個に合致した治療法を重んじる、
優れたラジオロジストたちを育成していく。
当院の放射線治療患者数は、この10年で約3倍に増加しています。にもかかわらず、我が国の放射線治療患者の割合は欧米の60%に比べ、たった30%と低いのが現状です。これは放射線治療医の数が少ないこと、放射線治療の認知度が低いことなどが原因と考えられます。また、IVR件数も毎年増加し、多くの科より依頼を受け、年間400件もの検査や治療を行っています。我々は、一般市民に対する放射線治療・IVRの啓蒙を行うだけでなく、これらに携わる医師、診療放射線技師、医学物理士、看護師の育成に尽力していきます。
教授 坂田耕一
当科では、頭頚部癌や前立腺癌に対する強度変調放射線治療 (IMRT) 、脳腫瘍や肺腫瘍に対する定位放射線治療 (SRT) などの高精度放射線治療を行っています。これらの治療は画像誘導放射線治療 (IGRT) を併用して、より正確で安全な治療を提供しています。
体表面から行う放射線治療とは異なる手法にも取り組んでいます。甲状腺癌に対する放射性ヨード内服治療、前立腺癌に対する小線源治療、そして子宮頸癌等に対して行う腔内照射があります。
当科はIVR (インターベンショナル・ラジオロジー) による救急医療、癌治療、血管内治療を行っています。X線や超音波による画像支援下で、カテーテルや針を使用することによって、より侵襲性の低い検査や治療を提案してきました。
IVRチームは外傷患者に対する緊急の血管塞栓術、放射線治療チームは癌に伴う麻痺に対する緊急照射を行います。大学付属病院以外にも様々な支援診療を行っており、北海道の地域医療を支えるために尽力してきました。
豊富なスタッフたちが一丸となって臨床研修医や大学院生をサポートしていきます。学生向けのセミナーの開催も行っており、放射線治療医・IVR医の育成に尽力しています。医学部クリクラ研修、当院の施設見学生も歓迎致します。
当講座では、放射線による細胞死の分子機構の解明や治療効果に関わる蛋白質の解析など、放射線生物学分野を中心とした研究を行ってきました。IVR部門においては、機能温存・経済的・無再発を目指す新しいIVR治療の開発をめざし、動物実験・物理実験・臨床研究を進めています。
当科は放射線治療チームとIVRチームから編成されています。当院には3台の放射線治療装置があり、患者様の疾患や状態などに応じて使い分けています。放射線を照射する治療だけでなく、放射性物質を密閉したカプセルを腫瘍内に挿入したり、血管から腫瘍に向かって抗癌剤を投与する治療も行っています。
複雑な形状の腫瘍に対しても放射線を集中させることができ、かつ、周囲の正常組織への被曝を減らすことができる治療法です。当科では2003年からこのIMRTを開始しました。主に脳腫瘍、頭頸部癌、前立腺癌等に対して行います。
※現在、新規患者の受け入れを中止しております。
前立腺に対し、放射性ヨウ素を密封した小さなチタン製カプセルを埋め込みます。2005年より本治療を開始しています。また、泌尿器科と共同で高リスク前立腺癌を対象としたトリモダリティー治療(密封小線源療法+トモセラピーによる高精度外部放射線治療+ホルモン療法を組み合わせた治療方法)を行なっており、とても良好な成績を挙げています。密封小線源療法+トモセラピーによる高精度外部放射線治療は、当科が道内で唯一、行なっている施設です。
子宮頸癌に対する放射線治療は、外照射と子宮腔内照射を組み合わせることで、より有効な治療ができます。当科では2010年よりマイクロセレクトロンHDRシステムを導入し、192-イリジウム線源を用いた腔内照射および組織内照射を行ない、子宮頸癌を含めた婦人科系腫瘍だけでなく、頭頚部癌・食道癌に対しても治療を行っています。
肝臓癌に対してカテーテルを用いて“つめもの”を注入する動脈塞栓術や、抗がん剤を注入する動注化学療法が行われています。また、針を刺して腫瘍を焼灼する、経皮的ラジオ波凝固療法もあります。頭頚部や骨盤内の腫瘍に対しても動注化学療法を行うことがあります。
交通事故、高所転落など様々な要因による外傷性の出血、動脈瘤破裂による出血、その他多くの要因による出血に対し、緊急に血管塞栓術を行います。交通産科で異常分娩が疑われる場合や帝王切開での大量出血が疑われる場合に、手術の補助としての一時的な動脈塞栓術を行っています。
狭窄・閉塞した動脈に対しては、医療用の風船や金属の拡張器具で広げる経皮的血管拡張術を行います。破裂する恐れのある動脈瘤に対しては、破裂前にコイル塞栓術を行います。特に大きな動脈瘤がある場合には、IVR手技によるステントグラフト内挿術が施行されるようになってきました。
いままでは保険がきかず、全額自費で負担しなければなりませんでしたが、新しい塞栓物質の出現により保険診療が可能となりました。子宮筋腫が原因の過多月経による貧血、腹部圧迫症状、頻尿などにお困りの患者様の治療として、子宮動脈を小さな球状の物質で詰めて兵糧攻めにします。2泊から3泊の入院で済む低侵襲な治療で、子宮の温存が可能であり、患者満足度が高いため、さらなる発展が見込まれています。まずは当科外来に受診いただきお話をさせて下さい。当科での症例経験から詳しくお話させていただきます。
特定の個人を識別することができる情報のことです。個人情報保護法第2条1項では以下のように示されています。「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。
放射線治療科において個人情報は以下の目的で利用します。利用目的の範囲を超えて利用いたしません。
当科の学術的研究で取り扱う診療情報は、個人情報をすべて匿名化し、第三者には個人が同定できない形で提供します。氏名、住所、電話番号は一切取り扱いません。個人情報と匿名化した情報を結びつける情報(連結情報)は、研究の個人情報管理者が研究終了まで厳重に管理し研究の実施に必要な場合のみに参照します。なお、連結情報は当院内のみで管理し、他の共同研究機関等には一切公開いたしません。
個人情報(診療記録等)を用いた臨床研究の際には、あらかじめ本人の同意を得るのが原則です(個人情報保護法23条1項本文)。ただし、もともと研究目的でなかった個人情報を、後ほど改めて研究目的で利用し、第三者に公開・提供することがあります(後ろ向き研究など)。この場合にも個人名が特定されない形での情報公開になりますが、研究対象者である患者ご本人の同意がない場合には「オプトアウト」が必要となります。
情報公開の前にあらかじめ本人に対して、ホームページ・掲示板・郵送などを介して個人データを第三者に提供することを通知または認識できる状況にしておき、本人がこれに反対をしない限り同意したものとみなして情報公開・第三者提供を認めることです。オプトアウトを用いた当科の臨床研究は下記のとおりです。当科で診療をお受けになった方で、研究への協力を希望されない場合は、個人情報の利用停止を求めることができます。研究協力を希望されない方は各研究の担当医師にお申し出ください。
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札幌医科大学 臨床教育研究棟 放射線医学講座