札幌医科大学 眼科
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 眼底外来の取り扱う疾患は、網膜剥離、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症、ブドウ膜炎、黄斑円孔、網膜前膜、網膜色素変性症、網膜動脈(または静脈)分枝閉塞症、網膜中心動脈(または静脈)閉塞症、網脈絡膜腫瘍など多岐にわたり、治療法も内科的な薬物療法から外科的な手術治療(観血的治療、レーザー治療)など多岐にわたります。同じ疾患でも程度やその患者さん個人の背景(年齢、全身の状態、使用している薬などなど)によって、治療の時期もその方法も変化してくるため、どの治療法を選ぶのがその方にとって一番よい方法なのかを考えながら行っています。

 網膜というのは眼をカメラにたとえるとフィルムに相当する、神経でできたとても繊細な膜です。一度死んでしまったり、痛んでしまうと、そこから再生・復活することはありません。したがって死んでしまう前に、または傷んでしまう前に、適切な処置を施す必要があります。そのため初診で外来を訪れて診断がついた時点で、即入院になったり近日中の入院が必要となったりすることが多く、疾患の知識もあまり無く、心構えもできていない状態で入院をしなくてはならない患者さんが多数います。しかも即入院のときは、即手術または治療開始が必要となることも多く、短時間の間に患者さんやその家族に説明をしなくてはなりません。また緊急手術の場合は手術が夜中や休日になることもしばしばです。


網膜硝子体グループはほかの眼科のグループに比べ即入院や臨時手術の割合が一番多いため、わたしがこの外来を選んだ折には、子育て中のママさん医師には困難だから(このグループを選ぶのは)やめなさいと何人かの先輩に言われました。でもなぜか昔から女性医師の割合は多いのです。ほかのグループの患者さんに比べ入院期間も長くなりがちですし、先に述べたように何がなんだかよくわからないうちに入院して手術を受けるため不安な気持ちになりがちです。また、全身疾患を(主に重症な糖尿病)もっている方も多く、いろいろな面でキメの細かい配慮が必要な分野でもあるため、女性医師が多いのもうなずけるかもしれません。
 また、白内障ほどではありませんが手術または薬物療法のあとに視力が改善することも(疾患によっては、ですが)あるため、患者さんに「一人で買い物に行けるようになったよ」、「本が読めるようになったよ」などのうれしいお言葉をいただけることもしばしば。患者さんの数が多く一人一人にかかる時間も長いため、昼食を食べ損ねることも当たり前といった外来ですが、(そのため通っていただいている患者さんにも待ち時間が長くなりご迷惑をかけていてすみません)それでもそういうひと言が聞きたくてスタッフ一同がんばる日々が続いています。


網膜硝子体外来は毎週金曜日午前に糖尿病網膜症・網膜剥離・黄斑円孔・黄斑上膜・加齢黄斑変性症・ぶどう膜炎・先天性網膜変性疾患等の網膜硝子体疾患一般の診療および手術可能な患者様の入院予約を行っております。  網膜硝子体手術および網膜剥離手術は大黒浩教授・前田貴美人助教・小林和夫助教が担当しております。 定期手術以外では、臨時手術が必要な網膜疾患の患者様を広く道内から随時受け入れ、可能な限り早急に治療を行っております。 加齢黄斑変性症には治療適応症例に対し、光線力学療法(PDT)を施行しております。  研究では増殖糖尿病網膜症手術前後での眼血流動態をレーザースッペックル法で解析しております。 また、血小板凝集能と眼血流との関連・アントシアニンの網脈絡膜循環の解析、網膜色素変性症での薬剤治療の検討・癌関連抗原網膜症(CAR)とリカバリンの解析等を行っております。  患者様の視機能改善ができるよう全力で専門外来スタッフ一同が一丸となって治療させて頂いております。


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