平成27年度札幌医科大学医学部卒業式並びに大学院修了式
卒業証書・学位記授与式 祝辞

 平成27年度札幌医科大学医学部卒業式ならびに大学院修了式にあたり、同窓会を代表してお祝いを申し上げます。

 札幌医科大学医学部63期の卒業生の皆様と大学院医学研究科修士・博士課程を修了された皆様、並びにご父兄の皆様、関係各位に対しまして、心から祝福とお慶びを申し上げます。

 さて、我が国では未だかって誰もが経験したことがない少子高齢社会を迎え、将来の社会保障をどのように支えていくかが大きな課題となっておりますが、国による社会保障制度改革もいよいよ本格化してまいりました。
「時々入院、ほぼ在宅」なる言葉に代表されるように、「治す医療から治し・支える医療」への転換が求められ、「医療機能の分化と連携の強化」による「地域医療構想」策定という名の地域医療再編が迫られ、かつ、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを生涯可能とする「地域包括ケアシステム」の構築などなどです。さらに、国の財政逼迫という背景から「医療資源の効率的な配分」という名のもとに社会保障費、とくに診療報酬および介護報酬の削減が要求されています。加えて、2017年4月から実施される「新専門医制度」による医師の地域偏在も危惧されるところであります。

 このような時代の潮流が一気に押し寄せてくる、変化に富んだ時代に皆様は巣立っていくわけであります。卒業式の祝辞としてはいささか厳しい表現になるかもしれませんが、皆様の前には必ずしも甘い現実が待っているわけではありません。しかし、一方で、これらの「脅威」を「好機」として捉えることも可能です。皆様の将来には、洋々たる人生が開かれていることもまぎれもない事実です。ぜひ、大きな夢を持っていただきたいと思います。

 赤平市で町工場を経営し、民間でありながら、自分たちの手でロケットを打ち上げ、人工衛星を地球周回させている、植松 努氏は以下のように述べております。

 夢を持てというから、夢を語ると、「どうせ無理」という。誰が「どうせ無理」と教えてくれたのか。それは「やったことがない人たち」です。「やったことがない人たち」は、いつも適当な「やらない言い訳」を教えてくれる。

 また、こうも言います。

 ビジネスで負けない秘訣は、いかに「金」以外に価値をみつけるか(である)。
私は新しい仕事するときに、その仕事が儲かるか、儲からないかでは判断しない。「どんな新しい経験ができるのか?」を最優先にする。

 「思うは招く」と申します。是非大きな夢をもって翔いていってください。

 もう一言加えさせていただきます。皆様が今まで札幌医科大学で学んだことは、これから歩まれるキャリアの基盤になることに間違いはありません。しかし、当然ながら、全面的にそれにのみ依存していては今後のキャリアを形成していくことはできません。今この時点から、大空に舞い飛ぶために離陸するスタート台に立ったに過ぎません。これからは、一人ひとりが、自らの意志によって、継続学習、自己啓発、キャリア形成について責任を持たなければならなくなるということを噛みしめていただきたいと思います。

 結びになりますが、皆様には、日本有数の医学・医療・医育機関である札幌医科大学の卒業生という誇りを忘れないでいただきたい。この誇りを胸に、皆様がリーダーとなり、医学・医療の向上発展に大きく寄与されることを心から期待しています。そして、人々から信頼される医師・研究者に成長し、広域医療圏を抱える北海道の医療のために貢献していただきたいと思います。
 以上、簡単措辞でありますがお祝いの言葉とさせていただきます。
 本日は誠におめでとうございました。

平成28年3月18日
札幌医科大学医学部同窓会
会長 田中 繁道