退任教授・役職者

医学部長退任のご挨拶

札幌医科大学 医学部医化学講座 黒木 由夫

 平成22年4月から平成26年3月までの4年間医学部長を務めさせていただきました。医学部同窓会会長の田中繁道先生はじめ、同窓会の諸先生には大変お世話になり、心より感謝しております。厚くお礼申し上げます。

 島本理事長のご指導のもと、事務局にも助けられながら、何とか二期4年間の任期を終えることができました。部局長の諸先生、特に、前副医学部長の澤田典均教授と高橋弘毅教授にはひとかたならぬお世話になり、教育研究の推進にご協力いただき、心より感謝申し上げます。

 平成19年度に本学は法人化し、大学独自の考えで、組織機構を改革することが可能となりました。昭和30年設置の医学部附属がん研究所、昭和43年設置の附属臨海医学研究所、及び医学部教育研究機器センターの研究部門と研究支援部門を再編統合し、平成23年4月に7部門からなる医学部附属フロンティア医学研究所を開所し、教育研究機器センターを再編しました。研究所は、本年4月には全ての研究部門長が着任し、基礎医学研究の臨床医学への橋渡しを理念に、札幌医大発の最先端研究を世界に発信することが期待されます。さらに、学科目として、放射線診断学、医科知的財産管理学、病院経営管理学、遺伝医学と呼吸器外科学を新設し、すでに全教授が着任して、活躍されております。教育においては多くの課題を抱えておりますが、継続、検証と改革を常に実践し、時代のニーズに応えうる医師育成が必要です。地域医療特論やアドバイザー制(現学生グループ制)の導入、新入生宿泊研修の開始など、国際医学教育認証に向けたカリキュラム改革に取り組んで参りました。

 本学医学部の推薦入試(一般推薦と特別推薦)の定員35名は道内出身者からの選抜ですが、一般入試(定員75名)は道内外問わず、本学を受験できます。その中で、道外出身合格者数が道内出身合格者数を上回った(H24:道内出身者33名、道外出身者42名)こと、さらに、卒業後、道外の大学病院・医療機関への勤務のために本道を離れる本学出身者が増加傾向にあり、そのほとんどが道外出身者であることから、卒業生を道内、特に本学に残す仕組みを作る必要性を感じました。そこで、平成25年度の一般入試から「北海道医療枠」を設置し、卒後の初期研修の後7年間は本学に所属して、彼らを一人前の医師や研究者に育て上げる卒後必修プログラムを用意することとしました。本学医学部と附属病院に若手医師を集めて教育し、大学機能を強化することが、道内の地域医療の充実と本学における研究医育成のための最良の道であると信じております。

 平成25年度からの本学第二期中期計画では、「新卒者の医師国家試験合格率が94 %以上」が設定され、医学部としては臨床実習の充実や特別講義の実施などの対策を講じております。一方、詳細な分析に定評のある民間の医師国家試験模擬試験を全学生に受けさせることは筋が通らないというご意見があることも承知しておりますが、現実的には、国試不合格者を出さずに、多くの卒業生を本学附属病院で研修させ、各診療科に進ませることが大学の機能強化と地域医療の充実に直結すると考えておりますので、医学部としては、全学生に模擬試験を受験させ、その分析結果をもとに、更に指導を強化して、卒業生全員の国試合格を目指す事としました。そこで、医学部同窓会および医学部教授会のご理解とご了解のもと、後援会への寄付金という形で、臨床系教室同門会のご支援をお願いした次第です。その際には、田中同窓会長はじめ、同窓会の諸先生にはご理解とご支援をいただき、心より感謝申し上げます。おかげさまで今年の新卒者の国試合格率は99%でした。改めてお礼申し上げますとともに、今後ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 私は、4月からは、新設されたアドミッションセンター長として道内の高校を巡回し、高校生に対する直接の講話・本学紹介を通して優秀な高校生の本学受験を勧めております。また、学生部長として、保健管理を含めた学生生活の支援に尽力する所存です。新キャンパス構想の実現に向けて、堀尾嘉幸新医学部長をはじめ医学部新執行部には全面的に協力し、微力ながら、本学の発展に貢献できればと思っております。医学部同窓会の諸先生には、今後とも医学部に対する温かいご支援とご指導を賜りたくお願い申し上げ、医学部長退任のご挨拶とさせていただきます。