特別講演

ウイルス性下痢症研究の想い出


千葉 峻三 (札幌医科大学名誉教授)


 札幌医科大学小児科学教室におけるウイルス性下痢症の研究史を振りかえり、学会や共同研究をとおして出会った研究者達との交流について語りたい。

 私達の研究はロタウイルスに始まり、次第に重点をカリシウイルスへとシフトしてきた。その間の、研究の進展上特に重要と思われた会議を列挙すると、国際ウイルス学会(ハーグ、1978)、日米医学協力計画ウイルス疾患部会(アトランタ、1979)、Ciba Foundation Symposium(ロンドン、1986)、ウイルス性胃腸炎に関する国際シンポジウム(苫小牧ニドム、1995)、ヒトカリシウイルスに関する国際ワークショップ(アトランタ、1999)などが挙げられる。これらの会議を通じて私共の研究成果をアピールし、また世界各地の研究者達と出会い、共同研究者や友人の輪を広げた。そうした中で、カリシウイルス札幌株の発見からサッポロウイルスの種名を得るまで約20年間を要したが、国際ウイルス命名委員会(ICTV)カリシウイルス部会の活動をとおしてパワー・ポリティクスの一端に触れることもできた。

 私達の研究がウイルス性下痢症研究に僅かでも貢献できたとすれば、すぐれた研究協力者と良いフィールドにめぐまれ、研究を長期間継続できたことによるものと思われる。


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