ご挨拶

札幌医科大学医学部 医学部長 堀尾嘉幸

医学部長を引き続き担当させていただくことになりました堀尾です。同窓会の皆様にはいろいろとお世話になり、特に、医学部学生の医師国家試験受験対策として模擬試験受験費用のご援助をいただき、とても感謝しております。お蔭様で平成27年度の医師国家試験の成績は新卒、既卒をあわせて札幌医科大学は全国10位まで回復いたしました。

さて、最近の札幌医科大学医学部の課題についてご報告致します。まず最初に自己点検評価についてお話致します。大学は今年度に自己点検・自己評価を行い、「点検・評価報告書」を来年度初めまでに大学基準協会に提出して評価を受けます。自己点検評価は7年に一度、大学自ら理念・目的、教育組織、教員組織、教育内容や方法、学生の受け入れ、学生支援、教育研究環境、社会連携・社会貢献などの項目について点検評価を行い、必要な場合には改善策を定めるものです。自ら点検評価を行うとともに、大学基準協会による評価を受けてよりよい大学を運営することにつなげていきます。

この自己点検評価が終わりますと次に、日本医学教育評価機構による認証評価を大学が受けることになります。こちらは、世界医学教育連盟(World Federation of Medical Education)が定める医学卒前教育の国際基準に準じた医学部教育を大学が行っていることを認めてもらうために行うものです。我国の医学部学生教育が世界共通の教育レベルに合致することが求められています。基準を達成するために、臨床実習時間を今よりも格段に増やすことなどのカリキュラム改訂を今年の夏をめどに策定します。新しいカリキュラムではこれまで5年生から行っていた臨床実習を4年生の1月から開始する他、多くの改変を行うことが必要になってきます。

また、国際基準によると学生が医学教育の枠作りに参加することが求められています。このため、今年の3月からカリキュラムを審議するカリキュラム委員会に学生代表が4名参加するようになりました。他の委員会でも学生の参画が行われる予定です。

2つ目は卒業生の定着です。臨床研修必修化後、大学に所属する医師が極端に減少して、地域の医師不足、さらには大学で研究を行う医師の不足に拍車がかかってしまいました。臨床各科では教授の先生方を先頭に、研修医確保のための数多くの努力を積み重ねています。どのように本学や他学卒業生を大学に確保するかが大学の大きな課題です。多くの卒業生に残ってもらえる仕組みを作ることが、札幌医科大学と北海道のために必要です。また、地域医療を支える医師を養成する仕組みの1つとして、北海道が奨学金を用意して、卒業後一定期間北海道の地域医療に従事してもらう特別推薦制度が作られました。この制度の卒業生がこの3月に初めて初期研修を終えました。この制度が定着するように大学としても学生の後見に努めることが必要です。

3つ目は研究のことです。研究のレベルが大学の評価に直接つながっています。札幌医科大学はこれまで研究をしっかり行うことができる大学として他大学から認識されてきました。しかし、大学に残る医師の数が極端に減り、地域医療ばかりでなく研究にも影響を受けています。研究の伝統を絶やすことがないよう、研究発展にも力を注がなければなりません。幸い、本望教授や山下教授らのグループによる間葉系幹細胞の移植による脳梗塞や脊髄損傷の画期的治療法がもう間もなく、世界で初めて実用化される見込みです。世界が注目するこのような研究をこれからも次々に札幌医科大学の手で送り出していくことが必要です。

医学部はここにあげましたような解決すべき課題があります。課題の1つ1つを丁寧に解決していくことが、医学部を作る教員、職員、学生さらには同窓会の先生方の最大多数の最大幸福に繋がっていくものだと信じています。

最後に、北海道によって、学生講義室や教育研究施設が入る教育研究棟Iや病院の新しい建物(西棟)が平成29年度末の完成を目指して建設中です。厳しい道財政の中で建設を決意していただいた北海道に大変感謝しております。厳しい予算処置の中で、新しい建物には大学らしい“余裕”の部分を生み出せない現状があります。後進の育成のためのご寄附をお考えいただくことがありましたら、喜んでお受けしたいと存じます。また、同窓会の皆様にはより魅力ある大学にするための建設的なご意見をいただければと考えております。皆様のますますのご健勝とご発展をお祈りしますとともに、今後の大学運営に一層のご支援とご協力をいただきますようお願い申し上げます。