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札医大の研究室からVol.56 「世界初の再生医療展開 脊髄損傷機能改善に光」 十勝毎日新聞社×札幌医科大学 包括連携協定事業

整形外科学講座 寺本教授
寺本篤史<てらもと・あつし>
 1974年北見市出身。札幌医科大卒、同大大学院医学研究科博士課程修了。2011年同大医学部整形外科学講座助教、15年講師、22年准教授、23年10月から現職。足を中心とした下肢運動器疾患を専門とし、米国留学経験も持つ。21年東京五輪のスケートボード選手の医療統括者、22年北京五輪で日本選手団本部ドクターを務めた。

世界初の再生医療展開 脊髄損傷 機能改善に光

 先進的な基礎・臨床研究に取り組み、道内の医療をけん引する役割を果たしてきた札幌医科大学。中でも整形外科学分野では、ニプロ(本社大阪府)と共同開発した脊髄損傷治療の再生医療等製品「ステミラック注」が、2018年12月に条件・期限付き承認を取得。その後、有効性や安全性の検証を重ね、昨年11月に厚生労働省に本承認申請を行った。同大整形外科学講座の寺本篤史教授(51)に、保険適用可能な脊髄損傷治療として世界初となるこの製品や、今後の地域医療の考え方などについて聞いた。(聞き手・安藤有紀)

広範囲をカバー 若手、女性活躍


-同大の整形外科学講座の特徴は。

 整形外科の診療分野はとても広く、部位別では脊椎や肩、腰、手、足、関節など、疾患別ではけがや変性疾患、腫瘍、感染症、スポーツ整形、小児整形など多岐にわたる。これらを全てカバーする講座。どの分野にも専門の教員がおり、人材育成の体制が整っている。若く元気な外科医が多く、女性医の比率が高いのも特徴だ。

-特に注力している研究テーマは。
 第一に、脊髄損傷に対する神経再生医療。これまで治療方法がなかった脊髄損傷の新たな治療法として期待されている。
 次に、関節バイオメカニクス。靱帯(じんたい)の強度や手術治療について工学的な視点から研究している。画像だけではなく献体の生体工学的解析も行っている。学内の病理学教室とタッグを組み、がんの免疫反応を解析して免疫を利用した治療にも力を入れている。

-脊髄損傷の治療に用いる「ステミラック注」とは。
 脊髄が損傷すると手足がまひして動かなくなってしまい、自然な回復は難しいとされてきた。これを治療するための薬。患者本人の血液(骨髄)から骨髄間葉系幹細胞を取り出して培養・増殖し、点滴で静脈内に戻す。長年の神経再生研究から生まれた世界初の脊髄再生医療を展開している。

-治験の状況は。
 自然回復が難しいと考えられてきた症例でも機能改善が確認されている。安全性についても厳しく評価しており、これまで順調に進んでいる。

「靱帯損傷」解析 予防へつなげる


-スポーツ医学の研究は。
 スポーツのけがで最も多いのが靱帯損傷。損傷のメカニズムを解析し、予防や適切な手術へとつなげている。スキー・スケートなどウインタースポーツ選手のメディカルチェックのデータ収集や解析も積極的に行っている。

-地域医療をどう考えるか。
 道内どの地域に住んでいても専門的な治療を受けられるよう、病院の調整や医師の派遣を行っている。今後も地域の医療機関との連携を強化し、専門的な整形外科医療を提供する体制づくりを進めていきたい。

-十勝の住民へ一言。
 札幌医大は帯広協会病院と連携しており、当大の整形外科医が診療を支援している。今後も地域での診療やスポーツ選手のサポートに力を入れたい。十勝には毎年訪れている。食べ物がおいしく趣味の釣りにも最適で、毎回楽しみにしている。



十勝毎日新聞社の公式YOUTUBEにて、インタビュー動画も視聴できます。

 札医大の研究室から 整形外科学講座 寺本篤史教授

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2026.1.22
2026.1.22十勝毎日新聞掲載記事

許諾番号

2026.1.22
十勝毎日新聞社の脊髄損傷再生医療のインタビュー取材に答える整形外科学講座 寺本篤教授(左)
神経再生を専門とする福士龍之介診療医(右)

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