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研究紹介

形態人類学(Physical Anthropology)

形態人類学とは、人類学のなかでもヒトの身体を自然科学の側面から探求することを目的とするBiological Anthropology (生物人類学)の一分野に位置づけられています。700万年におよぶ人類進化の過程について、進化解剖学や比較解剖学の観点から理解を深め、その変異や多様性から、現代に生きるホモサピエンスの進化、移動、拡散、環境適応などのプロセスを明らかにしようとする学問分野です。形態人類学の研究室では、大きく2つの課題を掲げております。

1.骨格形態の変異と環境適応

画像
3Dスキャナー頭骨画像
人体構造の理解に直立二足歩行への適応など人類進化の視点を取り入れた研究課題、あるいは様々な人類集団における、形態の環境適応や機能的適応の変遷を探る研究が対象となります。具体的な研究手法として、骨形態の計測、関節の形状、筋付着部の発達度、ストレスマーカー、その他非計測的なデータ、あるいは3Dスキャナー、X線画像などで得られた形態データをもとに、多変量解析などの統計学的手法を用いて、形態の相互相関や変異の原因となる生活様式、運動、気候、栄養、加齢、シンメトリーなど様々な環境要因や現象を探ることができます。骨以外にも生体や解剖体を用いる研究も可能です。理学療法学関係者にとっては身近な研究テーマとなり得るでしょう。 

2.人類集団の起源・拡散

ユーラシアに現生人類がいつどのルートでアフリカから拡散してきたのかを、地球を俯瞰する規模で探求しています。身近な問題でもある私たち日本人の起源を含むアジアの人類史の解明も視野に入れて研究をおこなっています。国内では国立遺伝学研究所、国立科学博物館、国立民族学博物館、海外ではオーストラリア国立大学、アイルランド大学、ベトナム社会科学院、インドネシアや中国の関係機関との多国籍研共同研究プロジェクトを推進しています。 

基盤研究A(一般 代表:松村博文)

基盤研究B(海外 代表:松村博文)

3.遺跡出土人骨の研究拠点

「人と地球の歩みを学び、次の世代へと語り継ぐため、ジオパークの取組や札医大等での人類史研究を促進・・・」この事項は北海道における着実に進める政策リストに揚がっています。北海道内では各自治体教育委員会や埋蔵文化財センターなどによって、公共事業などに伴う遺跡の行政発掘調査がおこなわれていますが、依頼によりその際に出土した古人骨の復元と鑑定ならびに埋蔵文化財としての保管維持整備をおこなっており、社会貢献の一環として埋蔵文化財行政に協力しています。
縄文時代にはじまる貴重な遺跡出土の人骨は上記『2.人類集団の起源・拡散』の研究展開にも寄与しており、本学における人類史研究を推進するための研究拠点としての機能を果たしています。 

最終更新日:2019年12月01日