Entered: [1997.12.26] Updated: [1997.12.29] E-会報 No. 40(1997年 12月)
第8回 分子生物学交流会

3.in situ hybridizationによる発現遺伝子の可視化
北海道大学医学部、解剖学第1講座
渡辺 雅彦


 In situ hybridization (ISH) 法は分子生物学の進歩に伴って開発・発展してきた組織化学的解析手段の一つであり,免疫組織化学法とともに世界中に広く普及している.現在,機能分子の探索とcDNA単離に端を発する生命科学研究は,機能発現系による分子機能特性解析と生体内遺伝子発現解析を経て,やがてモデル動物(遺伝子ノックアウトマウスやトランスジェニックマウスなど)の作製と表現型解析による生理機能の解明へと続く.このような生命科学の研究の流れにおいて,組織化学・形態学を基本とする研究者は,1)ISH法によるmRNA発現解析,2)特異抗体の作製と蛋白分子の局在解析,3)遺伝子改変モデル動物の形態学的解析を行うことにより,分子機能解明の一翼を担うことになる.

 グルタミン酸は中枢神経系における主要な興奮性神経伝達物質であり,シナプスの可塑性や形成などにも深く関わっている.これまで,演者はグルタミン酸受容体とグルタミン酸トランスポーターの発現・局在解析,およびこれらの分子を欠損する遺伝子ノックアウトマウスの形態解析を行ってきた.講演では,ISH法の種類や特性・応用・問題点などにも触れながら,これまでの研究成果を紹介したい.


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編集幹事:松岡 一郎 matsuoka@pharm.hokudai.ac.jp