活動経過

札幌医大ではじめた死亡時画像診断の学生教育への取り組み〜ゼロからの出発〜
平成20年度の動き
平成21年度の動き

平成20年度の動き

(1)Ai+病理解剖実施への取組
@システムの整備
 本取組の一方の柱である知性教育におけるAi+病理解剖の実施に当たっては、まず必要なシステム整備から取りかかりました。
 主な内容としては、@Ai画像を保管し、管理/配信に対応する医用画像保管管理システム(PACS)A診断レポート作成システムB画像表示端末などです。
 システム仕様の決定については、既存の臨床用CTやMRIとの互換性の観点も含め、放射線部技師の全面的な協力をいただきました。
 画像処理端末は、放射線部、病理解剖室、学生CPC実施教室、読影室にそれぞれ設置し、既存の学内LANを利用して、Ai実施後、オンタイムで画像を配信できるようにしました。特に、病理解剖室には、40インチのモニターを設置し、Ai画像を病理解剖に活用するための環境を整備しました。

A放射線部の理解
 Aiの実施は、研究レベルで数例に実績はあったものの、教育目的で本格的に実施するに当たっては、放射線部技師スタッフの理解・協力が不可欠であることから、数回にわたり技師に対する説明会を開催した。課題としては、@Aiを実施する症例範囲の確定A日勤・夜間の勤務及び連絡体制の確立B臨床用機器を使用するため、一般患者とのバッティング対策C使用する機器の選定・範囲などであり、来年度の本格実施に向け、調整を進めているところである。

BCPC(臨床病理検討会 (Clinico-pathological conference))委員(主治医)の理解
 従前の病理解剖に加え、Aiを実施するに当たっては、各診療科のCPC委員ひいては、主治医の協力が必須であり、数回にわたりCPC委員会を開催し、別紙(資料@病理解剖およびAi/病理解剖を依頼する際の主治医各先生へのお願い(案))により主治医への周知及び説明をお願いしました。
また、既存の病理解剖に関するご遺族の承諾書に加え、別紙(資料A 病理解剖前死亡時画像検査に関するご遺族の承諾書(案))により病理解剖前に実施する教育目的のAi施行に対する承諾書を作成し、あわせてご遺族への要請を依頼しました。
 各CPC委員からは、ご遺族から、Ai施行の理由説明を求められた場合や逆に病理解剖を伴わないAiの単独施行を求められた場合の対応について、ノウハウの提示が求められたことから、本取組の教育上の意義と目的の観点からの説明を整理したところです。

(2)遺族面談及びそれを踏まえた学生主体CPC実施への取組
@ご遺族の理解
 本取組のもう一方の柱である感性教育の根幹に、学生による遺族面談の実施を据えており、ご遺族にどのようなプロセスで同意していただくかが議論の中心となりました。対象となるご遺族は、病理解剖の同意をいただいたご遺族に限定しました。これは、病理解剖の同意の前提として、医師とご遺族の一定の信頼関係を想定できることに加え、現実に窓口となっていただく主治医にとっての便宜を考慮したからです。
 さらに、ご遺族に面談の承諾をいただくタイミングを別紙(資料B ご遺族の皆様へ(Ai/病理解剖承諾時用)(案))の病理解剖承諾直後と別紙(資料C ご遺族への書簡文(没後100日以降用)(案))のご遺族が故人様の死と折り合うことが一般にできるとされている100日以降の接触を想定しています。

A遺族面談及びそれを踏まえたCPCの見直し
 学生による遺族面談の実施に当たっては、当初主治医の立ち会いを想定していましたが、本学緩和医療学講座で患者さまやそのご家族の緩和医療を専門にしている教員から、主治医とご遺族との関係は必ずしも対等ではなく、主治医を目の前にしてご家族が自由意志に基づき発言できるかに疑問があげられ、主治医ではなく、同教員の立ち会いのもと実施することとしました。
また、CPCの内容をを見直し、従前の病理面からの検討に加え、遺族面談や担当主治医からの意見聴取を踏まえた感性教育のディスカッションを取り入れることとしました(別紙資料D 学生CPCの流れ(案)参照)。

B教育効果診断
 本GPの実施に当たり、プログラム開始前後に別紙(資料E 学生アンケート(案))のアンケートを実施し、教育効果を統計的に把握することとしました。
 作成に当たっては、コアメンバーに加え、緩和医療学講座、医療人育成センターの各教員の協力を得て項目を検討しました。