書くことは認めていない。


大学院修了後の進路
  多くの大学院生は臨床の教室に所属しているので元の教室に戻ってそこで臨床をしながら、大学院時代に身につけた研究手法を存分に活用して研究を続けることが多い。海外留学を希望する人はできるだけpostdoctoral fellowとして雇用してくれる研究室を紹介している。




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地域医療人間総合医学専攻:発生・分化機能制御医学領域

発 達 小 児 科 学

スタッフ 教授 堤   裕 幸 助教授 工 藤  亨 講師 沼 崎  啓
                           〃  岩 井 周治

21世紀に展開される小児科学
  HIV感染症やエボラ出血熱をはじめとしたemerging diseases、インフルエンザや結核といったre−emerging diseasesの台頭や各種耐性菌の蔓延がみられ、感染症対策の重要性が世界的に再認識されてきている。ワクチンによる予防法の確立や新しい抗生剤、抗ウイルス剤が開発されても、前述のような新たな問題が惹起されてくる。小児科は感染症、特にウイルス感染症との関わりが深く、この分野における基礎的研究は重要課題である。臨床面では、がんに対する造血細胞を用いた治療、心疾患に対するインターベンション治療、難治性てんかんに対する非薬剤的療法等の研究が展開されている。


研究テーマ
1 バルボウイルスB19感染の病態多様性とその機構    5 難治性白血病治療における臍帯血細胞の有用性
2 母子感染症の病態解析                     6 心疾患に対するインターベンション治療
3 RSウイルス感染症の病態解明                 7 難治性てんかんに対する非薬剤的療法
4 ワクチンが引き起こす副反応の機序


研究内容の具体例
 パルボウイルスB19は伝染性紅斑の病原ウイルスである。感染標的細胞は骨髄の赤芽球であるが、その臨床症状は多彩である。その病態多様性とウイルス要因につき研究中である。
 妊娠中のサイトメガロウイルス及びクラミジアの感染は、胎児・新生児に種々の障害をもたらす。これら母子感染症の病態の解明により、早期診断及び治療法の確立を目的として研究を行っている。
 RSウイルス感染症は乳幼児の最も頻度の高い感染症で、時に肺炎、細気管支炎を起こし重篤となる。その病態解明と新たな治療法の可能性を求め核酸レベルでの研究を進めている。
 ワクチンの副反応にはいくつか知られているが、最近はワクチンに含まれるゼラチンに対するアレルギー反応が問題となっている。その機序についてTh1/Th2細胞の反応性の面から解析を続けている。
 臍帯血細胞は任意の時期に利用可能で、かつ、組織適合性も厳密ではないことから難治性白血病の移植における造血細胞ソースとしての有用性を研究している。
 先天性心疾患、特に心房中核欠損に対する非開胸的カテーテル治療の簡便、かつ、確実な方法の開発と臨床応用を進めている。
 種々の抗痙攣剤に抵抗する小児難治性先てんかんに対し、ケトン食療法、迷走神経刺激療法、外科手術の適用の設定などの非薬剤的療法を試みている。


大学院での研究生活について
  大学院生の生活は、日々の研究、アルバイト、学会発表、論文作成など充実している。研究時間は、通常朝9時から夕方5時までであるが、特別な規制はなく自分の研究内容に合わせて、自由に割り当てている。アルバイトは豊富にあり、生活費など収入の面での心配はなく、研究に専念している。


大学院修了後の進路
  大学院修了後の進路は様々であるが、留学を希望する者に対しては留学先を紹介している。研究を継続する場合は研究生として大学に残り、臨床を希望する場合は大学ないし関連病院にて研修する。