免疫制御医学部門の学部講義やMD-PhDコースについてご紹介します。学部の講義では、複雑な免疫現象を系統的にわかりやすく学べるよう、一方でホットな話題を提供しながらすすめています。2018年度からは教育研究施設棟の8階で新研究室が始まりましたので、質問などありましたらお気軽に訪ねてみてください。MD-PhDコースでは、免疫システムがかかわる病態病理について研究していますので、そうした内容の解析を一緒に進めながら学ぶかたちになります。免疫システムの研究手法や考え方は、将来どの科に行っても研究を推進するうえで共通するところを多く含んでいますから、恐らく有意義な時間を過ごせるのではないでしょうか。部活などで忙しい学生が多いと思いますが、可能な限り、学会発表や論文発表を目指して取組むよう願っています。卒業後は、自分の専門領域の論文を読んでみて、そういえば学生時代これやったことあるな、とか、誰かに聞かれて、これはたぶんこういう意味じゃないかな、などと引き出しを増やすように実経験を重ねるのも、MD-PhDコースの役割のひとつと考えています。MD-PhDコースでは免疫病態の考え方や実際の研究にふれることができますので、興味のある学生はどうぞご参加ください。
免疫システムはあらゆる臓器組織において生体防御という重要な機能を果たしており、その異常は様々な疾患の病態に関連しています。本講では、免疫システムの生理的機構の詳細はもとより、病態形成における位置づけを学ぶことを目的とします。具体的には、免疫学の歴史や概念の変遷、免疫の系統発生、個体発生をたどりながら、現在考えられている免疫理論を概説します。そして、免疫異常がかかわる疾患のメカニズムについてお話します。本講が疾患の治療や予防の理論的バックグラウンドを考える機会となれば幸いです。
回数 | 学習課題 | 学習内容 |
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1 | 免疫学総論 | 免疫学の歴史と概念、免疫系の溝成要素、CD分類 |
2 | 免疫組織と免疫細胞 1 | 末梢性免疫組織 |
3 | 免疫組織と免疫細胞 2 | 中柄性免疫疇 |
4 | 自然免疫 1 | 自然免疫の概念と構成要素 |
5 | 自然免疫 2 | 自然免疫の調節機構 |
6 | 適応免疫 1 | 適応免疫の既念と構成要素、T細胞(T細胞抗原受容体、活性化機構、司塑性) |
7 | 適応免疫 2 | 抗体、B細胞(B細胞抗原受容体、活性化機構、制御性B細胞) |
8 | 自然免疫と適応免疫の連関 | 主要組織適合抗原(MHC)の構造と機能 |
9 | 免疫応答の調整機構 1 | シグナル伝達機構 |
10 | 免疫応答の調整機構 2 | サイトカイン、ケモカイン |
11 | 免疫応答の調整機構 3 | 接着分子、補助受容体 |
12 | 免疫応答の調整機構 4 | 免疫記憶、免疫寛容、免疫老化 |
13 | 免疫病態の基礎 1 | 免疫病態の基本的な考え方 |
14 | 免疫病態の基礎 2 | 病原体に対する免疫応答 |
15 | 免疫病態の基礎 3 | アレルギー疾患、自己免疫疾患 |
16 | 免疫病態の基礎 4 | 腫瘍免疫、移植免疫 |
17 | 免疫病態の基礎 5 | 免疫不全症候群(先天性、後天性)、まとめ |
1 | オリエンテーション | 免疫学実習のガイダンス マウスの胸腺と脾臓の組織標本の観察とスケッチ |
2 | 細胞ポピュレーションの解析 | フローサイトメトリーの原理と機器・ソフトウェアの使用説明 マウスの免疫細胞の解析 |
3 | 特異抗体の解析 | ELISAの原理と機器の使用説明 マウスの血清を用いた一次液性免疫応答と二次液性免疫応答の比較 |
4 | 実習の総括 | データのまとめと総括 |