札幌医科大学 医学部 麻酔科学講座 │ 安全で質の高い麻酔科医療の提供、世界に通用する麻酔科医の育成

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ペインクリニック │ 札幌医科大学 医学部 麻酔科学講座

人間は体をぶつけたり、なかの動きに異常があると肉体的に痛いと感じる。
一方、「心が痛む」など不快な気持や、肉体的な痛みへの不安から同じ痛みが何倍にも感じるような、精神的な痛みもある。
このように痛みには感覚的な痛みと情動的な痛みの二種類あります。
痛みをもつ患者さんはこの二つの痛みによって来院します。
さらに,痛みの原因がわからないことや、いつまで痛みが続くのかという不安やつらさもあります。
私たち札幌医科大学麻酔科のペインクリニックでは、椎間板ヘルニア、帯状疱疹、癌など、様々な原因による痛みに加え、痛みや原因疾患による精神的・生活面での不安を軽減し、可能な限り治癒・解決するという医療を行っています。
日本麻酔科学会専門医日本ペインクリニック学会認定医の資格を持つ医師が外来で診察を行い、技術的にはペインクリニックで行われているほぼ全ての方法を丁寧に行っています。
病気や治療内容をご理解いただけるように説明いたします。
お気軽に外来を受診してください。
(受診の際には「お薬手帳」の内容や、これまでかかった病気についても伺わせていただくことがあります)

外来診療医(2015年度)

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
山蔭 道明(教授)
関根 利佳(診療医)
橘 信子(診療医)
高田 幸昌(特任助教)
橘 信子(診療医)
関根 利佳(診療医)
杉目 史行(特任教授)
新谷 知久(助教)
水野絵里(診療医)
橘 信子(診療医)
山蔭 道明(教授)
杉目 史行(特任教授)
折茂 香織(診療医)
新山 幸俊(講師)
高田 幸昌(特任助教)
上野 裕美(客員臨床医師)

※ 初めて受診される方の受付時間:午前8時45分~午前11時
※ 出張、緊急手術などで担当が変更になることをご了承ください。

入院担当医(2015年度)

  1. 山蔭 道明(教授)
  2. 新谷 知久(講師)
  3. 岩崎 創史(講師)
  4. 高橋 和伸(助教)
  5. 高田 幸昌(特任助教)
  6. 杉目 史行(特任助教)
  7. 橘 信子(診療医)

ペインクリニックの治療手段

痛みをとる直接的な手段は神経ブロックや薬物投与による鎮痛です。
その一方、痛み以外に目を向けて治療・解決していくリハビリテーション、行動療法などがあります。

神経ブロック

神経ブロック 神経に薬液を投与して痛みが伝わることを抑制します。
痛みが脳に伝わるのを防ぐ方法で、全身のあらゆる部位で行えます。
外来でも行うことが可能な1回注入法と、入院して直径約1mmの細いカテーテルを留置して一定の期間痛みを取り除く持続法があります。
初回は局所麻酔薬とステロイドを使用して、患部の鎮痛、血流改善、炎症の除去を図ります。
局所麻酔薬は基本的には半日程度で作用が消失するため、病態に合わせて繰り返し神経ブロックを行うことや、神経破壊薬という長期間効果が持続する薬を使用します。
高周波熱凝固法という、特殊な針と装置を用いた神経ブロックも行います。
当院では全ての神経ブロックに対応する装置、技術、経験があります。
顔の痛みに対しては三叉神経節(ガッセル神経節)ブロックや星状神経節ブロック、四肢に痛みに対しては硬膜外ブロックや神経根ブロック、腰痛や血行障害に対して行う椎間関節ブロックや腰部交感神経節ブロック、体の様々な部位の痛みに行う各種末梢神経ブロック(例:大腿や臀部の痛みに行う坐骨神経ブロック)などです。
患者さんの十分な理解と安心が得られるように説明させていただきます。
お気軽にお尋ねください。

薬物治療

いわゆる痛みどめと言われる抗炎症鎮痛薬だけではなく、麻薬抗てんかん薬など、痛みや神経に作用する様々な薬を適切に投与することで、QOL(quority of life: 生活の質)の向上を図ることができます。
不安の強い患者さんや副作用が心配な高齢者の方などには、入院して投与量の調整も行っています。
漢方薬、当院で作っている特殊軟膏なども適宜使用しています。
また、患者さんが自分で鎮痛薬の使用をコントロールできるように、PCA(patient-controlled analgesia:患者自己調節鎮痛法)という方法で慣らしていくことも行っています。

脊髄刺激療法

専用の電刺激リード線を硬膜外腔に留置し、刺激発生装置を下腹部などに手術的に留置して脊髄を刺激することで、痛みの抑制物質の濃度を高めて行なう鎮痛方法です。
神経ブロックが痛みという興奮を抑制するのに対し、脊髄刺激療法は人間の体に備わっている抑制系を活性化させることで鎮痛効果を発揮します。
体へのストレスなく行うことが可能かどうかを慎重に検査・確認し、説明しながら行います。

その他の治療法

・イオントフォレーシス
ガーゼに浸した局所麻酔薬を電気分解の応用で皮膚に浸透させます。皮膚表面の痛みに有効です。
・光線療法
キセノン光線や近赤外線照射により鎮痛、血流改善、筋肉のコリをほぐします。
・鍼灸
いわゆるツボや神経の出口などに行います。顔面神経麻痺にも行います。
・静脈内局所麻酔薬投与
四肢の痛みに対して、局所麻酔薬を安全に静脈内投与することで鎮痛を図ります。
・硬膜外内視鏡
脊椎手術後の癒着による痛みなどに行います。

リハビリテーション

痛みがあっても適切に身体を動かすことで、拘縮や委縮の予防、体の動きを通して痛みを受容し、生活改善を図ることを目的として行います。
入院して集中的に行うことや、神経ブロックを併用し痛みを和らげてリハビリテーションを行い、体を慣らしていく場合もあります。

認知行動療法

痛みが長引くばあい、直接的な痛みの治療を行うことも難しい場合があります。
痛みではなく、QOLや行動を指標として生活の中での尺度で痛みを考えていく方法です。
リハビリテーションもその一つです。
心身医学的なアプローチでもあるため、われわれ医師と患者さんの信頼関係も重要になります。

ペインクリニックで扱う主な疾患

痛みをとる直接的な手段は神経ブロックや薬物投与による鎮痛です。
その一方、痛み以外に目を向けて治療・解決していくリハビリテーション、行動療法などがあります。

三叉神経痛

原因は特発性(原因不明)、血管による圧迫、腫瘍、帯状疱疹などです。
顔を触れたり食事をする程度の刺激で激しい疼痛を訴えることも珍しくないため、不眠や栄養不良を伴う場合、入院して栄養管理も行います。
三叉神経節ブロック、抗てんかん薬(カルバマゼピン、ガバペンチン)や麻薬の投与を行います。
MRI検査で血管による圧迫が原因と診断される場合は脳神経外科で手術(神経血管減圧術)を行うことで、安全に完治します。

脊髄疾患(腰下肢痛)

原因は椎間板ヘルニア、脊椎変形などによる脊柱管狭窄症、脊椎手術後も持続する痛みなどです。
腰痛や神経に沿った痛みが特徴的です。
身体症状と単純X線やMRI検査などで診断します。
痛みに加え、下肢の冷えや歩行困難がある場合は、積極的な神経ブロックで改善することも多いので受診をお勧めします。
時に、骨折や悪性腫瘍の転移が原因のこともありますので、採血や他科と連携して診察させていただくこともあります。
治療は投薬、硬膜外ブロック、神経根ブロック、交感神経節ブロックなどをまず行います。
慢性期はリハビリテーション、光線治療、脊髄刺激療法も効果的です。

帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛

帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウィルスによっておこります。
このウィルスは免疫のない人(小児)に感染すると水痘(みずぼうそう)となります。
小児期に感染した水痘・帯状疱疹ウィルスが神経節にひそんでおり、体調の悪化やストレスなどをきっかけにして、その神経に沿った神経痛と水疱を生じさせます。
急性期には抗ウィルス薬を1週間程度内服または点滴投与、ビタミン剤と鎮痛消炎薬の内服、積極的な神経ブロックを行う必要があります。
帯状疱疹の皮膚症状が治癒した後、おおむね半年以上痛みが持続する場合を帯状疱疹後神経痛といいます。
ウィルスによって神経が傷ついていることによって痛みが悪化し、痛覚過敏やアロディニア(触れるだけでも痛い)、神経ブロックに抵抗性の痛みを生じます。
カプサイシン軟膏や、認知行動療法などの対象となることもあります。

手術後痛

手術の創部が完治するまでの手術後1週間程度までは積極的な神経ブロック、麻薬などを用いて鎮痛をすることで、呼吸や血圧にも好影響があり、早期離床や早期退院が可能となります。
私たちは手術担当の麻酔科医が中心となり、術後急性期の鎮痛を積極的に行っています。
手術創が完治しても痛みが長引くこともあります。
難治性のことも多く、各種神経ブロック、脊髄刺激療法などと、リハビリテーション、認知行動療法などを組み合わせた治療を行います。

頭痛(低髄液圧性頭痛、片頭痛など)

近年、頭痛を訴える患者さんが増えています。
種類は様々で、脳圧が低下したり髄液が漏れる頭痛、腫瘍や出血、片頭痛、ストレスなどから来る頭痛、日常服用している薬が原因の頭痛などがあります。
低髄液圧性頭痛は外傷や脊髄くも膜下麻酔後に脊髄周囲に脳脊髄液が漏れることから、頭痛、めまい、吐気を生じます。造影MRI検査などで診断します。
治療は水分補給、安静臥床(起き上がると頭痛を生じるため)、頭痛薬投与、自家血硬膜外注入(硬膜外ブロックと同様の手技で患者さんご自身の血液を患部に投与して脳圧の改善を図る)などです。
片頭痛はきらきらした視野の異常などから始まる拍動性頭痛のことが多いです。
トリプタン製剤の投与で症状軽快します。
何らかのストレスなどを発端として何度も頭痛を繰り返すため、トリプタン製剤を頓服用に携帯されることをお勧めします。

癌性疼痛

癌細胞による内臓の圧迫、脊椎に転移することによる神経痛、骨転移に伴う骨刺激などにより強い痛みを生じます。
化学療法、放射線照射、手術などにより根本治療・縮小治療を行いながら、当科では各種神経ブロック、鎮痛薬や麻薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、漢方薬などの投与、心身医学的アプローチなどを行って対処しています。
いわゆる緩和医療について精通して医師を中心に対応します。
他院に通院・入院されている方に対しても、主治医の先生と密接に連携しながら短期間当科で入院していただいて痛みのコントロールを行い、主治医の先生の治療につなげることも行っています。

ペインクリニックの診療にあたって

ペインクリニックは神経ブロック、薬物投与、リハビリテーション、心身医学的なアプローチなどにより、鎮痛やQOLの改善を図る医学です。痛みを主訴として来院する方が多いですが、歩行困難、食欲低下、機能低下なども合併していることもありますので、原因診断を確実に行い、基礎疾患を見落とさないようにも努めています。
そのため、関係各科や医療関係者同士との連携を大切にしています。
疼痛を生じさせる疾患は慢性になることも少なくありません。
私たちの治療によってむしろQOLが低下しないように、安全に長期的にできる医療(薬物療法、リハビリテーション、鍼灸など)を適切に患者さんに紹介することにも配慮しています。
また、神経ブロックなどは患者さんとの信頼関係を築いてから行うことで、より安心して受診していただくように心がけております。
痛みや痛みに伴う症状のある方は、一度ご来院ください。