平成28年度札幌医科大学医学部卒業式並びに大学院修了式
卒業証書・学位記授与式 祝辞

 平成28年度札幌医科大学医学部卒業式ならびに大学院修了式にあたり、同窓会を代表してお祝いを申し上げます。
 札幌医科大学医学部64期の卒業生の皆さんと、大学院医学研究科修士・博士課程を修了された先生がた、並びに今日の晴れ舞台を待ち望まれ、ここにご参列の父兄の皆様と関係各位に、心から祝福とお慶びを申し上げます。

 私たちの母校、札幌医科大学は、「進取の精神と自由闊達な気風」、「医学・医療の攻究と地域医療への貢献」を建学の精神とし、「最高レベルの医科大学を目指す」ことを理念に掲げ、前身の道立女子医学専門学校創基以来70年・札幌医科大学開学後65年を越える歴史を有し、今や日本有数の医学・医療・医育機関として名声を得るまでになっております。その卒業生は優に5,000名を超え、道内はもとより、国内、世界において、医療の「現場」と「先端」で活躍しています。皆さんは本学の卒業生であることを誇りにしていただきたいと思います。
 しかし、同時に今ある札幌医科大学の名声は、本学のために骨身を惜しまず尽くし、時にはいばらの道を踏み分けて歩んでくださった先達の方たちが担い手となって築きあげたことを忘れてはなりません。

 さて、現在本邦では、歴史上類を見ない速度で進行する超少子高齢化と社会保障費の増大により、社会保障制度改革は喫緊の課題となっています。地域医療構想/医療計画策定、地域包括ケアシステム構築、療養病床再編、新専門医制度、医療事故調査制度、医療法人・社会福祉法人制度、医療・介護保険制度など医療・介護・福祉のさまざまな制度改正の動きが一斉に始まっており、そのさまは「惑星直列」とさえ呼ばれるような大変革を求められています。

 このように大きな変革が求められる真っただ中ではありますが、高齢化先進国である日本の智慧と技術で、この潮流を乗り越え、世界の模範になるような医療先進国を目指したいものです。皆様にも是非この一翼を担っていただきたいと、大きな期待をしております。

 さて、本日のこの晴れがましい門出に際しまて、「平静の心」、「沈着な姿勢」という言葉を皆様にお贈りし、これからの前途に幸多からんことをお祈りいたします。
 この「平静の心」、「沈着な姿勢」という言葉は、医学教育の基礎を築いたといわれるウイリアム・オスラー博士がペンシルベニア大学を辞して去る時の講演の中で卒業生に贈った言葉です。オスラー博士の講演の中で最も有名なもので、とくに「平静の心」はその後もたびたび引用されています。

 「沈着な姿勢」とは状況の如何にかかわらず冷静さと心の落ち着きを失わないことであり、成功を収めているとき、あるいは失意に打ちひしがれているときを問わず、「平静の心」を持つことが必要で、内科医、外科医を問わず、これに勝る資質はないとします。
 これらは教育に加えて実践と経験を積み重ねることにより、さらには、相手の心情を推し量り、心を配ることや、むやみに咎めることなく寛大に対応することによって身に着けることが可能であると言います。
 皆さんも、「平静の心」、「沈着な姿勢」を持つ医師として大成し、医学・医療界を牽引する存在になり、大いに社会に貢献していただきたいと、心からエールをお贈りいたします。

 今後、皆様の前途は洋々たるものがあり、将来にはたくさんの選ぶ道が存在していますが、母校である札幌医科大学において研究・教育分野の道を歩むこと、あるいは広域な北海道において地域医療に貢献することも、選択肢の一つであることを念頭においてくだされば幸いです。

 以上、簡単措辞でありますがお祝いの言葉とさせていただきます。
 本日は誠におめでとうございました。

平成29年3月17日
札幌医科大学医学部同窓会
会長 田中 繁道