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第34回 日本大動脈外科研究会
開催にあたってのご挨拶

会長 川原田修義

このたび、第34回日本大動脈外科研究会を、2026年4月24日(金)に、北海道札幌市において開催する運びとなりました。今年で34回目を迎えます。第一回目は1992年に開催されたと記録があり、十分に歴史のある研究会になります。当時の大動脈外科では、人工血管そのものが、現在とは比べ物にならないほど未熟なものであり、人工血管を使用する前には、血液やアルブミンを人工血管に塗布してpreclotting処理を行うことにより、出血をコントロールしていた時代でした。その後、ウシ由来のコラーゲンやゼラチンでシールドすることによりporosityコントロールできた時代へと移行したのですが、日本でのシールドグラフトが発売されたのが1992年ですので、ちょうどその時代に本研究会が開催されたことになります。

現在は、血管内治療の時代に突入しており、ステントグラフトの使用が普通に行われる時代になっております。近い将来、胸腹部大動脈瘤に対しても腹部分枝動脈を再建できるoff the shelf製品が使用可能になると言われてます。この間、先達と臨床の現場にいる大動脈外科医の努力により、臨床上の多くの課題が一つずつ解決され、大動脈外科治療が安定期に入っているように感じますが、今なお残る未解決問題の数は少なくありません。

その中の一つとして、感染が挙げられます。今回の研究会では、「大動脈疾患の感染に対する外科治療を」テーマとして掲げました。従来から何度も議論されておりますが、感染は無くならないですし、感染性大動脈瘤や人工血管感染、さらには消化管とのfistulaなど、感染がらみの対応は多いのが実情です。

それらの一つ一つに対し、より良い解決に近づけることが私たちの使命であり、患者さんとそのご家族が期待していることであると考えます。そのために、一人でも多くの大動脈外科医が会場に集い、課題解決に向けて熱い討論を重ねることを願っております。

これまで、本研究会は日本外科学会学術集会と併設、もしくは、会期内の夕方から夜に独立開催することが多かったのですが、第33回の日本大動脈外科研究会が齋木佳克先生のご努力で第125回日本外科学会との共催という形式で学術集会の2日目の日中に開催できました。今年も、第126回日本外科学会学術集会 平野聡大会長のご高配により、同様に開催できますことは、平野聡大会長に厚くお礼申し上げますとともに、日本外科学会理事をはじめ関係者の皆様に感謝申し上げる次第です。

そして研究会の終了後には、外科学会の全員懇親会の場でお互いの親交を深めていただきますようお願いいたします。4月24日の札幌はまだ桜が咲くには、少し早い時期になりますが、多くの皆様にご参加いただきますようお願い申し上げます。

第34回日本大動脈外科研究会
当番世話人 川原田 修義
(札幌医科大学 心臓血管外科 前教授)