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37回日本腹部救急医学会総会の開催を迎えて

 

 

37回日本腹部救急医学会総会

会長 平田公一

この度私どもの教室で、第37回日本腹部救急医学会担当させていただくこととなりました。光栄に存じておりますとともに、関係各位、会員諸氏の皆様に厚くお礼申し上げます。顧みますと日本腹部診療研究会を引き継いで発展して参りました本学会は、学術集会を重ねるにしたがって一層の成熟をみております。今回はさらなる将来展望を開き、飛躍のための節目とも考え、そのために己に厳しく条件付けしていただいたものと思っております。そのひとつの形として、本学会からのガイドラインを提案する機会を与えていただきましことに御礼を申し上げます。

 さて、「分子生物学的先端科学技術研究からEvidence-Based Medicine(EBM)にまで渡る腹部救急医学の国民への貢献とその将来」という考え方のもと9月13-14日の2日間に渡って札幌で開催すべく準備を進めて参りました。本学会の企画にあたりましては、理念としてのKey wordsを真実(情報の正確性、公開を意味する)、貢献(社会と会員への貢献を意味する)、そして科学(模索、解決、将来を意味する)としました。さらにその具体的なKey wordsとして、「EBM」、「分子生物学」、「治療技術」、「QOL」そして「医の心」と欲張ってみました。広告に用いたポスターマーク(図)にその意を印しました。

 腹部救急疾患患者のアウトカムについては、担当医師の診療初期の冷静な判断力そして緻密な観察力と治療技能に依存するところが大であります。したがってアウトカム成績向上のためには腹部救急医学の教育の重要性がクローズアップされてきます。今日までの臨床医学教育法については経験とその伝授が主とされ臨床の場での積み上げが至上のこととされてきました。確かに極めて大切なことであり、技能向上のためということでは医学教育に限らないことであろうと思います。しかし、これからの医療にはバリアーフリー、情報公開、リスク回避、セイフティーな環境造りなどが新たに日常臨床の場にさえも求められてくるものと考えられます。すなわち卒後臨床教育、臨床現場の診療システム、そして病院のマネージメントに大きな変換が要求されてくることは明らかです。本学会では、「腹部救急疾患に対する診療・治療のガイドライン」を早期に発信しようと検討を重ねてこられました。今回は、約2年間に渡って検討されてきた「急性膵炎の診断・治療のガイドライン(案)」を初めて会員へ公表し、コンセンサスをいただく機会となっています。コンセンサスミーティングとしてシンポジウム1として企画することをご了解いただきました。この他、シンポジウム、パネルディスカッション、ワークショップの一部には社会的側面を大きく反映した腹部救急疾患の問題点あるいは腹部救急疾患治療後期におけるQOL向上のための問題点とその解決などに関するテーマも取り上げさせていただいており、新しい討論点を提案したつもりでございます。

学術集会は、会員の皆様による実質的討論が盛んに成されて初めて活性化が図られます。今回は634題という稀にみる多くの演題をいただきました。そのため2日間の会期に無理が多少かかりますが、何卒ご容認いただき、宜しく運営のご協力をお願い致します。本会に華を添える意味で、招待講演1に「人工肝臓の臨床応用」で有名なCedars Sinai病院 Prof. Demetriouを、招待講演2に「生体反応とサイトカイン」で世界的に活躍されている東京大学 松島綱治教授を迎えて、それぞれup to dateのお話を伺うこととなっています。また特別講演には流氷学の国際的リーダー北海道大学流氷研究所 青田昌秋教授に、流氷の動きを観せていただき流氷の音を聞かせていただく他、流氷の下では何が起こっているかなど興味深いお話を伺うこととしています。

北海道は、自然観察や旅行などをするにはベストシーズン中の学会開催です。ご友人、ご家族を共にされてのご来道(札)をお待ちしております。 

平成13年9月吉日