4.下痢症ウイルスの検出法、予防法、汚染指標および疫学に関する研究
厚生省が厚生科学研究費補助金によって推進している公募研究事業は17種類である。「下痢症ウイルスの検出法、予防法、汚染指標および疫学に関する研究」班は新興再興感染症研究事業の援助を受け、平成9年度にスタートした。本年度が最終年度である。研究目的は、毎年全国的に発生し、ウイルス性集団食中毒様急性胃腸炎の原因となっているSRSVを効率良く、かつ迅速に検出する方法を確立すること、特に原因食品からSRSVを感度良く検出して原因食品を特定し、迅速に対策を講じるための手段を提供すること、ならびにカキ養殖海域における海水の汚染状況、SRSVの汚染実態を解明し、予防対策のための基礎資料を作成することである。これらの研究目的に添って分担研究者が行なってきた研究は、(1)SRSV遺伝子検出用プライマーの設計と評価、ならびにRNA抽出法の検討によるRT-PCRの最適化、(2)患者糞便、食晶および海水からのSRSV遺伝子の検出、(3)組換えバキユロウイルスによるウイルス様中空粒子の作製と抗原検出ELISAの開発、(4)アストロウイルス抗原検出用ラテックス凝集法の開発、(5)SRSV単クローン抗体の作製と解析および応用、(6)ロタウイルスの性状と病原性の解析、等である。
研究会では以上の研究成果を概説し、特に最近注目されるようになった抗原検出ELISAについて研究の現状を紹介する。