Entered: [1997.12.26] Updated: [1997.12.29] E-会報 No. 40(1997年 12月)
第8回 分子生物学交流会4.細胞内カルシウムイオンのレーザー共焦点顕微画像解析北海道大学大学院、獣医学研究科
葉原 芳昭
カルシウムイオン感受性の特異的プローブと,コンピュータを含めた測定系ハードウエアの進歩により,細胞内のカルシウムイオン濃度変動を生きた細胞で経時的に測定することが可能となった.特に,2波長励起または2波長蛍光を適用することで,細胞内でのプローブの不均一な分布や局在,細胞の厚みやプローブの細胞内での移動などに起因するアーティファクトを取り除くことが可能となって測定の精度が格段に向上したことで,今やこの手法は細胞生理学の領域ではルーティンテクニックの一つとなっている.高感度ビデオカメラや,光電子倍増管と走査システムを組み合わせることにより,細胞内のカルシウム濃度変動を2次元でとらえることができる顕微画像解析法も普及しつつある.本法は原理的には理解できても,実際の操作には 1) 生細胞の取り扱い,2) プローブの物理化学的性質,3) 顕微鏡の適切な取り扱い,4) ビデオカメラを初めとした検出器の特性,5) コンピュータおよびその周辺機器に関する知識,6) ソフトウエアの限界と見えざるバグの可能性,7) 得られたディジタルデータの取り扱いと変換,8)画像の記録と印刷ないしはディスプレイ,など多くの点を理解しておく必要がある.本報告では,これらの点について簡単に解説した上,fura-2とindo-1を用いた顕微画像解析法,特にレーザー共焦点顕微画像解析法の手法を紹介し,最後に私共が実際に記録したラット膵臓腺房細胞とラット腹腔内肥満細胞におけるカルシウムイオン濃度変動についてビデオ表示する.
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