第20回小線源治療部会

後町 俊夫
つくば国際会議場 2018.6.22-23

 
 

 2018年6月22,23日につくば国際会議場で開催された第20回小線源治療部会に参加しましたので、報告させていただきます。
 
 現在自分も関わらせて頂いている、前立腺癌に関するセッションでのトピックスとしては、一般的なwhole gland therapyからfocal therapyに対する各modalityのスペシャリストの先生方の討論が非常に興味深いものでした。
 また、初回治療のみならずsalvage therapyを積極的に行なっている施設の治療成績も良好な成績が得られているようで、当科でも類似した症例があったことからとても励みになりました。前立腺癌の治療modalityとして手術・放射線治療共に劇的な進歩を遂げた現状では、ともすれば症例の取り合いとも言える状況となってしまっています。放射線治療領域でも今年度から陽子線が保険適応となったことで、各施設間での競争がますます激化するのではないかとも危惧してしまいます。その中でsalvageとしてのfocal therapyは他のmodalityには強みがあり、様々な課題(診断法、治療タイミング、治療範囲、処方線量など)はあるものの今後も期待できる話題でした。
 
 婦人科領域ではIGBT、特に難症例に対するhybrid(HBT)や組織内(ISBT)に関して良好な治療成績と普及の難しさについて活発な議論がなされていました。
 最近では国内でもIGBTの普及率が60-70%程度とのお話がある一方で、医師の技術的継承や施設管理上の問題から日米共に小線源治療が可能な施設が減少傾向にある、との残念なニュースもありました。
技術的な問題としては日々の臨床における鍛錬に邁進し、症例数に関しては他診療科や関連施設との連携を密にする重要性を改めて認識した次第です。
 
 今回の教育講演の中では、麻酔科の先生から鎮静・鎮痛に関してのレクチャーが目玉でした。普段あまり勉強することの少ない鎮静剤や鎮痛剤に関する知識の復習やトラブル時の対応など、非常に勉強になりました。内視鏡検査などの他領域でも鎮静に関する指針が作成されていることもあり、放射線治療領域でも同様にワーキンググループが指針を作成されているとのことでした。
 
 総じてどのセッションも自分にとって大変参考になった一方で、臨床の面でも研究の面でも色々考えさせられる課題も多い機会となりました。平日からの開催でもあり、金曜日の業務は諸先生方のご面倒をおかけしてしまうこととなってしまったのが恐縮ではございましたが、今回の機会を糧に今後の診療・研究をより良いものにできるよう精進致します。